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連載:第40回 成長企業 社長が考えていること

過去最高業績を更新する経営者が語る、「人をコントロールする」心理学はない。社員を変えるな、自分が変われ!

BizHint 編集部 2022年8月23日(火)掲載
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人には言うものの、なかなか自身で行うのが難しい「自分が変わる」こと――2013、2014年と2年連続で約5,000万円の赤字に転落、父から継承した会社が倒産の危機に。そこからV字回復を遂げ、2019年には過去最高の業績を叩き出した株式会社日本消音研究所。同社を率いる荒尾純平社長はその秘訣について「心理学を学び、社員とのコミュニケーションを多く取り入れたこと」だと言います。ただしそれだけでは不完全で、「テクニックではなく、社長自身の在り方を変えること」が必要だとも。今回は荒尾社長から「会社や社員を変えるためには、まず自分が変えること」という考えについてお伺いしました。

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株式会社日本消音研究所
代表取締役社長 荒尾 純平さん

1963年生まれ。父親が創業した「株式会社日本消音研究所」に22歳で入社。2002年に代表取締役社長に就任。空調設備の消音対策におけるパイオニアであり、導入先は六本木ヒルズ、新国立劇場、ナゴヤドーム、あべのハルカスなど全国で多岐にわたる。2015年から学び始めたNLP(神経言語プログラミング)やアドラー心理学を経営に活用し、業績拡大を実現した。


子ども時代から創業メンバーという意識「自分がこの会社を成長させる!」「父に負けたくない!」

――「消音」というのは、具体的にどのようなお仕事なのですか?

荒尾純平さん(以下、荒尾): 「騒音を消す」というジャンルの仕事になります。世の中にはいろいろな騒音がありますが、弊社が担うのは空調による騒音です。テレビのスタジオやコンサートホールなど、ムダな音があっては困る場所を作りたい人たちがメインのお客様となります。弊社は音を消すための技術開発を行い、お客様に最適な消音技術の提案と消音装置を設計・製造・販売するメーカーとなります。

消音器

消音器をダクトに繋げた様子

荒尾: 創業は私の父で、私が中1の時に独立しました。元は船舶通信士として働いていて、細かい作業が得意な技術屋です。建築ラッシュ時代に空調の消音技術を開発し、今の会社を起こしました。私が高校生の時です。

私も父が独立したときから、土日は仕事場についていっていましたし、ずっと父の働く背中を見ていました。「自分もこの会社の創業メンバーだ」と思っているくらい、この会社が大好きでした。だから、高校生の時には、父があまり得意としない経営の勉強をすることで、将来は自分が会社をサポートして大きくしようと決めていました。

――最初から事業を継承するつもりだったのですね。

荒尾: そうです。そのために大学で経営を学ぶつもりでいましたが、就職先が決まっているという甘えもあり、勉強もせず遊んでしまいました……。このままでは7年ぐらいかけないと卒業できないと悟り、3年半で中退し、この会社に入りました。

入社後は心を入れ替え、それこそ早朝から深夜まで、誰よりも働いていたと思います。一方で実際に働き出してみると、仕事をしている父は大好きでしたが、経営者としてのやり方には反発を覚えました。そのうち、自分は自分のやり方でもっとこの会社を大きくしていこうと、他の人が手をつけようともしない作業効率アップのためのデジタル化を自分でどんどん進めていきました。

しかし、それで父と諍いが起こったことはありません。今思えば「純平がやることは間違いない」という無言の信頼があったように感じます。それなのに当時の自分の中では「父には負けないぞ!」という競争心みたいなものがありました。どんなに頑張ってもしょせん創業者に勝てるわけがない。そんな心の葛藤が20代から30代の自分にはあったのだと思います。

――そんな荒尾さんが社長に就任したのは何歳の時ですか?

荒尾: 私が40歳のときです。同じ業界の社長と会談していた時に、敵対するのではなく提携することでより大きな利益を得られるようにしようという話で盛り上がったのです。会社を大きくするためにはいい話だと思い、父を説得して共同出資の販売会社を設立しました。その際に先々のことも考え、父には新会社の社長になってもらい、私が既存の会社の社長に就任したというのが経緯です。ところが、共同出資の会社は初年度こそ大成功を納めたのですが、翌年から業績が悪化し、4年で解散することになりました。結局、父には弊社の会長となってもらいました。

とはいえ本業については、私が社長就任後10年ぐらいはいい感じで進んでいたので、自分のやり方は間違ってはいないだろうと考えていました。ところが、ある事件がキッカケで完全に自信を失いました。

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