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連載:第49回 成長企業 社長が考えていること

「効率重視」は本当に正しい経営なのか?“世界一”を掲げる地方中小が貫く本気

BizHint 編集部 2023年9月19日(火)掲載
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日本国内において、全企業数のうち中業企業の割合は99.7%。一方で、廃業数は年々増加傾向にあり、現在において中小企業が生き残るのは決して簡単な道ではありません。そんな中、地方都市において社員の幸せを第一に経営を行い、57期連続で黒字経営を続けている中小企業があります。それが、沢根スプリング株式会社です。同社の沢根孝佳会長は、経営においても組織づくりにおいても、あえて「非効率」を追求しているそう。その理由とは?詳しく伺いました。

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沢根スプリング株式会社
取締役会長 沢根孝佳さん
1975年、東京都立工科短大を卒業し、NEC日本電気へ入社。1978年に沢根スプリング株式会社へ入社し、自動車電装部品メーカーや米国企業にて修行ののち1990年に社長へ就任。1993年に中国合弁会社を設立し、1994年に通販会社のサミニ株式会社の取締役に就任。2021年より現職。

代表取締役社長 沢根巨樹さん
大学を卒業後、アメリカでの研修を終え、中国第一汽車集団と立ち上げた合弁会社、無錫澤根弾簧へ赴任する。2009年から2015年にかけ、中国現地の自動車メーカー向けに技術指導も行い、海外ビジネスの販路を拡大する。帰国後は沢根スプリング株式会社へ入社し、2021年より3代目として現職。


「効率」より「非効率」な楽しさを追求したことが、生き残るための原動力に

――貴社は第4回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」中小企業庁長官賞の受賞をはじめ、その経営手法が大きな注目を集めています。

沢根孝佳会長(以下、孝佳会長): このように名誉ある賞をいただいた背景は、社員を幸せにする経営に取り組んできたことを評価いただけたからです。「社員の幸せ」を第一に経営を続けた結果、57期連続で黒字経営を続けています。今年の2月には、経済産業省で開催された「価格転嫁と賃上げ」をテーマにした西村経済産業大臣と中小企業経営者との車座対話に参加させていただきました。そしてとくに宣伝もしているわけではないのですが、当社にはたくさんの方が会社見学に来てくださいますし、「入社させてほしい」とお電話をいただくこともあります。ありがたいことですよね。

――それだけ貴社の経営に多くの関心が寄せられているということですね。

孝佳会長: そうですね。ただ、「社員の幸せ」=「らくして仕事ができる環境」ではありません。仕事は、そもそも大変なんです。決してらくなものではありません。 自分が本当に好きなものをやって、寝食を忘れてしまうほど夢中になって取り組める。その過程を通して自己成長していき、結果お金も貯まるというのが理想であり、本当の社員の幸せ だと考えています。だからこそ、働くことは厳しさの中にも“楽しさ”がないといけない。これが当社なりの「社員を大切にする」方法です。

――貴社では「働き方改革」ではなく「楽しみ方改革」を推進されているとのこと。

孝佳会長: はい。たとえば、業務において無駄をなくす、残業をなくすために効率化していくことはとても大事かもしれません。ですが、 その仕事は本当に楽しいでしょうか? 効率化を極めることで、マニュアルや作業標準は整うかもしれません。しかし一方で、毎日同じことの繰り返しで仕事が楽しくなくなったり、思考停止に陥ってしまうかもしれません。結果、企業の成長を止めてしまう可能性も秘めているのです。

効率ばかりを追い求めてしまっては、このような 「効率一辺倒の弊害」 が出てきてしまうんです。当社も以前は同じでした。

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