1on1ミーティングのやり方とマネージャーに必要なスキルを徹底解説


1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1で実施されるミーティングであり、一般的なミーティングとは目的や頻度が異なります。人材育成やコミュニケーションの促進を主な目的に、週に1回30分程度、日々の業務などについてフランクに意見を交換します。今回は、ヤフー株式会社で導入された事でも話題のこの1on1ミーティングについて、進め方や必要なスキルまで徹底解説します。

1on1ミーティングとは
「1on1ミーティング」とは、上司と部下1対1で行われるミーティングです。
ただし、一般的な面談のように数値目標の確認など明確な目的を持ち、期初や期末など定期的なタイミングで実施するものではなはありません。頻度を高め、日々の業務などについてフランクに意見を交換し、最終的にはそこから部下自身が気づきを得る事で人材育成に繋げる目的で実施されるものです。
【関連】1on1の意味とは?話す内容や注意事項、効果を最大化するポイントをご紹介/BizHint
近年、ヤフー株式会社での導入により注目されるようになったこの手法ついて、ヤフー社内で1on1ミーティングを普及させた本間浩輔氏の「ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの手法」という書籍が出版されています。
詳しくは、下記の要約記事をご覧ください。
【関連】【要約掲載】ヤフーの1 on 1 部下を成長させるコミュニケーションの技法 (本間浩輔著)/BizHint
適切な開催頻度と時間は?
1on1は一般的な面談とは頻度にも大きな違いがあります。 ヤフーの本間氏は書籍の中で「コミュニケーションは頻度が大事」と語っており、同社では、1人につき週1回30分の時間を割いていますが、どうしても時間が取れない場合は、1回15分にしたり、隔週で実施するなど柔軟な対応も可としているようです。
それでは、一般的にはどの程度の頻度が適切と考えられているのでしょうか。
2017年ビジネスコーチ株式会社が企業の人事部担当者を対象に行った調査では、「1on1の適切な時間・頻度についてどのように考えているか」という問いに対し、「週に1回・30分未満」と回答した人が29%と最多となり、以降「月に1回・30分未満(19.1%)」「隔週に1回・30分未満(17.3%)」が続きます。頻度を増やすと「30分以上」の時間の確保は難しくなるものの、やはり週に一度は実施したいと考えている企業が多い事がわかります。
【出典】「1on1ミーティング」についての調査結果の発表/ビジネスコーチ株式会社
【参考】【要約掲載】ヤフーの1 on 1 部下を成長させるコミュニケーションの技法 (本間浩輔著)/BizHint
1on1の効果を最大化させる3つのポイント
それでは、1on1の効果を最大化させるためには、どのようなポイントを意識すれば良いのでしょうか。
部下に話をしてもらう
まずは、徹底的に部下の話を聞くという事です。間違っても、上司の意見ばかりを伝える機会にしてはいけません。一般的な面談のように上司があらかじめ課題を持ち込むのではなく、部下の「自分が話したい事」を引き出すのが望ましいスタイルです。
上司は、あくまでもサポートである事を忘れずに、部下が話し終えるまでしっかりと聞く、「傾聴」の姿勢を保ちましょう。途中で会話が途切れたり、話しが逸れたとしても、上司が軌道修正したり結論に誘導してはいけません。
適切な質問を投げかける
1on1ミーティングは目的が明確化されていないという性質上、部下が「何を話せば良いのか分からない」「自分が何を言いたいのか分からない」などの状況に陥る事もあるでしょう。そんな時上司は、部下の思考や意思を左右しない程度の、適切な質問を投げかけます。
例えば、部下のある仕事が成功したとして、それについて振り返りを行う場合、「なぜ、うまくいったと思う?」「その要因は、何だと思う?」など、部下自身に考えさせる質問を投げかけ、自ら気づきを得られるような機会を与えます。
必要に応じてメモをとる
1on1は時間こそ短いもののその場限りのものではなく、短期間で繰り返す事により、人材の成長につなげるものです。ミーティングの内容によっては、日々の業務で実施する具体的な行動や、一定期間を経て改めて振り返りを行う事柄など、翌週以降に確認すべき事項も多くあるでしょう。
ミーティングを終えると、再び日々の業務に追われ、会話した内容や気づきについて記憶が薄れてしまいます。必要に応じてメモを取り、記録を残すようにしましょう。また、その記録を部下と共有する事で、お互いの受け取り方にギャップが無いかなど、意思疎通の確認にもなります。
1on1ミーティングの進め方
では具体的に、どのように1on1ミーティングを進めていけば良いのでしょうか。
信頼関係の構築
「1on1の効果を最大化させる3つのポイント」でもご紹介したように、上司と部下の間に信頼関係が成り立っていないと、部下の話を引き出す事はできません。その信頼関係を構築するためには、部下の「心理的安全性」を高める必要があります。
心理的安全性を高め、部下との信頼関係を構築するためには、次の2つのスキルが有効です。
アクティブリスニング
アクティブリスニングとは、カウンセリングなどの場で用いられるコミュニケーション手法のことで、相手の言葉に積極的に「傾聴」することを言います。
具体的には、まず相槌などの非言語コミュニケーションを用いて、相手の言葉に真剣に向き合っている事を態度で表します。そして、相手の言葉の裏側にある本音を汲み取り、本当に伝えたい真意に目を向けます。
途中で自身の意見を挟まず、適切な質問や共感のフレーズを用いて、相手の話をスムーズに広げる努力をすることが重要です。
【関連】アクティブリスニングとは?例や実践方法も分かりやすくご紹介/BizHint
レコグニション
レコグニションとは、相手の持つスキルや実績を「承認」する事を言います。分かりやすいものでは、社内表彰やインセンティブなどの表彰制度等があります。また、従業員がお互いに認め合っている状態を指す「ソーシャル・レコグニション」もその一つです。
1on1における「レコグニション」では、相手を無条件に受け入れる姿勢が重要です。これを実践する事で、部下は自身の価値を認められていると認識し、モチベーションや積極性が高まるだけでなく、上司との信頼関係構築の一助にもなります。
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気付きを促す
1on1では、学びを深化させ気づきを促す事で課題解決につながるだけでなく、そのプロセスから自身で課題を解決する能力を育むことができ、人材育成にも繋がります。
そのためには、以下の3つの手法を駆使して進めていくことが大切です。
コーチング
コーチングとは、「傾聴」や「承認」などの手法を用いて、相手との双方向のコミュニケーションの中から、相手自身の中にある答えを引き出すスキルのことを言います。具体的な解決方法を教えるのではなく、新しい考え方や視点を増やすアドバイスを行い、気づきを促し、自発的な行動に導きます。そうする事で、自身での課題解決能力を高めます。
1on1ミーティングの上達を目指すには、非常に意義のある手法であると言えます。
しかし、コーチングには一定のスキルが必要なため、あわせてコーチング研修の導入も検討してもよいでしょう。
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ティーチング
自発的な気づきや行動を促すコーチングとは反対に、具体的な方法を教える事で課題解決や目標達成に近づけるスキルを「ティーチング」と言います。基本的には、一方的なコミュニケーションであると言えます。
コーチングのように自身で考えさせるフェーズを挟まないため、スピード感のある業務を抱えている場合や、対象者が経験の浅い場合、また社内規程などの教示などの際に有効な手法です。
【関連】コーチングとティーチングの概念の違いと正しい使い分け方とは?/BizHint
フィードバック
最後は、フィードバックです。これは、上司が部下の業務に対して評価やアドバイスなどの様々なアプローチを行うことで、最終的に人材育成を目的としたスキルを言います。
フィードバックには、部下の行動の中から評価すべきポイントを見つけ、ポジティブなワードを使ってそれを伝えることで達成感の醸成やモチベーションアップをはかる「ポジティブフィードバック」と、逆に失敗や改善点などをネガティブワードで伝え、逆境に立ち向かう精神力を鍛えることなどを目指す「ネガティブフィードバック」の2種類があります。状況や相手に応じて使い分けていきましょう。
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具体的な行動に繋げる
1on1ミーティングの最後には、会話した内容をより具体的な行動に落とし込み、次に繋げます。ミーティングが終わると日々の業務に追われ、そこで得た気づきや目標などもおざなりになってしまいがちだからです。
例えばミーティングの中で実質的な課題にたどり着いたら、これからどのような行動に移せばそれを解決できるのか共に深掘りします。この時、上司が提案するのではなく、部下自身が考えて導き出した施策である事が重要です。
具体的な期間を決めて行動に落とし込む事によって、課題解決がより現実的なものとなります。
1on1ミーティングで話す内容の一例
1on1ミーティングではその性格上、話すテーマや内容も多岐にわたります。ここでは、その一例をご紹介します。
- 日々の業務についてのフィードバック(成功・失敗含む)
- 現状抱えている課題の解決について
- 今後の具体的なキャリアプランについて
- 個人的な相談や、職場に対する意見の吸い上げ
- チームの状況など、業務全般に関する情報共有
まとめ
- 1on1ミーティングは一般的な面談とは目的や頻度が異なります。例えば週1回30分程度など高い頻度で、比較的フランクに日々の業務について対話し、相互コミュニケーションをとることが目的です。
- 1on1ミーティングは、あくまでも部下の気づきを促し自身で課題解決する能力をアップさせるもので、基本的には上司がその答えを先に提示したり、結論に誘導したりするものではありません。
- 1on1ミーティングを進めるにはいくつかのスキルが必要です。重要なのは、部下との信頼関係と「相手の気づきを促す」姿勢、そして最終的には行動に繋げるというゴールです。
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