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連載:第8回 従業員のエンゲージメントを高める

社員主導で経営理念を刷新。「変わろう、変えよう!」と呼びかける社長が語った組織の変え方

BizHint 編集部 2022年2月24日(木)掲載
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会社の最も重要な根底の考えを示す経営理念。創業時から変わっていないという企業も多いのではないでしょうか。「技術の日阪」として熱交換器やバルブの製造、近年ではレトルト食品の製造に欠かせない殺菌装置などの産業機械をグローバルに展開する株式会社日阪製作所は、創業当時から掲げていた経営理念を2021年4月に刷新。社員たち自身が「理念体系構築プロジェクト」として「HISAKA MIND」を生み出しました。 事業や会社が安定している一方で、変化に弱く消極的な体質になってしまっていた組織を立て直すため、竹下好和社長は就任する際に「変わろう、変えよう!」というスローガンを掲げました。このスローガンをさらに推し進めるため、理念体系構築プロジェクトに携わったメンバーである蓮井さんと上田さんにその背景をお伺いしました。

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株式会社日阪製作所
代表取締役社長執行役員 竹下 好和さん

1981年に京都工芸繊維大学を卒業し、株式会社日阪製作所に入社。様々な役職を歴任し、2017年4月に同社社長へ就任。

人事総務本部 蓮井 恵一さん

1991年に関西学院大学を卒業し、株式会社日阪製作所に入社。人間部で人事・総務全般を経験後、2018年4月に働きがい支援室長に就任。

経営企画本部 上田 幸奈さん

2010年に滋賀県立大学を卒業し、株式会社日阪製作所に入社。海外営業を経験後、2013年に経営戦略室(現:経営戦略部)に転属。


成長を実感しづらい環境から「変わろう、変えよう!」へ

――貴社の事業内容について教えてください。

竹下好和さん(以下、竹下): 弊社はプレート式熱交換器、レトルト調理殺菌装置、医薬用滅菌装置、液流染色機、ボールバルブ等を製造・販売する機械メーカーです。1942年の創業時より培ってきた技術を集結し、衣・食・住・医薬・環境・エネルギーといったあらゆる産業分野での貢献を目指しています。

――竹下さんは2017年に社長に就任されたそうですが、スローガンにも表されている「変わろう」という気持ちは就任前から抱かれていたのでしょうか。

竹下: そうですね。弊社は「ステンレスの加工技術」と「液体の熱と圧力の制御技術」を生かした多数の産業機械を製造しており、その中には「日本初」や「世界初」となったものもあります。私が入社した1981年当時から既に業界でのシェアが高く、商品力でお客様からのご注文をいただける状態でした。

一方で、事業内容はほとんど変わっていないので、経営は安定している反面、成長があまり感じられないという側面があり、また、長年の安定が組織全体を守りの思考に陥らせていました。 自分たちの扱う製品やサービスは、エネルギー・水・食に関する社会課題の解決に貢献するもので、未来の社会にとっても非常に重要な要素ですし、まだまだ可能性がある分野です。例えば、従来の製品に何かしらの付加価値を加えたり、新たな工夫をしたり……、 やり方と考え方を変えることで、事業をもっと拡大できるはずだと考えていました。

また、現場の社員が経営方針に戸惑っている様子も感じていました。弊社では3年ごとに中期経営計画を立てているのですが、私が就任した最初の1期目は東南アジアや中東等へのグローバル展開を軸に事業を展開していました。経営陣や管理部門が海外に対しての挑戦を進める中で、現場には「そもそもどこを目指していけばいいのか」という不安が見て取れました。

よく考えてみると 「企業の成長」と「社員の成長」、この二つの「成長」は非常に密接に絡み合っているもので、片方だけではダメ。その両輪をしっかりと繋いで、双方がともに成長していくことが大事だと気づきました。

――保守的になってしまっていた組織や社員の成長や変化を促すために、「変わろう、変えよう!」を掲げられたのですね。

竹下: 会社はこれから変わっていくという意思を示して、組織と人、どちらにも成長と変化の後押しをしていかないといけません。現状維持ではなく、双方が良い方向に変わっていこう、と。でも、前提として、スローガンよりも大切なのは「人」。 「成長しろ」と指図するのではなく、成長のサポートが必要ですよね。

ものづくりで重要なのは「個」ではなく組織の団結だが……

竹下: 実はここ数年、新製品が開発されていないのです。これまでは何年かに一度は生まれていたのですが、近年は既存製品の改良や改善に留まっています。

事業の成長でいうと、海外市場における販売は伸ばせていますが、新製品というアウトプットが出ないと、売る先だけ伸ばしてもダメなのですよね。設計力・調達力・製造力。この三点を伸ばしてこそ、営業部門が活躍できる。新製品開発というのは、社員たちの結束力や将来に対する想いなど、強いものがないと実現できません。日阪製作所のものづくりは、社員の団結の上に成り立つという方針は私が就任するずっと前から受け継がれてきたものです。 それぞれの社員が「守り」の姿勢になってしまっている現状を変えなければと考えました。

――組織の団結力を高めるために行っていることは?

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