連載:第23回 老舗を 継ぐということ
経営者になり気付いた「多くの意見」に潜む罠。24歳のリーダーが捨てた常識


2018年に後継者不在で休業、廃業危機を迎えた老舗かまぼこ店を救ったのは、大学のゼミで起業論を学び、同社を支援していた若者でした。2022年、24歳で社長に就任すると恩師や多くの人に教えを乞いながら組織を変革していきます。そしてその中で1つ、学生時代とは180度意識が変わったことがあると言います。それは先輩経営者の一言で気付けた「経営者として前に進むための判断基準」。福岡県みやま市「吉開のかまぼこ」社長の林田茉優さんにお話を伺いました。

株式会社吉開のかまぼこ
代表取締役社長 林田 茉優(はやしだ まゆ)さん
2020年3月、福岡大学経済学部卒。阿比留正弘教授(2023年8月没)の「ベンチャー起業論」を受講したことをきっかけに事業承継問題に興味を持つ。廃業寸前だった福岡県みやま市の老舗「吉開のかまぼこ」の復活に向けて奔走し、引継先のマッチングに成功。2021年12月、指名されて自らが4代目社長に就任。
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愚痴を諭されて気付けた、前に進むための判断基準
――学生時代から老舗の廃業を防ぐ活動をしていたら、まさかの社長就任要請。経営者になって気づけたことや、ご自身の変化を感じるものはありますか?
林田茉優さん(以下、林田): 私の根っこにあるのは「行動あるのみ」「いろいろな人に話を聞く」という姿勢なのですが、これは学生時代からずっと変わらないものだと思っています。
ただ、経営者の立場になって多くの方に話を聞き、また教えを請う中で『あ、これではダメなんだ。前に進めない』と、自分の中で「判断基準」を1つ追加したものがあります。
それは周囲から「せっかく復活したのだからもう絶対に潰せないね」というプレッシャーを受けたり、「そんなの無理」「うまくいかない」「やめたほうがいい」といった言葉を受けて 愚痴をこぼしていた時に、先輩経営者に投げかけられた一言で諭された ものです。
――何と言われたのでしょう?
この記事についてコメント(22)
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林田さんの「本当にいいものを作っていることに幸せを感じる生き方、働き方」、まさに私の大事にしていることと同じですね!私は60歳で起業、現在84歳。自分が本当によいものと思っても、他の人に必ずしも評価されないことがあります。独善に陥っているのか、革新性が理解いされないのか、思い悩むことが多々あります。
2024年08月02日 -
記事を読ませて頂きとても胸が熱くなりました。 とにかく実行する、等忘れかけていた大切な事に たくさん今一度気付かせて頂きました。 自身も見習いたいと思います。 益々のご活躍をお祈り申し上げます。
2024年08月01日 -
30年ほど前に岡野雅行さんの講演会を聴いたことがあります。当時は娘婿が会社を継いでくれると嬉しそうに話されていました。林田さんにどのように言われたのか興味があります。岡野さんと話をされたのが羨ましいです。サラリーマンと経営者の考えは相容れないものです。サラリーマンの癖がつかないうちに経営者になるということが大切です。林田さんのように若い方がもっと出てきてくれればうれしいですね。
2024年07月31日 -
良い記事ですね。頑張っていますね。私は後期高齢者ですが、こういう記事を見ると「私も負けずにまだまだ頑張なきゃ」と励まされます。読んで良かったです。
2024年07月26日 -
素晴らしい決断と行動力に敬意を表します。 応援しますよ。
2024年07月10日 -
素晴らしい体験を有難うございました。 私も多くの社長を経験しましたが、今後大切なことは従業員と心を一つにしお客の繁盛のために何ができるかを常に考えられる集団となることと思っています。
2024年07月06日 -
素晴らしいしか言葉がない。 基本は実直なこと。ここに尽きる。 これだけ読んでも、何か支援したくなるので、当然現場ではより支援したくなるでしょうね。 この教授もとても立派だと思いました。
2024年07月05日 -
「現地現物現実」「発想力は移動距離に比例する」「属人化解消」「起業家精神」「熱い想い」列記したらきりがないですが、大変感銘を受けた50台後半の物流会社社長です。加えて同じマインドセットで社長業3年目に突入し四苦八苦しながらも、文中にもあった「誰の為に経営しているの?」⇒従業員ファースト=頑張った人が報われる会社に という想いのもとMVVを明確にして経営しています。別の方のコメントにもあった貴女の「言霊」は胸に刺さりました。涙が止まりません。若くて同じ想いをもった同志が自分の故郷である九州の老舗かまぼこ店を復活させようとしていることにエールを送りたいし、自分も負けてられないという想いになりました。貴重な記事ありがとうございました。
2024年07月04日 -
この方はお若いのに問題に気付き、行動された素晴らしい方だと思います。後継者がいなくて廃業の話はよく聞きます。行動のきっかけには問題の共有が必要でそれをどうしたら良いかと思います。 話は違いますが日本の農業についても同じような課題があるのではないでしょうか。 企業の1一般社員ですが私なりになにかこれからの日本の将来にむけた手助けができることを会社の中からだと思いますが探しできることからやっていきたいと思いました。
2024年07月04日 -
何度断られても電話や手紙を送ったり、 沢山の意見を選別する力、 人を巻き込む力、 社長就任。 尊敬することばかりです。 熱い想いが原動力となり、結果に結びついていると感じ 私も起業した時の熱を再度カッカと燃やそうと勇気が出ました!
2024年06月29日 -
行動力、判断力が素晴らしいですね。敬服致します。皆を巻き込む魅力があるのでしょうね。私も今一度考え直さなければ!
2024年06月28日 -
参った。想いが自分を動かし、周りを動かす。想いを持って現在、プロジェクトを進めているつもりだったが、足元にも及ばない。実に恥ずかしい。この若者に勇気をもらった!仕切り直しだ。
2024年06月21日 -
今は大阪に住んでいますが、みやま市出身です。吉開かまぼこは、私の小さい時から引き出物等に使う高級品でした。味もさることながらぷりぷり感が他のかまぼことは全く違います。そんなかまぼこを行動ある一人の若者が継承してくださっていることを知り感謝です。応援しています。
2024年06月19日 -
とても勇気あるお話ですね。 休業状態から引き継ぐだけでもかなり大変なのに、さらに親族でもない20代の若者が日本の伝統食品「かまぼこ」の可能性を信じて再起を図る。とても夢があります。 後継者がいない会社は山のようにありますが、経営者の方は諦めず、魅力さえあれば引き継ぐ相手は見つかるんだ、という期待を持ち続けてもらいたいものです。そして、林田さんの努力がさらに実を結び、「吉開のかまぼこ」がもっと大きなブランドに成長することを期待します。
2024年06月16日 -
私の出身地:石川県珠洲市(今年元旦地震で半島全体で甚大な被災あり)は良質な珪藻土が産出され、それを原料として、瓦やコンロなど算出する工場・会社がありますが、同じように今、工場の復興とともに従業員の雇用も含めて会社継続に赤信号がともっています。この記事のような若者が全くといっていないのがなんとも歯がゆいです。石川県の大学生にこうした気骨のある若者がいないのかと思ってしまいます。
2024年06月16日 -
真面目はその先を照らす、嬉しいです。
2024年06月10日 -
素晴らしい内容でした。触発されました! 涙を浮かべながら読ませて頂きました!! インダストリアルサプライヤーズ(株)代表取締役 西澤克己
2024年06月12日 -
本当にかっこういい話です。若者の無茶を受け入れる心が今の日本になくなってきたかもしれません。頑張れです。地域を変えるには、やっぱり若者だということです。
2024年06月11日 -
早速く食べてみたくなりました。
2024年06月11日 -
素晴らしい。涙が出るほどかっこいい。
2024年06月10日 -
凄い話ですね。その行動力と周りが動かされていく姿に読んでて涙がでました。
2024年06月10日
バックナンバー (23)
老舗を 継ぐということ
- 第23回 経営者になり気付いた「多くの意見」に潜む罠。24歳のリーダーが捨てた常識
- 第22回 「うなぎパイ以外赤字だった」老舗企業を変革したリーダーに聞く、組織づくりの本質
- 第21回 「自分を信用していないのか!」右腕に叱責され目が覚めた。ダメ組織を一歩ずつ再生するリーダーの迷いと奮闘
- 第20回 京都の丁稚で得た「最も大切なもの」。山形で200年・10代目が説く「絶対にやってはいけないこと」
- 第19回 これからもお客様に寄り添うために 400年以上の歴史を持つ老舗企業が「変えた」もの