連載:第68回 経営危機からの復活
「経営者失格」覚醒からのV字回復。変革の立役者が語る、最強チームのつくりかた
慢性的な赤字、多額の借金、膨れ上がる不良在庫……。そんな八方塞がりの状況のなか事業承継したのが、四国繊維販売株式会社 代表取締役会長である斎藤勤さんです。銀行担当者からの強烈な一言で目が覚め、自身の経営に対する意識が180度変わったそう。3つの施策を軸に見事V字回復。その後、経営を学ぶなかで出会った「全員参加型経営」を取り入れて組織改革を進めたところ、経営は安定し、従業員同士が助け合いながら自律的に働くように。離職率も3%程度と「人が辞めない組織」に変貌を遂げています。「まさに今が最強チーム」だと語る斎藤会長に、同社の軌跡を伺いました。
数字が理解できていない。経営者失格だ。
――斎藤さんは、経営危機に瀕した状態で事業承継されたとか。
斎藤勤さん(以下、斎藤): はい。2008年に先代が急逝し、No.2であった私が経営を引き継ぐことになりました。当時、1.6億円ほどの単年赤字を計上しているだけでなく、14億円分の不良在庫を抱え、さらに総額で23億円の借金がありました。13もの銀行から満額で融資を受けている状態で、まさに八方塞がり……。すべての数字が大きすぎて、もはや何から手をつけて良いのか分かりませんでした。
――どうされたのでしょう?
斎藤: 銀行からは「まず、手元に有るものをお金に換えてください」と言われ、在庫をとにかく安く売り、銀行への返済に充てました。とにかく毎日がむしゃらに働きました。
結果、6年ほどで借入金を5億円減らし、不良在庫も9億円分に。ただ、相変わらず赤字は続いていました。在庫をお金に変えるために安く売り叩いていたのですから、ある意味当然です。
自分自身でやれることに限界を感じていた最中、香川県中小企業再生支援協議会の支援案件に選ばれました。これは、税理士や中小企業診断士のような経営のプロが一緒になって再生に取り組んでくれるというもの。まさに、最終列車に飛び乗った形です。ただ、そのとき融資を受けていた銀行の担当者にかけられた言葉に、大きなショックを受けます。
「あなたは、数字も分からずに経営やっているんですか?」 と。数字の動きの背景が分かっていない、経営者がそれを分かっていないのは最悪だ。そんなことも分からないようでは 「経営者失格だ」 と……。
それまでの6年、自分なりに必死に頑張ってきたのです。言われたときは、腸が煮えくり返るくらい腹が立ちましたよ。でも今思うと、この言葉がなければ、この会社はなくなっていたとさえ思います。
――どういうことでしょうか?
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