連載:第27回 慣習に囚われない 改革の舞台裏
人が辞めない組織に生まれ変わった町工場。キーエンスで学んだ「会社づくりの極意」とは
「人が辞めない組織」をつくるにはどうすればよいか、経営者の多くが抱える悩みではないでしょうか。石川県にある株式会社旭ウエルテックも「人材が短期間で辞めてしまう」ことに課題をもっていました。2代目として2014年に家業へ入社した山田 裕樹社長は、前職であるキーエンスで学んだ「あること」を土台に改革に取り組み、結果、社員の意見が活発に飛び交う人が辞めない組織に生まれ変わりました。その過程について、詳しく伺いました。
株式会社旭ウエルテック
代表取締役社長 山田 裕樹さん
石川県白山市出身、東京工業大学院卒業。2010年、株式会社キーエンスに入社。営業担当として全国の顧客の技術課題解決に携わる。2014年、父の創業した旭ウエルテックに入社。2019年10月に代表取締役社長に就任。業績拡大により、2025年には投資額約15億円の新工場が稼働予定。
入社1か月で連絡がとれなくなる従業員も…。そんな企業が「人が辞めない組織」に変わった理由
――貴社は、山田社長がご入社された2014年以降、売上高・従業員数共に成長を続けていらっしゃるそうですね。
山田 裕樹さん(以下、山田): そうですね。とくに従業員数は倍になりました。私が入社した2015年当時は15人ほど。社長に就任したのが2019年でその頃30名を超え、現在は38名となっています。
ただ、私が入社する前までは、人の入れ替わりが多かったようで…。
――それは何か理由があったのですか?
山田: 以前は、いわゆる「職人の世界」だったことが大きいと思います。先代社長である父も優秀な職人で、基本的には「見て覚えろ」でうまくいっていた時代でした。
しかし時代が変わり、「見て覚えろ」だけでは通用しなくなってしまった。ベテランの職人たちも、若手に教えてあげたい気持ちはあるものの、自分たちがそうやって育てられていないから、やり方がわからないんです。一方で、入社したばかりの若手社員は、先輩に何を質問したらいいかもわからない。お互いすれ違っているような状況で、結果的に仕事ができるようにならず、成長も感じられないことで、入社1か月ほどで辞めてしまう、突然連絡がとれなくなってしまう…なんてことも、頻繁にあったようです。
私が社長に就任してしばらくしてから、従業員から「そういえば、社長が入社してからは人が全然辞めないですね」と言われたんです。実際、私が入社してからは25名採用していますが、そのなかで退職された方はたったの2人。その2人も最終日に「この会社で働けてよかった」と言ってくれるくらい、良好な関係でした。
――「職人気質で人の入れ替わりの激しい組織」から、そのような「人が辞めない組織」に変化した理由は、どんな点にあると考えられますか?
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