連載:第22回 人材育成 各社の取り組みを追う
人間関係が8割。伊那食品工業の社員はなぜ、自ら考え、自発的に育っていくのか
「指示待ち人間になってほしくない」「もっと自発的に動いてほしい」など、社員が「自ら」動いてくれないことに悩みを抱えている経営者は多いものです。そして、育成方針についてもこの方法でいいのか、正しく指導できているのかと、不安になる人も少なくないはず。寒天の国内シェアの80%を占める「かんてんぱぱ」ブランドで知られ、多くの企業からも注目される伊那食品工業株式会社の塚越英弘社長は、「教え導ける人なんてほとんどいません」と話します。同社の育成について伺いました。
1990年日本大学農獣医学部卒。1997年伊那食品工業入社。2005年専務取締役、2016年副社長。2019年より現職。
伊那食品工業株式会社について
1958年創業。「かんてんぱぱ」ブランドで知られる、長野県伊那市の寒天メーカー。人員整理を行わず、昇給・昇格は年功序列、人も社会も幸せになれる「年輪経営」を行っていることで高い注目を集め、毎年多くの企業が会社見学に訪れている。2007年グッドカンパニー大賞グランプリ、2018年「日本でいちばん大切にしたい会社」中小企業庁長官賞など受賞。敷地内は「かんてんぱぱガーデン」として一般開放されており、レストランやホールも併設。地域や社会にも貢献を続けている唯一無二の企業。
“教えられる”人は一握り。自ら考え、成長する機会をいかに与えられるか
――以前のインタビューにおいて、貴社では特に社員教育の制度は設けず、快適な職場環境を整えてあげることで、社員が自発的に育っていくとおっしゃっていたのが印象的でした。本日は、この環境づくりや仕組みについてお伺いできればと思います。
塚越英弘さん(以下、塚越): そもそも、当社の礎を築いた塚越寛最高顧問と私では、教育に対する考え方に違いがあるんですよ。
最高顧問は、一言で言うならば「教える」タイプ。しかし、 「教える」というのは、実はすごく難しいことで、ごく一部のカリスマのような人にしかできないことだと思っています。 私も含め、多くの経営者は「教える」ことができるレベルにまで達していないのでは…と。
私がやるべきなのは 「教える」ことではなく、「考えてもらう場」をいかにつくるか。 そのために「社員自らが成長する機会」をできるだけ多く提供していくことが大事だと考えています。そのひとつが「快適な職場環境を整えてあげる」ことでもあるんです。
――「考える」ということは、塚越社長も大事にされていますよね。
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