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2018年11月18日(日)更新

採用基準

採用基準とは、企業にとって適した人物を採用するための、比較・判断に用いる一定の要件を指す言葉です。応募者を正しく公平に評価したり、雇用のミスマッチを防ぐためには必要不可欠な要素です。今回は、この採用基準についてご紹介します。

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1.︎採用基準とは

そもそも「採用」という言葉には、「適当であると思われる人物・意見・方法などを、取り上げて用いること」という意味があります。そして「基準」は、「物事を比較・判断するよりどころとなる一定の標準」という意味があります。

つまり「採用基準」とは、「企業にとって適した人物を採用するための、比較・判断に用いる一定の要件」を指す言葉であると言えます。

【出典】コトバンク「採用」
【出典】コトバンク「基準」

2.採用基準を設定する目的

それでは、採用基準はどのような目的で設定されるのでしょうか。

応募者を正しく公平に評価する

先ほども触れたように、「評価基準」は企業にとって適した人物を採用するための比較判断のために使われます。人材の採用においては、人間が人間を評価・判断します。しかし、人間は感情を持っているので、つい今の自身の状態や、価値観に基づいた主観などによって評価が左右されてしまう事もあります。

あらかじめ明確な採用基準を設定しておく事で、複数の面接官が、正しく公平に対象者を評価する事ができるようになります。

【関連】BizHint HR「面接官の心得や質問の内容、やり方のポイントを総まとめ」

雇用のミスマッチを防ぐ

次に、雇用のミスマッチの防止です。「雇用のミスマッチ」とは、主に企業が求めるスキルや条件などが、求職者のそれと一致しない場合や、企業と求職者の性質・求める社風・モチベーションなどが一致しない事を言います。これにより、入社後にパフォーマンスが発揮できない、最悪の場合早期離職となるなど様々なデメリットがあります。

評価の段階で採用基準が適正に設定されていれば、このミスマッチを防止する事も可能となります。

【関連】 BizHint HR「雇用のミスマッチの意味とは?現状を踏まえた原因と対策・解消法」

3.︎企業が重視する採用基準

それではここで、実際に日本企業において重視されている採用基準についてご紹介します。

新卒採用

まず、新卒採用について見てみましょう。

2016年のリクルートキャリアの調査(対象:新卒採用を行っている従業員5名以上の企業1,231社)によると、「企業が採用基準で重視する項目(複数回答)」について、以下のような結果となりました。

新卒採用は、応募者が学生であり社会人としての実績がないため、実際の仕事における実績や能力が測れないという性質があります。そのため、潜在的な能力や可能性を測る「ポテンシャル採用」となります。それにより「人柄」「熱意」「可能性」が上位となり、各種適正検査の結果と併せて判断されているようです。

  • 1位…人柄(93%)
  • 2位…自社/その企業への熱意(79%)
  • 3位…今後の可能性(68.4%)
  • 4位…性格適正検査の結果(41.2%)
  • 5位…能力適性検査の結果(34.8%)

【出典】株式会社リクルートキャリア「就職白書2016 -採用活動・就職活動編-」

中途採用

次に、中途採用です。

2014年のenミドルの転職の調査(対象:転職コンサルタント184名)によると、「求人企業は面接において、どのような点を重点的に確認する傾向がありますか」という問いに対し、以下の様な結果が得られました。

中途採用の場合、まず重視されるのは「なぜ前職を辞め、当社で働く事を希望しているのか」という点。そして、新卒採用のポテンシャル採用と違い、これまでの実績・経験やスキルが重要視されている事が分かります。

  • 1位…志望動機(55%)
  • 2位…転職・退職理由(53%)
  • 3位…活かせる経験・スキル(41%)
  • 4位…前職での実績(成果)(40%)
  • 5位…自社でやりたいこと(29%)

【出典】enミドルの転職「”求人企業が面接で、実は重視している確認ポイント”について」

4.︎採用基準の設定方法

それでは、採用基準の設定方法についてご紹介します。

①︎採用市場の現状を把握する

まずは、採用市場の現状を知る事から始めます。

例えば新卒採用は、2017年3月の大学(学部)卒業者の就職率は97.6%となり、平成9年の調査開始以来過去最高の数値となりました。つまり、完全な「売り手市場」となっており、人材獲得競争が激化している事が分かります。また転職市場は、求人情報・転職サイトDODAの調査によると2017年5月時点で求人倍率2.46倍という売り手市場となっており、30ヶ月連続で求人数を伸ばしています。

【出典】DODA「転職求人倍率レポート(2017年5月)」

これら「売り手市場である」という現状だけではなく、同じ業界の採用動向や、競合他社の採用条件などについても細かくリサーチ・分析するなど、まずは市場を知る事が重要です。人材サービス業の担当者などにヒアリングするのも一つの手法です。

そうする事で自社の採用基準と照らし合わせ、例えば、適正な採用基準を導き出したり、採用条件が過剰になっていないかなどの判断や、妥協点を模索するなど、採用について根拠を持って考察する事が可能となります。

【出典】厚生労働省「平成28年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)について」

②社内でヒアリングを実施する

社内で人材の需要が出た場合、まずはヒアリングを実施しましょう。募集職種が判明した段階である程度求められる能力は出揃っていますが、これは求める人物像(人材像)をより正確に把握するために重要なプロセスです。

ヒアリングの対象は、経営層・現場の責任者・現場のスタッフなどです。経営層は経営理念などの視点から、そして現場では実際に共に働く上司・仲間の視点での意見が聞けるでしょう。現場へのヒアリングの重要性については、「5.採用基準設定の注意点」でも詳しくご紹介します。

③コンピテンシーを作成する

コンピテンシーとは、高い実績を挙げている社員に共通して見られる行動特性の事。ヒアリングした必要要件を元に、それを既に満たしている優秀な社員に共通する行動特性を分析し、求める人材に必要な行動特性を挙げてゆきましょう。

【参考】BizHint HR「コンピテンシーとは?人材育成・組織開発への活用法をご紹介」

④求める人物像を明確にする

社内ヒアリングやコンピテンシーの分析により、求められている人物像がよりリアルに想像できるようになります。この段階では、求める人物像、所謂「ペルソナ」を詳細に設定します。そうする事で、採用基準はより明確で適正なものとなります。

具体的には、以下のような項目に落とし込みながら人物像を模索しましょう。

  • 能力…コミュニケーション能力・学力・課題解決力・論理的思考力 など
  • スキル…専門的な知識・技術・資格 など
  • 経験…研究・留学・海外勤務経験 など
  • 属性…性別、年齢、地域等
  • 社会適合性…価値観・仕事観・社風との適合性 など
  • 勤務条件…勤務時間・給与・勤務地 など

【参考】BizHint HR「求める人物像を定めるためのポイント」

⑤評価項目をピックアップ

人物像が明確になったら、実際に応募者を評価する際に基準となる項目をピックアップします。 「能力面」「人間性」「条件面」などの項目毎にその人物像の特徴を書き出してゆき、重視する順番に並べます。それが「採用基準」となり、応募者の評価を判断する要件となります。

⑥採用フロー毎に評価基準を作成

特に新卒採用の場合は選考する人数が多いため、採用フロー毎に重視すべき採用基準を示しておく必要があります。

例えば、書類選考やエントリーシートの段階では、成績・誤字脱字・文章の整合性・志望動機の納得性など基礎的な部分を評価。面接の段階では、より掘り下げた質問を用いて、熱意や意欲、考え方、社風への適合性、応答のスピード感などの面を評価する、などです。

5.採用基準設定の注意点

それでは、採用基準を設定する際の注意点について見てみましょう。

現場の意向を必ず取り入れる

採用基準を設定する際、採用された人材が実際に働く現場へのヒアリングは必須です。実際に働く現場で求められている事・求められている人物像を把握していなければ、採用基準を作成できないと言っても過言ではありません。これを実施せず、安易に採用を決めてしまうと雇用のミスマッチが起こるなどトラブルの原因になります。

特に中途採用などの場合は、あらかじめ仕事内容が確定している場合が多いでしょう。現場の責任者やスタッフにヒアリングし、具体的にどのようなスキルや能力、実績のある人が欲しいのか。また、可能ならどのような考え方、価値観、仕事観を持った人が理想なのかなど、具体的に知っておく必要があります。

また、採用基準ができたら必ず現場にもフィードバックし、擦り合わせを行いましょう。

最終決済者との情報共有

最終面接は、役員や経営者など上層部の人材が実施するケースが多いでしょう。しかし、その多くは現場から離れて時間が経過していたり、過去の価値観を持っている場合もあります。

求める人物像を含む採用基準をしっかりと説明し、特に最終面接で重視すべき採用基準などを明確に伝えておく事が重要です。その際、なぜこの人物が最終面接に残っているのかなど、これまでの評価の経緯も伝えておくと、ギャップの無い採用に繋がります。

6.︎採用基準の企業事例

それでは、実際の企業の採用基準について見てみましょう。

マッキンゼー・アンド・カンパニー

まずは、世界的なコンサルティング企業であるマッキンゼー・アンド・カンパニーの採用基準です。マッキンゼーの日本法人にて12年間採用マネージャーを勤めた伊賀泰代氏によると、マッキンゼーにおいて最も重視される採用基準は「リーダーシップ」であるという事です。

コンサルタントは、クライアント企業に対して部外者であるにも関わらず、その企業を変える事をミッションとした仕事。ゼロから信頼を構築する必要があります。そのためには、企業内部の人材に「この人と一緒に会社を変えよう」と思わせるためのリーダーシップの発揮が必要となるのです。

また、同社では「バランスの良い人材」ではなくそれぞれの分野で突出した魅力を持つ「スパイク型人材」であるかも重要視されています。メンバー全員が何か突出した物を持っているチームの方が、その力を最大化できると考えられています。

【参考】ダイヤモンド・オンライン「マッキンゼーにおける”一流の人材”とは? / マッキンゼーの元採用マネジャーに聞く”人材の条件”」

グーグル

今や全世界から応募者が殺到し、採用試験はハーバード大学の倍率の実に25倍とも言われる、米グーグル社の採用試験。グーグルの採用活動は面接にじっくり時間をかけられており、特に「構造的面接」においては、応募者の回答を評価するための明確な基準があらかじめ用意されています。それにより、応募者同士の比較がしやすくなり、面接官による評価のギャップも起きにくくなっています。

グーグルが人材採用において重視しているのは「エキスパートではなく聡明なジェネラリスト」である事。つまり、ビジネスにおいて広範囲に知識や技術を有している人材です。そして、人事担当責任者であるラズロ・ボック氏が語る5つの採用基準は、

  • 愉快なことを楽しむ
  • ある程度の謙虚さを備えている
  • きわめて誠実である
  • 曖昧さを楽しむ余裕がある
  • 人生で勇気のいる、または興味深い道を進んできたという証拠を手にしている

とされています。

【参考】東洋経済オンライン「最強組織グーグル、その”採用基準”とは?人事担当責任者が語る”5つの条件”」

アマゾン

世界において「インターネットで買い物をする」という習慣を作り出した米アマゾン社では、CEOであるジェフ・ベゾス氏が設定した3つの採用基準があります。

  • 尊敬に値する人物か
  • チームの業務効率をアップさせる事ができるか
  • 突出して優れている面を持っているか

まず、採用担当者は応募者と対峙する際に「自分はこの応募者の事を尊敬できるのか」という視点で評価します。社員の質を確保するために、レベルの高い人間性が求められます。

次に、「チームの業務効率をアップさせる事ができるか」という基準です。アマゾンでは、組織が継続的に向上していく事を目標に、人材に対しても現状に満足しない、常に向上心を持った人材を求めています。

最後に「突出して優れた面を持っているか」という点。アマゾンの職場環境を「楽しい」「好奇心に満ちた」環境にするために、オリジナルなスキルや趣味などを持っている事が重視されています。

【参考】マイナビ転職 中途採用サポネット「Amazonの採用基準!CEOジェフ・ベゾス氏が設定したハイレベルな3つの採用基準」

7.まとめ

  • 採用基準は、応募者を正しく公平に評価したり、雇用のミスマッチを防ぐために必要不可欠な要素である
  • 採用基準を設定するには、採用市場を知る事、社内へのヒアリングなどによって求める人物像を明確にする事が非常に重要
  • 採用基準を設定する際、実際に働く現場で求められている能力やスキル、そして人物像や仕事観、など細かい要件の把握が必要

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