連載:第14回 Hop Step DX~デジタルトランスフォーメーションでつかむ次の成長
誰一人置き去りにしない経営。会社の危機・変革時にこそ貫き通す社員への思いやり
プロジェクトのスピードを優先したため、一部のメンバーがついて来られなかった。果たしてそのプロジェクトは成功と言えるのでしょうか?その問いに明確な「ノー」を回答するのが1943年創業の板ガラスの総合メーカー、イケダガラス株式会社です。いわゆる「昔ながら」の組織だった同社は、コロナ禍を機にIT化・DXの土台作りに舵を切ります。まずは社内でできることから始め、やがてパートナーと二人三脚の体制に。そこでの最優先事項は「誰一人置き去りにしないこと」。なぜそれを言い切るのか?またどのような進め方をしたのか。専務取締役の池田友和さんと社長室主任の城代裕也さん、同社をサポートする株式会社INDUSTRIAL-X代表取締役CEOの八子知礼さんと事業開発マネジャーの松岡隆義さんにお話を伺いました。
緊急事態宣言での出社停止。会社の動きが何も見えなくなった
――貴社の事業内容を教えてください。
池田 友和さん(以下、池田): 当社は板ガラスの総合メーカーとして、大きく3つの事業部門があります。自動車用、建築用、産業用です。自動車用では大手自動車メーカー向けのガラスを取り扱っており、建築用ではビルなどで使用する窓ガラスの加工から販売・工事までを手掛けています。産業用は本当に幅広く、分かりやすいところでは電子レンジの扉用のガラスや冷凍ショーケース、ホテルのエレベーターのガラスなどもありますね。
――池田専務は2000年ごろ、シアトルから日本の本社に戻られました。仕事の進め方について違いはありましたか。
池田: 20年近く前の話になりますが、シアトルの会社はシステム化に注力していて、その頃からマネージャーは全員ノートPCやモバイルを持って仕事をしていました。
一方、当時の日本の社内はデスクトップPCはあるものの、ノートPCを持ち歩いている従業員は一人もいませんでしたね。
――貴社では最近、社長室がIT活用・DX推進の旗振りを始められています。背景を教えてください。
池田: 大きなきっかけは2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言でした。もともと当社はフェイス・トゥー・フェイスのコミュニケーションを大事にしていたこともあり、IT活用についてはあまり進んでいませんでした。
しかしこの時ばかりは、いよいよ会社としての対応を迫られました。お客様の事業がストップし、当社の業績は単月ベースで過去最悪の数字に。そして 何より困ったのは、出社停止や変則勤務などにより「会社の動きがまったく見えなくなった」こと でした。
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