連載:第23回 経営・SaaSイベントレポート2022
企業の明暗を分ける2つの力。日本の「失われた30年」から読み解く、10年後も生き残れる企業に不可欠な〇〇
バブル崩壊後から現在に至る、「日本の失われた30年」。他の先進国と比べ、GDP成長率など大きな遅れをとってしまっている現状があります。この先、2030年以降も日本企業が生き残っていくためにはどう変わっていかなければならないのか。「失われた30年」を紐解きながら、企業の明暗を分ける2つの力について解説します。
福岡県宗像市生まれ。フューチャリスト(未来予測家)として、日本のビジネスや経済の未来予測を行っている。経営者や教育者が取るべき行動を公式YouTube「2030年の未来予測チャンネル」にて発信中
日本の2つの失敗。なぜ「失われた30年」を招いてしまったのか
バブル崩壊から現在に至る、いわゆる「失われた30年」で、日本企業は世界に大きな遅れをとってしまっています。
下記表を見ていただくと、1989年(平成元年)の世界時価総額ランキングは、TOP10のうち7社が日本企業です。1位はNTTでした。しかし、今はどうでしょうか。2022年(令和4年)に発表されたランキングを見てみると、TOP10には日本企業が1社もありません。31位にようやく日本企業のトヨタ自動車がランクインしていました。
※STARTUP DB「2022年世界時価総額ランキング」より引用
一体この間に、何が起こったのか。なぜ日本企業は世界の企業に遅れをとってしまったのでしょうか。僕は、大きな要因は2つだと考えています。
1つ目は、IT化の遅れです。少子高齢化に伴い、労働生産性を保つため、日本は「IT化による生産性向上」ではなく、「親日家が多いアジア圏の外国人を雇用して労働力を確保する」という選択をしました。
外国人労働者の雇用は、その人々の生活を支えた側面もあり、それ自体が悪いわけではありません。ただ結果論で言えば、30年で主要7か国の中で、日本の生産性の伸びは鈍いものでした。就業者1人当たり労働生産性は、アメリカの141,370ドル(1,454万円)に対し、日本は78,655ドル(809万円)※。この数字からも 日本の生産性が低いという事実が浮き彫りになっています。
※公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2021」のデータより
また、2045年には人工知能の性能が人類の知能を超えるという「シンギュラリティ(技術的特異点)」が発生すると言われています。シンギュラリティの提唱者であるレイ・カーツワイル氏はさらに、「収穫加速の法則」も唱えています。
「収穫加速の法則」とは何なのか。わかりやすく言うと、 過去10年間の変化が今後1年で起こるという法則 です。1つの発明がほかの発明と結びつくことにより、さらなる発明までの期間を短縮し、イノベーションの速度がどんどん加速していくことを指しています。
現に今もIoTでどんどん物が進化していますよね。この収穫加速の法則を象徴するのが、イーロン・マスク氏が経営するテスラではないでしょうか。
2022年時点で言えば、テスラの中古車は価格が下がらないと言われてきました。それはなぜか?通常、車は購入した瞬間から古くなっていくもの。しかし、テスラ車は購入後も、新しくなっていきます。車を買い替えなくても、インターネットに接続してソフトウェアをアップデートしていくことが可能だからです。iRobotのルンバも同様ですね。機能が随時アップデートされることで高い品質を維持し続け、人気を保っています。 こうした手法はどんどん広がっており、IT化なしには世界企業と戦っていくことは不可能です。
日本が世界に遅れを取ってしまった2つ目の要因について。それは、
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