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コーチングとティーチングの違いとは?実用例と正しい使い方を解説

BizHint 編集部 2017年2月22日(水)掲載
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コーチングとティーチングは、ともに対象の行動変容を促し、目標達成へと導くために行われますが、アプローチの仕方はそれぞれ違います。今回は、コーチングとティーチングの違い、それぞれの正しい使い分け方についてご紹介します。コーチングとティーチングを仕事で有効に活用していきましょう。

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コーチングとは

コーチングとは、クライアント(対象者)の成長を促す人材開発の有効な手法の1つです。

「馬車」を意味するコーチ(coach)が語源とされており、「馬車」が人を目的地に届ける役割を果たすことから、コーチは対象者の目標達成を支援するという意味が込められて使われるようになりました。スポーツで選手をサポートするコーチから企業で人材育成を行うコーチ、そして資格としても近年注目される言葉となっています。

コーチングの大きな特徴は、「目標を達成するためにどうしたらよいかの答えは、対象者の中にある」というスタンスを取り、目標達成を支援することです。

そのため、コーチングでは答えを一方的に教えるのではなく、対象者との双方向の対話を重要視し、対話を重ねることを通して、対象者の中にある答えを引き出していくという手法をとります。「頭でわかっていても、行動できない」を解決するための支援を行うのがコーチングです。

【関連】コーチングとは?意味や必要なスキル、活用シーン、おすすめ本をご紹介 / BizHint

コーチングのメリット

コーチングのメリットは、対象の「自分で問題解決をする能力」を高められることです。

ビジネスの場面においては、OJTなどで先輩社員が後輩に自律性や自主性を持って欲しいときに有効な指導方法と言えるでしょう。

対象者ときちんと向き合って対話ができるコーチングのスキルやコミュニケーション能力を身につけていれば、どのような経験を持った人でも対象を目標達成に導くことができます。

コーチングのデメリット

一方で、コーチングを行うデメリットも存在します。対象者の知識や経験が不十分だと目標達成のための答えが存在せず、目標達成に近づくどころか混乱を招いてしまう可能性があります。コーチングを行う際には、答えを自分の中に見出せるか、対象者の知識や経験の度合いを正しく把握することが必要です。

また、目標達成にスピードが求められる場合には、コーチングには一定の期間がかかるということもデメリットと言えるかもしれません。コーチングは、対象者が自分で自分の中にある答えを見つけることが求めらるため、考える時間が必要になります。すぐに答えを出して前に進まなければいけない場合などでは、自分で考える時間が足かせとなりうることもあるでしょう。

コーチングはこんなときに有効

上記のメリット・デメリットを踏まえ、コーチングはどのようなときに有効なのでしょうか。

対象に意欲があって、能力もある程度向上しているとき

コーチングは自分で考えて答えを見出してもらう必要があるため、問題を解決し目標を達成する意欲を持って能動的に動くことが前提として求められます。意欲が低い相手や現状維持を望む相手に対してコーチングを行う必要がある場合には、まずは小さな成功体験を積ませるなどして、目標達成へのモチベーションを向上することが必要です。

また、自分で答えを見出すためには、問題解決や目標達成に必要な知識やスキルを持っている必要があります。基本となる知識やスキルが不足していると、先述したように「答えを求められても、考える材料がないからわからない」という状況が発生します。そのような相手にはティーチングで知識やスキルを教えてから、コーチングにギアチェンジし目標達成を支援してあげましょう。

重要度が高く、緊急性が低いタスクを任せるとき

対象だけでなく、タスクによってもコーチングが有効な場合とそうでない場合があります。コーチングが有効なタスクは、重要度が高く、緊急性が低いものです。重要度が高いタスクは、しっかりと計画して取り組もうという意欲を生み出します。意欲が高い状態ではコーチングが有効に機能しやすくなります。

また、緊急性が低いことも大切です。コーチングは自分で答えを見出す必要があるため、時間がかかります。コーチングを行う際には、ある程度時間が取れるタスクで行いましょう。

ティーチングとは

コーチングと同様に、ティーチングも人材開発においては有効な手法の1つです。

ティーチングは、「教える」を意味するティーチ(teach)が語源であり、学校で先生が生徒に教育するように、知識やスキル、問題の解決方法を、対象者に一方的に教えることで目標達成を促していきます。

ティーチングの大きな特徴は、コーチングと違い「目標を達成するためにどうしたらよいかの答えは、ティーチングする側にある」というスタンスを取っていることです。そのため学校教育と同様に、ティーチングする側からの一方的なコミュニケーションになりがちです。

ティーチングを行うメリット

ティーチングを行うメリットは、対象者が持っている知識や経験に影響を受けず、目標を達成するために必要な答えを教えることができることです。

コーチングを行うと混乱してしまうような答えがまだ対象者の中に存在しないレベルであっても、目標達成へと支援することができます。

また、ティーチングは一方的なコミュニケーションとなるため、大人数に対して一度に行うことができます。しかも、自分で答えを考える時間は必要ないため、時間をかけずに行うことができます。

ビジネスの場面においては、新入社員研修やアルバイトのマニュアルを説明する際など、一度に大人数に対して人材育成を行う必要があったり、早急に目標を達成する必要がある場合に有効な手法と言えるでしょう。

ティーチングを行うデメリット

一方で、ティーチングを行うデメリットは、対象者の自主性や自律性が向上しにくく、受動的で依存傾向のある人材を育成しがちになることです。

ティーチングのみを行っていると、対象は指示がないと動けない、言われたことしかできないという状態になってしまう可能性があります。ティーチングが必要な段階かどうかを見極め、自主性や自律性を高めたい場合には関わり方を適切に変えていくことが必要です。

また、ティーチングする指導者側の知識や経験に影響を受けやすいというデメリットも考えられます。ティーチングの場合、対象者に対してはティーチングする側が持っている知識や経験しか与えられないため、それ以上の目標達成を促しにくくなるのです。

ティーチングはこんなときに有効

上記のメリット・デメリットを踏まえ、ティーチングはどのようなときに有効なのでしょうか。

対象に意欲はあるものの、能力がまだ未熟なとき

ティーチングは、コーチングと同様に対象となる相手には意欲を持っていることが求められます。どちらも目標達成を促す手法であるからです。自己実現に向けて能動的に動ける状態であれば、ティーチングによって教えられた知識やスキルは行動に結びつきやすくなります。

しかし、能力に関しては、コーチングと反対で相手が未熟なときに効果を発揮します。知識やスキルがまだ十分に身についていなくても、ティーチングで必要な力を補ってあげることで、目標達成へと導くことができます。

反対に、知識やスキルが十分に身についている習熟度が高い相手にティーチングを行ってしまうと、相手が物足りなさを感じたり、モチベーションが下がってしまったりすることがあるため、注意が必要です。

重要度が高く、緊急性も高いタスクを任せるとき

タスクに関しては、コーチングと同様に重要度が高いものが適しています。理由も同様で、モチベーション高く、意欲的に取り組むことができるタスクの方が、ティーチングも有効に機能するからです。

しかし、緊急性に関しては、コーチングと反対で、緊急性が高いタスクが適しています。ティーチングは、問題解決に必要な答えを直接教えるため、すぐに相手が動くことができます。最優先で片付けて欲しいタスクを依頼する際には、ティーチングを用いた関わり方が適していると言えます。

コーチングとティーチングの実用例

このように、コーチングとティーチングでは意味やメリット、デメリット、有効なシーンがそれぞれ異なっています。そのため、正しく理解し、適切に使い分けていくことが必要です。

続いては、コーチングとティーチングの実用例をご紹介します。コーチングとティーチングを実際にどのように使っていくのか確認しましょう。

コーチングの実用例

まず、コーチングの実用例です。上司と部下の会話を例に、コーチングの手法の流れを確認します。

部下:来週のプレゼンの資料の内容をご相談したいのですが、今お時間頂けますか?

上司:大丈夫だよ。

部下:資料でAという商品をどのように説明すればいいか悩んでいます。

上司:Aの説明の仕方で悩んでいるんだね。どのように説明すればいいと、考えているの?

部下:顧客にはAのデータを実際に見せて納得して頂くのがベストだと考えています。しかし、Aのデータは情報としてまだ不十分な箇所が多く、資料には使えない状態なんです。

上司:データが必要だけど、Aのデータがまだ揃っていないんだね。Aのデータが使えないのであれば、他に使えそうなものはあるかな?

部下:他に使えそうなものですね。そういえば、Aの旧式であるBのデータは揃っているので、それを使ってどこがアップデートされたか示せば、Aの説明ができそうですね。

上司:Bのデータが資料で使えそうだね。じゃあそれでやってみてくれる?

部下:かしこまりました!ありがとうございます!

この上司のように、コーチングでは「質問」することで、対象者に「考える」きっかけを作り、考えを「答え」させ、それを「傾聴」し確認する、という流れを繰り返していきます。

対象者が自分で考え、自分の中にある答えを見出し、行動につなげることができるように支援してあげることが大切です。そのため、答えを直接教えるような対応は極力避けるようにします。

このような基本的な流れは意識しながらも、対象のタイプによって関わり方を微調整していくことは必要です。どのような関わり方が適しているか確認するツールとして、インターネット上ではコーチングの自己診断チェックリストなどを紹介している記事も存在します。参考にしてみることも有効かもしれません。

【関連】コーチングスキルとは?活用のメリットやスキルの代表例、研修・資格などをご紹介/BizHint

ティーチングの実用例

次に、ティーチングの実用例です。コーチングと同様に、上司と部下の会話を例に、ティーチングの手法の流れを確認します。

部下:来週のプレゼンの資料の内容をご相談したいのですが、今お時間頂けますか?

上司:大丈夫だよ。

部下:資料でAという商品をどのように説明すればいいか悩んでいます。

上司:Aの説明の仕方で悩んでいるんだね。データで説明するといいよ。実際にデータを示すと顧客にイメージを持ってもらいやすくなるから。

部下:データですね。しかし、どのようなデータを資料に使ったら良いでしょうか。Aのデータはまだ揃っていないと他のメンバーから聞いています。

上司:BはAの旧式だから、Bのデータを比較として使ったらどうかな。Bのデータでどこをアップデートしたかを示せば、顧客もイメージを持ちやすくなるんじゃないかな。

部下:そうですね!早速Bのデータを使って資料を作成してみます。ありがとうございました!

この上司のように、ティーチングでは対象に解決策となる「答え」を教えます。しかし、ただ「答え」を教えるだけでは不十分です。「何を」「どのように」「なぜ」やるのか、3つのポイントを押さえて、具体的に教えることが大切です。

教えた後には、「答え」がしっかり理解できたか、フィードバックをもらうなどして確認しておくと安心です。

コーチングとティーチング以外の手法

コーチングとティーチング以外にも、目標達成や問題解決を促す方法が存在します。近年ではビジネス心理学とも呼ばれ、方法は多様化しています。コーチングやティーチングではうまく機能しない場合には、他の方法を検討してみることが必要です。

ここでは2つの方法を紹介します。

カウンセリング

1つ目は、カウンセリングです。カウンセリングとコーチングは、いずれも心理学に関係のある方法で、心理カウンセラーが行うこともありよく混同されますが、目的が違います。

カウンセリングは、対象の問題を解決するために行われます。手法としては、対象の過去を遡り、なぜその問題が発生したのか検討し解決していきます。どちらかというと、マイナスをゼロにしてあげるイメージです。

一方で、コーチングはゼロをプラスにもっていきます。目的は、あくまでも目標を達成することです。そして、手法は過去を遡るのではなく、未来に向けて現在どうしたらよいかを考えます。

コンサルティング

2つ目は、コンサルティングです。コンサルティングもコーチングと混同され、どう違うのか問われることがあります。どちらも対象の行動を変容させ目標達成を促す方法ではありますが、プロセスが違います。

コンサルティングは、対象にヒアリングし、目標を達成するためにはどうしたらよいか、代わりに行動計画を考えます。そして、考えた計画を対象に与えて、実際に行ってもらいます。

一方で、コーチングは対象の代わりに考えてあげることはしません。対話を通して、自分で考え答えを見出してもらいます。いずれの方法も適切に使っていけば有効に機能します。対象となる人物やタスクの状況を確認し、適した手法を選ぶことが大切です。

まとめ

  • コーチングとティーチングは、いずれも対象となる相手の成長を促し目標達成へと導く、人材開発の有効な手法である
  • コーチングは双方向の対話を通して、相手に自分の中にある答えを見つけ出してもらう手法であり、一方でティーチングは一方的なコミュニケーションにより、教える側にある答えを学んでもらう手法である。
  • 対象となる相手の意欲の高さ、知識・スキルの習熟度、任せるタスクの重要度・緊急度を考慮し、コーチングとティーチングを使い分けていくことが必要である

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