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連載:第44回 リーダーが紡ぐ組織力

「イエスマンばかり」から自律型組織へと変貌させたリーダーが貫いた、たった一つの当たり前のこと

BizHint 編集部 2024年12月25日(水)掲載
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「私はただ、当たり前のことをしているだけなんです」——そう語るのは、株式会社大倉で代表取締役を務める木村弘希さんです。昭和48年創業の同社は、倉庫のサブリース事業を主軸とする不動産会社。そのほか、人材紹介やアウトソーシングなど、3つのグループ会社を有しています。2020年、創業者の孫である木村さんが31歳で2代目社長に就任。組織改革に乗り出すも、当時は安定思考の「イエスマン」が多く、新しい取り組みに消極的でした。しかし「グループで100億円企業を目指す」という明確な目標設定と、社員の主体性を重視した組織改革により、グループ全体の売上高は就任後わずか4年で10億増の40億円に増加しました。木村さんは旧態依然とした組織の主体性・生産性をどのように変革していったのか。34歳の若き経営者が「当たり前」とする、組織改革の哲学に迫ります。

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株式会社大倉
代表取締役社長 木村 弘希さん

1990年生まれ。24歳で祖父が創業した株式会社大倉に入社。新規事業の開発や自社不動産サイトの運用、東京支店の本格稼働などに尽力。2020年、31歳で2代目社長に就任。


組織改革において意識した、たった1つのこと

——2020年の社長就任からわずか4年で売上高2倍の40億円を達成するなど、急成長を遂げられています。生産性を高めるためにどのような取り組みをされたのでしょうか?

木村 弘希さん(以下、木村): 取り立てて、変わった取り組みをしたわけではないんです。以前の当社は家業的な雰囲気が強く、一般企業では「当たり前」とされることができていませんでした。なかでも、組織の指標が明確ではなかったことが一番の課題でした。私はそこを是正したにすぎません。

大きな転機となったのは就任2年目に、40歳を迎える2030年までに 「グループ連結で年商100億円を目指す」とビジョンを宣言したときのことです。 それまで中長期的な目標がなかったことで、社員は何のために仕事をしているのか分からず、「どこを目指したらいいのか」と解像度の低い状態が続いていて、モチベーションも低くなっていました。

また、サブリースという安定した事業を行っていることもあり、創業者である祖父から社長を継いだ当時は、安定思考の社員が多かったんです。 祖父がカリスマ経営者だったこともあり、社内にはイエスマンが多く、マネジメントも支配的でした。また、一部の事業所では、管理職が逐一指示を出すティーチング型だったために、 指示がないと動けない組織ができあがっていたところもあります。

この目標を発表したときは、社員たちの目の色が変わり、「やってやるぞ」という意気込みが感じられたのを覚えています。

ゴールさえ設定したら、達成するための施策はあとからついてきます。その後は、順調に増収増益を続けてこられました。社長交代したタイミングの2020年9月期のグループ売上高は30億弱だったのですが、4年後の2024年9月期は40億円で、増収増益を達成することができています。

この間に私が意識していたのは、たった1つのことだけです。

——その「1つのこと」とは何なのでしょうか?

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