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連載:第4回 経営・SaaSイベントレポート2023

2期連続赤字の組織を1年で再生。社長が語る「V字回復2つの法則」

BizHint 編集部 2023年5月19日(金)掲載
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今話題のChatGPTをはじめとして、AI・人工知能領域に高い注目が集まっています。かつて日本に一大ブームを起こした「Pepper(ペッパーくん)」のアプリ開発をはじめ、国内において、黎明期からAIやロボット・IoT事業へ進出してきた株式会社ヘッドウォータース。同社の株価は半年前に比べ約5倍(2023年4月現在)と、今まさに急成長を遂げている企業です。しかし、これまでの道のりは決して楽なものではありませんでした。一時は経営者自身が「どこの会社だろう?」と思ってしまうほど、赤字が続く組織になっていたことも。そこからどのようなアプローチを行い、たったの1年でV字回復を達成したのか。代表取締役の篠田庸介さんに伺いました。

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ビジョンのために売上8割の事業を捨てた

モデレーター・今井達也さん(以下、今井): 貴社はAI・IoT分野で大きく成長されています。その経緯をお聞かせください。

篠田庸介さん(以下、篠田): 2005年に設立した当社は、もともとは受託開発の事業からはじまりました。2014年頃、人型ロボットPepper(ペッパーくん)のアプリケーション開発をさせていただく機会を他社に先んじて得て、そこからAI・ロボット・IoTを中心とした事業に集中しています。

「誰もやっていないことをやろう!」という思いで起業して以降、テクノロジー分野の最先端に挑戦し、ちょっと稼いでは次の事業…と挑戦していたのですが、正直10年くらいは多くの失敗を繰り返していましたね。それこそ数年~10年後に時代が追い付いてくるといった形で、敗因はだいたい「早すぎてダメ」。ただ根っこには 「儲かる・儲からないは誰にもわからない、だからやる」 という思いがありました。

ペッパーくんのアプリケーション開発について言えば、当時、人型ロボットが仕事をするというのは世界でも日本だけ。まさにトップランナーでした。そしてその分野では、かなりのシェアを獲得できました。

今井: その後、当時の売上の80%を占めていたSES(システムエンジニアリングサービス)事業を撤退する判断をされていますね。

篠田: 私としては、いろいろな条件が重なった上での自然な決断でした。

当社は「テクノロジーで未来を変える」というビジョンを掲げています。ペッパーくんから始まったAI・ロボット・センサ・IoTのソリューション開発という事業が軌道に乗り、またその分野で社会に対して責任を負う・必ず会社を成長させる覚悟ができました。その覚悟が「上場」です。それに合わせて、当社のビジョンである「テクノロジーで未来を変える」に集中しようと考えたのです。

集中するというのは「それ以外を捨てること」でもあります。 SESも世の中には必要ですし、素晴らしい事業です。しかし、私が実現したい未来とはズレていました。ですので「集中するために捨てる」判断をしました。AI・IoTに全振りしよう、と。

正直、ここでも「儲かる・儲からない」は度外視していた節はあります。判断基準は、ビジョンに合っているかどうか。私の判断、私たちの思想、会社の取り組みが社会に受け入れられ、評価されれば自ずと会社は伸びるだろうと。

2年で2億の赤字。仕方ない赤字と、悪い赤字

今井: 翌2015年、2016年には赤字になっていますね。

篠田:これも「集中するために捨てる」決断を行った結果 です。売上の80%を占めていたSES事業のほかにも、さまざまな事業を展開していました。

その中のひとつで、ベトナムやカンボジアでトータル200~300人のSEを抱えて、オフショア開発(海外企業や人員でのシステム開発)を請け負っていました。当時、これだけの規模でオフショア開発をやる日系企業は当社くらいしかなかったと思います。

今でこそオフショア開発は普及してきましたが、やはりこれも早すぎました。なかなか仕事が取れない…儲からない。上場に向けて事業を集約し「AI・IoTに集中」と舵を切るため、オフショア開発の撤退という判断をしました。ただ、海外事業の撤退というのは本当に費用が掛かります。

撤退資金や上場準備の費用…結果として赤字に転落しました。

篠田:ただ、2015年の赤字と2016年の赤字は、まったく性質が違います。

2015年は、その後本業に一点集中するための、事業を整頓するための赤字。仕方ない側面もあります。それまでも我々はいろいろなことにチャレンジしていて、それはある意味、命をかけたものでもありましたし、結果赤字になることだってありました。

むしろずっと安定していることは稀で、業績のアップダウンを繰り返すことを「心電図」とも呼んでいたくらいです。赤字になることは、我々がチャレンジをした証。生存証明でもあるのです。そういう意味で、2015年の赤字は想定内でした。

しかし、2016年の赤字はまったくの別物。こちらは 我々にとって根が深い、組織の根源に関わる赤字だったのです…。

気づけば言い訳が蔓延…赤字が続く組織に。

今井: 2016年の赤字は、どのようなものだったのでしょうか?

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