連載:第12回 Hop Step DX~デジタルトランスフォーメーションでつかむ次の成長
トヨタが認める中小企業。社員の幸せを守るための経営判断は、生き残りをかけたDXだった
静岡県浜松市にあるパイプ加工のパイオニア、国本工業株式会社。同社のもつ技術は、トヨタ自動車をはじめ、多くの企業から高い評価を受けています。ただ、すごいのは技術だけではありません。生産ラインの自動化、パートナー企業とも連携したシステム構築により、圧倒的な効率化を実現し、新たな価値を生み続けています。同社はなぜこのような環境を実現できたのか。同社代表取締役会長 國本幸孝さんにお話を伺いました。
国本工業株式会社
代表取締役会長 國本 幸孝さん
1965年国本工業入社、1983年同社代表取締役社長に就任。2000年に取引先の経営が悪化したことで、四輪自動車産業への進出を企画。「革新的チューブフォーミングシステム」を開発し、金型プレスによる薄肉パイプの加工法を確立する。同技術が高く評価され、2007年には従業員わずか数十名ながらトヨタ自動車との直接取引を開始。2020年「旭日単光章(中小企業振興功労)」を受章。
DXの定義は、全ての情報を一元化して経営全体をコントロールすること
――貴社はパイプ加工のパイオニアでありながら、中小企業ではまだまだ着手できていないDXにも積極的であると伺っています。
國本幸孝さん(以下、國本): 当社では、 すべての情報を一元化して、経営全体をコントロールすることを「DX」である と捉えています。「経営全体をコントロール」するという点で重要視しているのが 「QCD(品質[Quality]・コスト[Cost]・納期[Delivery]の頭文字をとった用語)」。 DXの取り組みは、情報を一元化することでこのQCDのどれかにイノベーションを起こすことを目的としています。
当社は、1943年に織物メーカーとして創業、その後1950年代からはプレス加工に携わるようになりました。二輪車を止めるためのスタンド製造をメインに、そのほかマフラーやタンクなどの加工を請け負っていました。しかし、二輪車の国内生産縮小に伴い、仕事が激減。
そこで一念発起して編み出したのが、パイプの連続曲げや極小曲げといった、プレスによる独自のパイプ曲げ加工技術です。この技術をもって自動車産業へ参入することができ、今に至ります。 経営危機に生み出した独自の技術と革新的なアイデアにより、トヨタ自動車をはじめ、多くの企業から高い評価をいただくことができました。
1本のパイプを変幻自在に曲げ、求める厚さや形状を成形する。どの材料を・どの環境下で・どういった加工をほどこせば成形できるかをすべてデータ化されているそう
國本: しかし、加工技術ばかり磨いても、生産効率を高めない限りは会社の成長は望めません。そのため、私が入社してから早々に自動化(FA:ファクトリーオートメーション)を進め、現在では生産ラインの70%が自動化できています。
これらの現場改善が確かな土台としてあり、その上でデータやデジタル技術を活用することにより、新たな価値を生み出し続けることが可能となっている のです。
――貴社のDXの取り組みについて、詳しく教えていただけますか?
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}
関連記事
バックナンバー (16)
Hop Step DX~デジタルトランスフォーメーションでつかむ次の成長
- 第16回 社員に「自分たちはお払い箱」と言わせてしまった。社長の後悔と対話が共に成長する組織の礎に。
- 第15回 組織を変えた「見える化」。会社存続の道を極めたらDXしていた地方メーカーの話
- 第14回 誰一人置き去りにしない経営。会社の危機・変革時にこそ貫き通す社員への思いやり
- 第13回 超優秀な自社システムの公開で、業界まるっとデジタル化。半信半疑だった課長は、社外を見て何を確信したか
- 第12回 トヨタが認める中小企業。社員の幸せを守るための経営判断は、生き残りをかけたDXだった