連載:第9回 中竹竜二さんが聞く「伸びる組織」
18期連続増収の秘密、ヤッホーブルーイングの「究極の顧客志向」とは
熱量の高いファンを集めるクラフトビールメーカーとして知られるヤッホーブルーイング。コロナ禍の逆風下でも着実に増収を続けていると言います。その秘密はスタッフ一丸となって「究極の顧客満足」を追求する企業カルチャーにあるそう。わざわざ究極と付けているのはなぜでしょうか? 中竹竜二さんが聞いていきます。
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長 井手 直行さん
1967年生まれ。福岡県出身。国立久留米工業高専電気工学科卒業。大手電気機器メーカー、広告代理店などを経て、1997年ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。「地ビールブーム」の勢いに乗るも、その後ブーム沈静化で低迷。ネット通販に活路を拓き、国内約500社あるクラフトビールメーカーの中でトップを走る。2008年社長就任。著書に『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』(東洋経済新報社)がある。
「地ビールブーム」が去って売上が落ちるなか孤軍奮闘
中竹竜二さん(以下、中竹): ヤッホーブルーイングは「よなよなエール」をはじめ「インドの青鬼」「水曜日のネコ」「僕ビール君ビール」など個性的なクラフトビールで熱量の高いファンがいるほど人気を集めています。顧客との親密なコミュニケーションでも注目されていますが、井手直行社長は毎年、スタッフと一緒になって、「強いチームづくりとは何か」を探りながら実践的な研修でチームづくりをしているそうですね。どうして井手さんはここに力を入れているのでしょうか?
井手直行さん、(以下、井手): その前に少しだけ昔話をさせて下さい。私は1997年、この軽井沢でのヤッホーブルーイング創業に参画しました。社長は星野リゾートの星野佳路代表、私は営業担当でした。幸運にも「地ビールブーム」の追い風に乗り、最初はビールがバンバン売れたし、社内の雰囲気はとても良かったんです。
でも2年後、「地ビールブーム」が去ると途端に売上が激減し、あらゆる物事がうまくいかなくなってきました。営業と製造が「打開策となる新しいビールをつくらないと」や「営業力がないから駄目なんだ」とお互いに不満を募らせていきました。
その後、2004年に「EC通販」をスタートさせます。幸いネットでの販売が伸び、私ともう1名の担当者は毎日忙しくなりましたが、会社の雰囲気はあまりよくない。私は「売上があがれば、みんな喜んでくれるはず」と思っていたのですが、違っていたようです。「通販部門は忙しいから、手伝って」と伝えると渋々助けてはくれるけれど、「残業が増えた」とか「休日出勤は嫌」と言われる状況でした。
ECが軌道に乗り、私が星野から社長業を引き継いだのが2008年。でも、私が現場から抜けるので、戦力ダウンになり、「やがて業績は落ちるだろう」と覚悟しました。「一部の人が頑張るのも限界だし、みんなが参加するようにならないと」と思って、全員参加の組織を作ろうとしたのですが……本当に全く上手く行きません。
「うちの朝礼って、お通夜みたいですね」と言われる
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