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連載:第45回 リーダーが紡ぐ組織力

倒産寸前の企業を蘇らせたリーダー。社員の主体性を引き出すために20年貫いたこと

BizHint 編集部 2024年12月26日(木)掲載
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どうすれば従業員が主体性を持ち、自ら考え動いてくれるのか――。この問いを紐解く、ヒントとなる企業があります。それが愛媛県に本社を置く、株式会社ありがとうサービス。同社では、現場の従業員が自ら考えアイデアを出し、それをどんどん実行に移しています。中には、海外での事業展開を成功させた例も。代表取締役社長兼会長 井本雅之さんは、どのようにして主体性あふれる組織を作り出したのか。その背景には、父から承継した会社の経営における経験と反省。そして、恩師である船井総合研究所の創業者 舩井幸雄氏の教えがありました。井本さんが20年以上貫いた、組織づくりの真髄とは。詳しく伺います。

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株式会社 ありがとうサービス
代表取締役社長兼会長 井本 雅之さん

1956年愛媛県生まれ。早稲田大学卒業後、日本マーケティングセンター(現・船井総合研究所)へ入社。母が経営するミシン販売店の代表取締役(現退任)を経て、1989 年、父が経営する今治デパートへ入社。1994年、代表取締役就任(現退任)。飲食業FCを展開する会社も立ち上げ、2005年、同社をありがとうサービスに社名変更。代表取締役就任。巨大フランチャイジーとして、リユースや飲食など国内外145店舗を展開(2024年12月末時点)。売上高97.3億円(2024年2月期)、社員数212名(2024年11月時点)。船井総合研究所グレートカンパニーアワード特別賞受賞ほか。


「船井総研」創業者に教えられた、経営者にしかできない責務

――貴社は、従業員一人ひとりが自ら考え、挑戦する企業として知られていますね。

井本雅之さん(以下、井本):ありがとうございます。着実に、自ら考えて動くことのできる従業員が増えていると思います。現場からも、さまざまなアイデアが上がってきます。

例えば、カンボジアやタイなどで展開する子会社「Mottainai World」も、従業員からのアイデアで生まれました。日本の店舗で売れず業者さんに有料で引き取ってもらっていた古着や雑貨などを、分類して海外で販売するというビジネスです。アイデアを出した者に任せてみたところ、海外で9店舗を展開するまでに成長しました。ユニークな例だと、当社でFC展開しているハードオフの店長が、買い取ったジャンク品の楽器で演奏する動画をYouTubeで配信し、今や登録者数35万人を突破するほどの人気を誇っています(笑)。彼には、「ハードオフのジャンク品の素晴らしさを全国に広げたい」という目標があるそうです。

このような組織になった背景には、父から引き継いだ会社「今治デパート」での経験と、新卒で入社した日本マーケティングセンター(現・船井総合研究所)創業者である舩井幸雄氏の教えがあります。

――詳しく教えてください。

井本:私は、1989年に父が経営する株式会社今治デパートに入社しました。当時はスーパーマーケットを多店舗展開していて、売上高は150億円ほどありました。

入社当時こそ景気が良かったものの、今治デパートはダイエーのフランチャイズであったため、その衰退とともに経営危機に陥っていきました。さらに、2000年に大型店出店の規制が緩和されて以降、小型店舗は競争に勝てなくなってきた……。そんななか、幹部が経営のリスクヘッジとして加入していた金融商品で、何億もの損失が発生してしまいます。私は、その際に社長を交代しました。もう八方塞がりで、どうしようもない。倒産寸前まで追い込まれ、ストレスで血尿が出るほどでした……。そのとき、「この状況を、どう切り抜けていくか」と考えに考え抜き、結論「自分が変わるしかない」と思い至りました。

当時の私は東京のコンサル会社出身ということで、傲慢なところがありました……。「私の言うことを聞いていれば、うまくいくはず」「自分がすべて正しい」という気持ちが強かった。だからこそ、幹部社員との信頼関係も築けていませんでした。現場にも厳しく接していたため、従業員からの信頼も薄く「働くことは、時間の切り売りです」と言う人もいるほど。とても、モチベーションが高いとは言えない組織でしたね。もちろん外部要因もありますが、このような組織をつくった原因は、傲慢さにより従業員と信頼関係を築けていなかった自分にあったと思います。

以降、一つひとつ目の前の課題に謙虚に向き合うと同時に、始めたことがあります。

それは、恩師である舩井幸雄氏の教えでもあり、現在の組織づくりの礎となっているものです。今治デパート時代から現在に至るまで、かれこれ20年以上継続しています。

――それは、何なのでしょうか?

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