連載:第10回 中竹竜二さんが聞く【新しい組織・リーダー論】
「この会社では自由になんでもやっていいよ」究極の放任主義でもプロが育つ! レオス・キャピタルワークス藤野社長のマネジメント術
1990年代、カリスマファンドマネージャーと言われた藤野英人さんが、2003年に創業した投資運用会社がレオス・キャピタルワークスです。藤野さんが運用する投資信託「ひふみシリーズ」はいまや日本一の運用資金を集めるほど人気です。今回の対談は、株式市場の話題ではなく、会社の話を聞きました。藤野流の人材育成は実にユニーク。人材育成の専門家である中竹さんが切り込みます。
レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者
藤野英人さん
国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。明治大学商学部兼任講師、JPXアカデミーフェローを長年務める。一般社団法人投資信託協会理事。
「ひふみ」が日本最大のファンドに成長したワケ
藤野英人さん(以下、藤野): お久しぶりです。先日、燕三条のスノーピーク社でキャンプした「焚き火トーク」は楽しかったです。
中竹竜二さん(以下、中竹): あの時、僕が、たまたま藤野さんの隣の席。藤野さんをずっと独占してしまいました(笑)。その時、お伺いした藤野さんの人材育成がとても面白いなぁと思っていました。「運用部のメンバーは全員、自分のライバルにしたい」とか「教育は一切しない」とか……(笑)。そこで、今日は、その話の続きをお伺いしたいと思って来ました。
藤野: 私がこれまで取材を受けた時、99%が「ファンドマネージャー」の立場です。経営者として取材を受けたのは、たぶん100回に1回もないと思います。
私たち投資運用会社は皆さまのお金を預かり、上場企業の株式投資などで資金を運用する会社です。簡単に言えば、ファンドマネージャーはどの会社にどれだけの投資をするのかを差配する人。ファンドマネージャーの実力って、その時のマーケットのトレンドに大きく影響されます。自分の 運用成果は、「市場の成長+自分の実力」 なんですね。市場環境がいいときは皆がプラスになる。みんながハッピー。でも、市場環境が下がっている状況だと、誰かがプラスになればほかの人がマイナスになる。「自分だけが勝てばいいんだ」と全員が争っていると、「ゼロサムの世界」。市場はまったく広がらない。
株式運用は収益をあげることが第一なんですが、もう1つ、頑張っている会社を応援する意思表明をする意味があります。応援したい会社の商品を買うのと同じ。投資をすることで、社会的に意義ある事業に挑戦している活動を側面的に応援することができます。こうした投資は新しい市場を広げる活動になります。ファンドマネージャーの評価も勝った負けたじゃない。 世の中にとって正しい姿勢かどうかが問われる んです。
「ひふみ」マザーファンドの運用資産残高は現在、7,000億円です。1つのファンドでこれほどの金額を集めたのは日本ではなかったんです。これだけのお金を集めたのは「市場を広げる潜在的成長企業を応援する」というスタンスを守っているからなんです。勝った負けただけじゃない、 ブレない運用哲学があるから成り立っている のだと思います。
なぜ、藤野さんは教えることを辞めたのか
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