連載:第13回 経営・SaaSイベントレポート2022
“ぬるま湯組織”にご注意を!心理的安全性の誤解と、部下の行動変容を促すコミュニケーション術を学ぶ
従来のマネジメントだと若手社員が育たなかったり、中堅社員が指示待ち人間になってしまったり、管理職がメンバーの育成ができなかったりと、人材育成に課題を感じる企業が増えてきました。こうした課題は組織のコミュニケーションを改善すれば解決できるかもしれません。組織コンサルタントである株式会社タバネル代表の奥田和広さんと元アナウンサーである株式会社プレアクト代表の加藤あやさんに、「組織を伸ばす心理的安全性とコミュニケーションの仕組み」について語っていただきました。
一橋大学商学部卒業後、ファッション・化粧品メーカー、コンサルティング企業などで勤務。取締役として最大170人の組織マネジメントに携わる。OKR、組織マネジメントのコンサルティングを行う株式会社タバネルを設立。著書に『本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR』。
福岡のテレビ局・ラジオ局でリポーター、キャスター、パーソナリティーを務めた後、研修講師、人材育成コンサルタントとして2014年に独立。新入社員研修、ビジネスマナー研修、コミュニケーション研修、プレゼンテーション研修など企業向けの研修やコンサルティングなどを幅広く手掛け、最近では社外CCOとして企業内の人間関係の調整や経営者のコーチングなども行う。
成果を生み出す効果的チームに最も必要なものは「心理的安全性」
奥田和広(以下、奥田): 今日は組織を伸ばす「心理的安全性」と「コミュニケーションの仕組み」について話していきます。
そもそも組織とはどんなものでしょうか。経営学者のチェスター・バーナード氏は、組織の3要素として 「共通の目的」「協働意欲」「コミュニケーション」 を挙げています。
奥田: 共通の目的とは、企業で言うビジョンや理念、パーパスといったもの。そこに向かってみんなで協力して働こうとするのが協働意欲です。そして、そんなメンバーをつなぐコミュニケーションが揃って、初めて組織が成り立ちます。反対に、これらの3つに何らかの不具合が生じると、組織の課題が出てくるわけです。
それでは、組織を伸ばすにはどうしたらいいのか。HR総研、特定非営利活動法人組織学会が行った「組織調査2020」のデータ分析から、日本の高成長企業の特徴が3つ見えてきました。
- 従業員が会社の目標や成果などの関心事についての情報を得ている
- マネジャーたちがオープンなコミュニケーションを維持している
- 多様な価値観を持った人材を意図的に採用・育成する方針がある
「人材の多様性」と言っても、性別や年齢やスキルなどの多様性ではなく、大切なのは 「価値観の多様性」 でした。いくら多様な人がいても昔ながらの価値観を強制すると成長しにくい「低成長企業」になってしまうんですね。
また、成果を生み出す効果的なチームについてGoogleが調査したところ、 優秀なメンバーの有無より、チームがどのように協力しているかが重要 だということも分かってきました。
奥田: 効果的なチームの5因子の中で、特に一番重要なのが「自分の考えや気持ちを組織の中で誰に対してでも安心して発言できる状態」を意味する 心理的安全性 です。
その心理的安全性を土台にして、お互いの仕事の質について信頼し合う相互信頼や、チームの役割・計画・目標が明確になっている構造と明確さ、自分の仕事の意味や目的意識、そして自分の仕事やチームの成果が組織に貢献するのを理解するインパクトといったほかの4因子が重なっていきます。
心理的安全性の3つの誤解。ぬるま湯組織に要注意
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