連載:第5回 老舗を 継ぐということ
自社開発AIで売上4倍。100年食堂のデータ経営改革は、メニューも取引業者も社員も入れ替わった


三重県伊勢市、伊勢神宮すぐそばで100年以上の歴史を誇る食堂「ゑびや」。代表取締役の小田島さんは小さな食堂に最先端のITのソリューションを導入し、AIを活用した来客予測システムを独自開発。90%という驚異的な予測的中率で生産性を飛躍的に向上させ、売上を4倍に拡大しました。データを指標にした老舗店の経営改革とは──。地方の中小企業に大いに役立つヒントを伺いました。

ゑびや
代表取締役 小田島春樹さん
1985年北海道生まれ。大学ではマーケティングと会計を専攻。大学卒業後、ソフトバンクに入社し、組織人事や営業企画を担当。2012年、妻の実家が営む「ゑびや」に入社し、店長、専務を経て、現在、ゑびやと飲食店向けクラウドサービスの開発・販売を手がける「EBILAB(エビラボ)」の代表取締役を務める。
妻の実家のうどん屋を継ぎ改革に乗り出した若社長
──まず、小田島さんがゑびやに参画した経緯を教えていただけますか?
小田島春樹さん(以下、小田島): ゑびやは妻の実家の家業です。もともと会社員時代からいつか商売に関わりたい思いはありました。ソフトバンクでは人事や営業企画に携わり、自分で起業するかスタートアップに転職しようか迷っていたときに、妻の実家から「いつかは家業を継いでほしい」と要望を受け、継ぐことになったのが2012年。27歳の時でした。
お客様は伊勢神宮に参拝に来られる観光客で、伊勢うどんや定食を提供する、いわゆる観光地によくある昭和の食堂でした。時代の変化に合わせて変われる店とそうでない店があると思っていますが、当時のゑびやは変化に対応できていませんでした。丁度、2013年に20年に一度の神宮式年遷宮があり、 伊勢神宮への観光客が増加しているのにも関わらず、お客さんは増えていませんでした。
管理方法は昔のまま。日々の帳簿は手書き管理だし、会計はそろばん。従業員の教育をするでもなく放任主義で、サボったりお客様の前で従業員同士が喧嘩したりするくらい悲惨な状況でした。
そこではまずは飲食店の店長として店舗運営に携わりました。店舗規模を縮小して、建物の一部をテナント貸しする案もありましたが折り合わず、ゼロベースで建て直していくことにしました。
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