連載:第44回 リーダーが紡ぐ組織力
「イエスマンばかり」からはじまった変革。リーダーが見つけた「社員の主体性を引き出す」たった1つの行動


「私はただ、当たり前のことをしているだけなんです」——そう語るのは、株式会社大倉で代表取締役を務める木村弘希さん。2020年、創業者の孫である木村さんは31歳で2代目社長に就任しました。組織改革に乗り出すも、当時は「安定思考のイエスマン」が多く、新しい取り組みに消極的でした。しかし「グループで100億円企業を目指す」という明確な目標設定と、社員の主体性を重視した組織改革により、グループ全体の売上高は就任後わずか4年で10億増の40億円に増加。木村さんは旧態依然とした組織の主体性・生産性をどのように変革していったのか。34歳の若き経営者が「当たり前」とする、組織改革の哲学に迫ります。

株式会社大倉
代表取締役社長 木村 弘希さん
1990年生まれ。24歳で祖父が創業した株式会社大倉に入社。新規事業の開発や自社不動産サイトの運用、東京支店の本格稼働などに尽力。2020年、31歳で2代目社長に就任。株式会社大倉は昭和48年創業。倉庫のサブリース事業を主軸とする不動産会社。そのほか、人材紹介やアウトソーシングなど、3つのグループ会社を有している。
イエスマンばかりだった社内が変わったのは、社長が徹底した「ある行動」
——2020年の社長就任からわずか4年で売上高2倍の40億円を達成するなど、急成長を遂げられています。生産性を高めるためにどのような取り組みをされたのでしょうか?
木村 弘希さん(以下、木村): 取り立てて、変わった取り組みをしたわけではないんです。以前の当社は家業的な雰囲気が強く、一般企業では「当たり前」とされることができていませんでした。なかでも、組織の指標が明確ではなかったことが一番の課題でした。
それまで中長期的な目標がなかったことで、社員は何のために仕事をしているのか分からず、「どこを目指したらいいのか」と解像度の低い状態が続いていて、モチベーションも低くなっていました。また、サブリースという安定した事業を行っていることもあり、創業者である祖父から社長を継いだ当時は、安定思考の社員が多かったんです。 祖父がカリスマ経営者だったこともあり、社内にはイエスマンが多く、マネジメントも支配的でした。また、一部の事業所では、管理職が逐一指示を出すティーチング型だったために、 指示がないと動けない組織ができあがっていたところもあります。
大きな転機となったのは就任2年目に、40歳を迎える2030年までに 「グループ連結で年商100億円を目指す」とビジョンを宣言したときのこと。 社長交代したタイミングの2020年9月期のグループ売上高は30億弱だったのですが、4年後の2024年9月期は40億円で、増収増益を達成することができています。
明確な目標ができたことで社員の目の色が変わりました。それだけでなく、彼らの意識をかえていくため、この間に私が徹底した行動があります。これが、当社の成長の礎になっているものであり、社員の主体性を育む結果になりました。
——その「行動」とは何なのでしょうか?
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