連載:第4回 経営の悩みを中小企業診断士に相談してみたら
大学院卒の社員に「大手並みの給与を払いたい」、その一心で経営する社長の想い
埼玉・秩父で創業し、現在福井、茨城の2工場で葉物野菜を生産・販売する株式会社野菜工房。創業からの赤字を脱却した代表取締役社長の周藤一之さんは、社員を雇うことは家族を支えることだと語ります。秩父商工会議所 中小企業相談所 所長で中小企業診断士の黒澤元国さんが想いを聞きました。
早稲田大学法学部を卒業後、住友商事を経て、2008年に完全閉鎖型の野菜工場、株式会社野菜工房を設立し、代表取締役副社長に就任。2010年からは代表取締役社長として経営を行う。
大学卒業後、大手流通会社等の勤務を経て、2008年(平成20年)4月より秩父商工会議所に入所。中小企業診断士として企業の経営革新や再生、地域資源活用、まちづくり等の支援に係わる。
過去、資金繰りに窮した野菜工房、更に新工場建設!?
黒澤元国さん(以下、黒澤): 赤字続きだった野菜工房さんが福井に工場を新設し危機を乗り切りました。軌道に乗ってようやく業績を立て直した頃、「福井の次は茨城に工場を作りたい」とおっしゃったのが確か2018年でしたよね。話を聞いた時は「あんなに資金繰りに苦労してやっと黒字転換したのに……。もう一度、茨の道を進む!?」とびっくりしました。
周藤一之さん(以下、周藤): はい。福井工場を建てて3年後には再び生産能力が追いつかなくなってきました。ならばもっと規模を拡大する必要があるなと。
工場を増やしたとはいえ、業界内ではまだまだ小規模工場です。注文が集中したときに対応できないという課題がありました。もう一つは、人を雇うことに対する考えが変化してきたからという理由もありました。
黒澤: そういえば周藤さんから「大卒社員の給与って普通どれくらいもらえるの?」と聞かれたことを思い出しました。金額をお伝えすると、「ああ、野菜工房はまだまだ払えてない。事業拡大しないと」と。
周藤: 現在の取締役は、大学院卒業後の25歳でうちに入社して、秩父時代から苦楽を共にしてきました。会社の成長とともに社員のライフスタイルも変わりますよね。彼も結婚して子供が生まれて家族ができて、そうするとある程度の給与がないとやっていけない。
こんな小さな会社にせっかく来てくれたのだから、大手企業並みの給料を払えるようになりたい。人を雇うって、社員に給与を払って終わりではなく、彼らの家族を支えることでもあるんだなと実感するようになりました。拡大を決意したのも彼らの頑張りに応えたい気持ちからです。
黒澤: 給与の充実が事業拡大の目的にあったということですね。でも、なぜ今度は茨城に工場を建てたのでしょうか?
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