連載:第10回 中竹竜二さんが聞く「伸びる組織」
迷っても「相手を信じ抜くこと」が必要、カルビーの現場を信じる経営
日本有数の食品メーカーであるカルビー。先進的な人事施策を行っていることでも著名です。そんなカルビーの組織風土はどのように育まれ、働く人の力を引き出しているのか。 カルビーで常務執行役員 CHRO人事総務本部長を務める武田雅子さんに中竹竜二さんが聞いていきます。
まっすぐで誠実な社員たち、でも「変わる」意識はなかった
中竹竜二さん(以下、中竹): カルビーといえばロングセラーの人気商品が多く、スナック菓子市場ではトップシェアですよね。武田さんが転職されたのはちょうど3年前ですが、当時のカルビーを組織文化という観点から見るとどんな印象でしたか。
武田雅子さん(以下、武田): 社内には派閥も無く、びっくりするくらいフルオープン。わからないことはなんでも包み隠さず優しく教えてくださるし、真っ直ぐで誠実で、言われたことはきちんとこなす。それに地頭が良い人が多いなぁという印象でした。そうした実直さや優等生的な面を特長として感じる一方で、実際に色々な現場に出向くと、ハイパフォーマーとして会社を引っ張る人や、アグレッシブにチャレンジしている人たちもいて、当時のカルビーの組織文化にはその2つの面が内包されているなと感じましたね。
中竹: 性格も良くて地頭も良い、そしてハイパフォーマーもいるという組織だったら最高ですね。ただ、みんなが力一杯限界までやり切れているかというと、まだ伸び代を感じる部分があったということでしょうか。
武田: そうですね。当時は一部のハイパフォーマーが「カルビー号」という船を一生懸命漕いでくれているといった感じで、それって言い換えれば、黙って乗っかっていてもあまりバレない雰囲気というか(笑)。でも、実際に話してみると、ただやり方を知らないだけで、チャンスがあれば頑張りたいと思っていることがわかったんです。だったらもっとパワーが出るはずだと思い、私が最初に掲げたのは「全員活躍」でした。
中竹: 『ウィニングカルチャー』にも書いたのですが、組織文化は組織の一番奥にあるので、ずっとそこにいる人たちには気づきにくい。もっと発揮できるポテンシャルがあるのに、それに気づけないんです。武田さんは、その「全員活躍」にどうやって着手したのですか。
武田: 正確に言うと、多くの社員は「変わらなくていい」とは思っていなかったんですよ。だから、指示通りにきちんとこなすことが得意な人たちも、変わることがミッションになれば変われるはずだと思いました。そこにまだ隙間があると感じたので、「よし、ここに入っていこう」と。
中竹: なるほど。変わりたくないわけじゃなくて、変わることをミッションとして決めたら変われる、と。
経営に必要なのは「現場を信じる」心
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