連載:第19回 経営・SaaSイベントレポート2023
キーエンスに学ぶ「稼げる会社」のつくり方。あなたは本当に"お客様"を理解できていますか?
「業績をもっと伸ばしたい」「自社サービスの付加価値を高めたい」――経営者なら誰もが望むことではないでしょうか。そのヒントになるのが、50%を超える営業利益率を誇る株式会社キーエンスの「高付加価値経営」です。今回は、キーエンス出身で10万部突破のベストセラー書籍『付加価値のつくりかた』の著者である株式会社カクシン 代表取締役CEOの田尻望さんに「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」キーエンス流の事業づくりについて解説していただきました。
営業利益率50%以上!キーエンスの強さは「付加価値」だけでは実現しない
モデレーター・井上和幸さん(以下、井上): キーエンスは規模を拡大しながら50%を超える高い営業利益率を保っている日本有数の企業です。本当にすごいことだと思います。
田尻望さん(以下、田尻): 2022年度の連結経営指標は、売上高9,224億円、営業利益4,889億円、営業利益率は54.1%となっています。一方で、これだけ売上利益を上げておきながら、従業員数は連結でも1万名ほどしかいないんです。
キーエンスの経営理念は 「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」 ことにあります。去年よりも今年、今年よりも来年、一人当たりの付加価値や生産性を高めることを追求している会社です。営業利益率を下げて40%や30%で展開したら売上は数倍に増えるかもしれませんが、それはキーエンスが目指す方向ではありません。焦って人を増やそうとする会社を見ると「やめておいたほうがいいのに」と思います。既存の人員でもっと高回転できる仕組みをつくって、一人当たりの付加価値、生産性、粗利益を上げていく。その上で人を増やし、いったん下がった数値を再び上げる。この順番を間違っている会社が多いです。
井上: 今日のトークライブのテーマでもある「高付加価値経営」について。そもそも付加価値とは何でしょうか。
田尻:付加価値とは、わかりやすく言えば「御社の役に立ちますよ」という戦略 です。たとえば「この商品の機能は〇〇です」といった説明は、ただの特徴戦略にすぎません。「この機能があることで『御社の生産性がこれだけ上げられます』『コストがこれだけ下げられます』」これが付加価値です。
ただ、キーエンスの「高付加価値経営」はこれだけでは実現できません。付加価値を捉える際の前提として、もうひとつ重要なものがあるのです。
井上: それは一体なんなのでしょうか?
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