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マーケティング

2019年4月23日(火)更新

CRM/MA Top3社が語るインサイドセールスのグローバルスタンダードとは?【Inside Sales Conference 2018 イベントレポート】

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2018年12月6日(木)、インサイドセールスの未来に触れられる『Inside Sales Conference 2018 業界の壁を超えた最先端の知識がここに』が虎ノ門ヒルズフォーラムで開催されました。当記事では、株式会社セールスフォース・ドットコム、HubSpot Japan株式会社、株式会社マルケトの3社によって行われたセッション『CRM/MA Top3社が語るインサイドセールスのグローバルスタンダードとは?』の模様をレポートします。シンフォニーマーケティング庭山一郎さんが聞き手となり、インサイドセールスの在り方について各社に伺いました。

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企業内におけるインサイドセールスの役割とは

シンフォニーマーケティング庭山一郎さん(以下、庭山): まず「売り上げを作るためにインサイドセールスがどういう姿であるべきなのか」。この点、各社はどのような形にしているのかお話を頂きたいです。

マルケト小関貴志さん(以下、マルケト小関): マルケトでは、インサイドセールスをマーケティング本部のなかに置いています。しかし、実際に業務内容は営業に近いです。 KPIには商談件数を置き、自ら売り切るのではなく商談の場を作ることを目的 としています。

まずは、マーケティングチームがイベントやウェブサイトなどからリードを獲得してMarketoにデータをまとめる。そして、お客様の行動、属性、スコアから優先順位を設定し、アプローチするお客様のリストを準備します。

そのリストを元にインサイドセールスからお客様へ連絡を行い、「具体的に検討したい」など、お客様の課題理解と、ネクストステップに対する合意が取れれば営業に引き継ぎます。しかし、営業が訪問して「具体的に導入検討を進めるタイミングでない」と判断した場合には、再びインサイドセールスに戻します。そこで改めて、インサイドセールスからメールや、お電話でフォローしたり、Marketoの仕組みを使用しながら継続的な関係構築をいます。

HubSpot伊佐裕也さん(以下、HS伊佐): そもそも、ビジネスを成長させるためには、マーケティングとセールスが一枚岩になるSmarketing(スマーケティング)が欠かせません。まずはマーケティングチームが見込み客、リードをしっかり作っていくこと。私たちは「インバウンドマーケティング」と呼んでいますが、お客様に興味を持って頂けるコンテンツや提供している無料ツールの試用者を増やすこと。これがマーケティングの役割です。

その先はインサイドセールスのメンバーがフォローを行います。HubSpotはフィールドセールスのチームを持っていません。インサイドセールスチームがHubSpotの営業としてクオリフィケーションからクロージングまでを行っています。

セールスフォース伊藤靖さん(以下、SF伊藤): セールスフォース・ドットコムでは「The Model」という分業制のモデルを使用しています。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど部門を分けて接しています。 営業フェーズは数段階に整理し、商談や案件に対する定義を全部門で揃えています。

1段階目はアポイントが確定し、営業がお客様に提案を行える状態です。そこから、お客様の意思決定のプロセスに沿って段階が進み、受注を頂いた状態が最終の段階となります。最初の1~2段階目をインサイドセールスが担い、「案件を作る」部分をフォーカスしています。

セールスフォース・ドットコムのインサイドセールスチームは現在、100人以上居ます。それぞれ、反響型(インバウンド型)と新規開拓型(アウトバウンド)の2つのチームに分けています。反響型のチームは、展示会参加やウェブ訪問、資料請求などのセールスリードに対して早く、もれなく対応する。クオリフィケーションができたら営業にパスします。

一方、新規開拓型チームは中堅、大手の企業のマーケティング活動がなかなか効きづらい企業に向けて活動しています。大体、外勤営業3人に対して1人のインサイドセールスをあてがい、アカウントを共有した上でターゲティングや新規開拓、案件創出、受注などの一連の活動を共に行います。外出も多いので、単純なインサイドセールスという枠組みに留めていません。

インサイドセールスの実施タイミングはいつがいいのか?

庭山: インサイドセールスの実施タイミング。どこまでナーチャリングをして温めるのか。明確な基準はありますか?

マルケト小関: 「しきい値が何点を超えたら、マーケティング部からインサイドセールスに引き渡し、インサイドセールスはお客様に連絡する」など最低限の基準はあります。でも、まだ点数は低いけれど、お客様の関心度合いは高まっていることも少なくありません。お客様の動きに柔軟に対応するために、マルケトでは機械的な判断を下すだけでなく、お客様のビジネス課題や温度感を汲み取って人による判断も行っています。

HB伊佐:インバウンドマーケティングにおいて重要なのは、適切なコンテンツを適切なタイミングで適切なチャネルで届けること。 なので、インサイドセールスもお客様が興味を持っていることに対して補足しています。「質問を尋ねる」イメージで適切なタイミングを計って電話をかけています。

SF伊藤: セールスフォース・ドットコムではMAツールだけではなく、「Einstein Analytics」というAIツールも併用しています。MAツールだけで判断できない部分を繰り返し機械学習でAIの精度を高めます。結果、スコアリングの信憑性は非常に高くなりました。インサイドセールスの実施タイミングも「Einstein Analytics」のスコアリングで判断しています。

コールドコールにどう対応すればいいのか

庭山: インサイドセールスはしっかりとナーチャリングしたいのに……。「今月足りないから、多くの案件をパスして欲しい」と営業から急かされるパラドックスはありますよね。まだ温まってない人に電話をかける、いわゆる「コールドコール」はどうしていますか?

マルケト小関: マルケトでは2パターンあります。1つは営業に「どうしても狙いたいお客様がいる場合」です。状況によって企業規模や業界など対象はさまざま。お電話だけでなく、メールや手紙をお送りしています。

もう1つは名刺を頂いた方は自体はコールドだけれど、こちらが「ご連絡する価値がある」と判断した場合です。競合でマーケティングオートメーションが入っていたり、他の部門からお問い合わせが増えているとき、動向が分からなくてもABM(アカウントベースドマーケティング)的な発想でコールドコールを行っています。

HB伊佐: HubSpotでは基本的にコールドコールは行っていません。興味を持って頂いた方に対してのみ、アプローチを行うのが基本の姿勢です。今後、検討の余地はあるとは思いますが……まだその段階ではないのが実情ですね。

SF伊藤: セールスフォース・ドットコムでも実質的なコールドコールを行うことはあります。 中堅企業や大手企業に対して、まず役員の方へお手紙を送付。それに対するフォローコールで電話をするのです。アプローチとしてコールドコールにならないように工夫しています。

全く面識の無い方に代表電話経由で連絡をしてアポイントを取れる確率は1~2%と言われています。ですが、事前に施策を重ねると約20%まで高められます。また、この効果は企業規模と比例しています。いわゆるエンタープライズ企業では40~50%の確率でアポイントを獲得できます。

営業? マーケ? インサイドセールスはどの部署に置くべき?

庭山: コンサルティングをしていると、インサイドセールスを置く部署について尋ねられます。しかし、その解答は状況に応じてですが……。皆さんは、インサイドセールスをマーケティング部署とセールス部署のどちらに置いていますか? それとも独立した部門になっていますか?

マルケト小関: マルケトでは2つの理由からインサイドセールスをマーケティングの中に置いています。1つ目は入口から出口までの流れ。どこも滞らず、入り口から出口までスムーズに流れるような組織になること。これがシンプルな解だと思うのです。私たちはテクノロジーを使用し、マーケティングドリブンで営業に温めたアポを渡すという流れ。ですので、妥当性を感じています。

もう1つはマネージャーの問題。営業チームにインサイドセールスをマネジメントできる方がいるのであれば、営業のなかにあってもいい。マルケトでは長年インサイドセールスを担当してきた私がマーケティングに所属しています。 マネジメントできる人間に応じるのも組織の在り方の一つ だと思います。

HB伊佐: HubSpotにおいてインサイドセールスは営業。ですので、マーケティングとは別物として扱っています。しかし、フェーズごとの基準が明確で、連携について双方の合意が取れていれば、インサイドセールスがどちら側の組織にあっても関係ないと思っています。

連携を密にして、お互いのしきい値やするべきことを明確にするため、マーケティングとセールスの間でSLA(Service Level Agreement)を結んでいます。マーケティングは見込みの高いお客様の数やこれまでのクローズ率、平均販売単価を元に売上に対するコミットをする。セールスでは「36時間以内に必ずリードにあたる」など明確にしています。

SF伊藤: セールスフォース・ドットコムではマーケティングとセールスとそれぞれ独立しています。セールスフォースのインサイドセールスはセールスディベロップメント(営業開発)という部門名が付けられています。この「開発」。案件の創出だけでなく、人材の育成という意味も込められています。

10年間でこれまで150人以上を、外勤営業やアライアンス、マーケティングへと輩出してきた部署です。4年前からは、営業志望の新卒採用者は全員一旦インサイドセールスに配属させて、2年程度で外勤営業やカスタマーサクセス部門へ異動するモデルも組んでいます。

庭山: マーケティングとセールスが同じ目標やしきい値で話ができると、どちらの部署にあっても問題ありませんが、それができる会社は日本では滅多にありません。 日本企業の場合、マーケティングの役割が最近ようやく認知されつつあることと、「俺たちが数字を作っているんだ」という営業が強い会社が圧倒的に多い。インサイドセールスやマーケティングの立ち上げに苦労している企業が多いのはその辺りに起因する と思っています。

インサイドセールスの未来

庭山: 最後に。今後、インサイドセールスがどのような進化をとげるのか。未来についてお話ください。

SF伊藤: 従来は訪問や電話がお客様との主な接点でした。しかし、この20年の間にメールやチャット、Web会議と様々なコミュニケーションツールが生まれ、マーケティングオートメーションでこれまで見えなかった動きも可視化されました。テクノロジーの進化に伴って私たちの働き方も変わりつつあります。

対面営業でなくてもできることは増加しているなか、インサイドセールスが発達するほど、お客様との会話する時間をいかに作るか、会話する力を身につけることが大切です。お客様の立場になって考えて、インサイトセールス(Insight Sales)ができるビジネスパーソンが重要になります。ただ、単純にメンバーに発破をかけるのではなく、カリキュラムを組んで育成することに取り組んでいます。

HB伊佐: 今後、インサイドセールスの人たちがアクセスできる情報は更に増えると思います。そして、その情報を元により良いタイミングでより良いコンテンツをお客様に届けることが可能になっていく。

新しい伝え方や新しいタイミングの見極め方が増えるのは、マーケティングにおいても同じ。テクノロジーの活用で、マーケティングとセールスが同じデータを元に連携し、最適なものを提供できる世の中が創られる。そんな未来を描いています。

マルケト小関: マルケトも規模が拡大して、2018年春からサッカーでいうトップ下の役割を設けています。エリアやアカウントに応じて、営業とペアを組んで活動しています。マーケティング部門が用意した見込みリストを営業内で配分するADR(Account Development Representative)などは近い将来増えていくでしょう。

私はマーケティングチームのマネジメントも担当しているので、インサイドセールスや営業などの人手を極力介さず、良い顧客体験をご提供して、ご注文まで繋げていく。そんなマーケティングにチャレンジしたいと思っています。

ただ、どれだけテクノロジーが進化しても、少ないデータから因果関係やトレードオフを瞬時に人間と同じように判断することはできないと思います。今後はその判断ができるインサイドセールスが必要とされて、そんな組織が強くなっていくのではないでしょうか。

庭山: ありがとうございます。改めて、マーケティングとセールスの連携は難しいですよね。特に、日本ではどう向き合えばいいのか、営業にパスした後のフィードバックをどうもらうかなどについて悩んでいる企業が多いように思います。でも、難しいからといって諦めるのが一番良くない。

アメリカではモノづくりとのアラインメントも進んでいます。多種多様なデータを各部署でシェアして開発が進んでいる。データドリブンな組織づくりが進んでいます。日本のインサイドセールスにも各所を繋ぐ部門としての役割に、私は非常に大きな期待を寄せています。これからの進化が楽しみですね。

「Inside Sales Conference2019」開催のお知らせ

2019年6月5日(水)虎ノ門ヒルズで「Inside Sales Conference2019」が開催されます。

欧米ではすでに一般的な「インサイドセールス」。 日本でも、経営や営業の新しい手法として実践する企業が増えています。 昨年12月、「競争から共創へ」をテーマに掲げ開催した「Inside Sales Conference 2018」は、1,203名の方にご参加いただき、大変好評をいただきました。 2回目となる今回は、「なぜ必要なのか」「どう 始めたらよいか」の基礎から、「どう生かすか」の応用まで、パネルディス カッションやワークショップなどを通じて、課題解決のヒントを提供します。 生産性向上に寄与する新しい働き方として。 経営課題に取り組む手段として。 そして、それだけにとどまらない可能性をもつ手法として。 「インサイドセールス」についての知見や出会い、イノベーションの種を、 ここで見つけませんか。

(文:重安竜次 撮影:渡辺健一郎 編集:上野智 櫛田優子)

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