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連載:第4回 慣習に囚われない 改革の舞台裏

12年言い続けて結実する競輪場の改革劇。行政の廃止方針を覆し、経産省が告示を改正して生まれる「世界基準のケイリン」

BizHint 編集部 2019年6月7日(金)掲載
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競馬、競輪、競艇、オートレース。公営競技はファンがお金を賭けるがゆえ、結果の間違いは許されません。日本写真判定株式会社は社名にもあるとおり、ゴールの着順の「写真判定」を中心に、長らく公営競技に携わってきました。しかし近年、廃止される公営競技場は増加。業界自体が縮小するなかで、同社は公営競技場の運営そのものを請け負うことでその活性化を模索します。そんな折、同社が運営を請け負っていた千葉競輪場にも「廃止」という報道が……。そこから、同社の逆転劇が始まります。様々な施策による収益の改善はもちろん、ファンや運営、プロ選手が一丸となって地域を巻き込むことで競輪場の廃止を覆すことに成功。『外の空気を吸って「競輪ムラ」から脱却すべき』と断言し、世界基準のケイリンを活用した日本初の開催に向け250mバンクの完成を見据える渡辺俊太郎社長に、その背景を伺いました。

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日本写真判定株式会社

代表取締役社長 渡辺俊太郎さん

慶應義塾大学法学部を卒業後、2002年に弁護士事務所(現翼法律事務所)を開所。代表弁護士として活躍を続けつつ、2007年、日本写真判定株式会社の代表取締役に就任する。公営競技のゴール写真判定のほか、公営競技場の運営受託、トータルマネジメントを手掛ける。自転車競技の普及にも力を入れており、公益財団法人日本自転車競技連盟の常務理事も務める。


老朽化が進む千葉競輪場。そこは夢を実現する絶好の舞台だった

――弁護士としてもご活躍される中、会社を引き継がれました。当初の経営方針はどのようなものだったのでしょうか?

渡辺 俊太郎さん (以下、渡辺):選択肢としては三つあると考えていました。一つめは、公営競技業界が縮小していく中で細々とやっていくプラン。二つめは、公営競技場の運営会社に自社を売却するプラン。三つめは、 競輪業界自体を盛り上げて事業を再生するプラン です。この中で、第三の選択肢が一番面白いし可能性があると考え、その方向に舵を切りました。

――競輪業界自体を盛り上げるために、どのようなことに取り組まれたのでしょうか?

渡辺:業界を盛り上げるためには、業界のことを詳しく知らなければならない、 という考えから、 競輪場の運営業務そのものにチャレンジ することにしました。

――社長就任後、大学院で競輪業界の研究もされたとお聞きしました。

渡辺: そうですね。競輪業界を研究したことでいろいろなことが見えてきました。競輪選手の中には五輪メダリストなどのスターもいますし、世界のケイリン(注:五輪種目はカタカナ表記)は1周250mのバンク(走路)で、カーボンのフレーム(車体)、かっこいいユニフォームで走っています。見ていて迫力がありますし、本当に盛り上がっているんですよ。日本には世界基準である250mバンクでの競輪場はありませんが(注:競技場は存在する)、これを日本でもできれば、競輪は絶対に盛り上がると思いました。そこでして社長就任当初、今から 12年前に「日本で、250mバンクの競輪を行う」ことを一つの目標に したのです。

競輪場の再生には、競技、ファン、資金の全てが結びつくことが大事だと話す渡辺社長。この図は渡辺社長が大学院時代に作成したもの(渡辺社長の論文より転載)

――千葉競輪場の運営受託も、この計画のひとつでしょうか。

渡辺: 理由はいくつかあります。まず、立地がすごくいい。東京からのアクセスはもちろん、成田空港も近い。千葉周辺からの集客も十分期待できます。それから『施設が老朽化している』というのも都合がよかった。いずれ建て替えの議論が起きるので、250mバンクを実現するのに千葉競輪場はこの上なく良い条件だったのです。 古いからよくないということではなく、古いことをプラスと捉えた わけです。

1周500mの千葉競輪場。2020年東京五輪後、1周250mのドーム型複合施設に生まれ変わる

「赤字はすべて請け負う」として運営を受託。しかし、すぐに廃止報道が

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