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戦略・経営

2019年2月12日(火)更新

超ドメスティックだった日本企業から、グローバルリーダーを輩出するまでになるには【日本板硝子・人事部アジア統括部長梯慶太さん】

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2006年、板ガラス世界大手の英上場企業「ピルキントン」社を約6000億円で買収した日本板硝子。当時は「小が大を飲む買収」として世間を驚かせました。日本板硝子では、この買収にともない、事業を行う地域のみならず、事業運営や組織編成もグローバル化へ大きく舵を切りました。グローバル化を進めて行く中で、日本板硝子内では一体どのような変化が起きていたのか、そして、これからの経営戦略を見据えた人材育成をどう構築しているのでしょうか。人事部でアジア統括部長兼グローバル人事特命プロジェクト担当部長を務める梯慶太さんに聞きました。本記事は、2018年12月17日に行われた戦略人事による人事のためのセミナー「会える人事Premium」の梯慶太さんの登壇講演をベースに構成しています。

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日本板硝子株式会社

執行役員 グループファンクション 人事部 アジア統括部長 兼 グローバル人事特命プロジェクト担当部長

梯 慶太さん

1985年4月、日本板硝子入社。88年4月、本社人事部労政グループへ異動。1999年6月、NSGホールディングUSA社(米国)へ出向。2002年4月、同社社長に就任。2004年頃より、ピルキントン買収プロジェクトに参画。2006年ピルキントン社買収と同時に設立された統合推進本部(英国)を兼務。2007年4月、日本へ帰国、コーポレート人事部で日本の統合作業をサポートするとともに、HRダイレクター(東南アジア)を兼務。2008年8月、グループHRリソースディベロプメント&トレーニング ダイレクター。 2011年9月、執行役員BP事業部門 バイスプレジデント HR。2012年2月より人事部アジア統括部長。2013年9月よりグループ人材開発・報酬部長を兼務。2008年の委員会等設置会社移行から報酬・指名委員会事務局・2013年から同事務局長。2017年4月から現職。


生き残るためにグローバル化への変革は必須

――英国の大手企業を買収したことによって、日本板硝子ではどのような変化が起きたのでしょうか?

梯慶太さん(以下、梯): 「買収以前の日本板硝子は完全なドメスティック企業でした。極少数の海外畑の人材はいましたが、多くは海外出張も滅多に行かないような、グローバルにはほど遠い人材ばかりでした。買収前から買収後の組織統合や人事の仕組みのグローバル化が大きな課題としてありました。これは変化というよりも“変革”ですね。

そしてその変革の道のりは、1年の短いスパンではなく、10年以上の長い旅路でした。昨今、大型の海外事業買収を行う企業は増えてきましたが、日本板硝子のように組織の完全な統合を行う企業の例はまだまだ少ないと思います」

――買収によって、どのような変化が起きましたか?

梯: 「買収後、 日本の売上シェアは20数%まで減り、日本人従業員比率も20%を割り込みました。 つまり、従業員のほとんどが外国人になった訳です。彼らに従来の日本の考え方や人事の仕組みを押し付けても、歴史や文化の違いから必ずしも受容されるわけではありません。このため 統合後の仕組みは『どんなプラクティスが合理的で、グローバルでワークするのか』を考えて 施策を行っています」

――具体的に、どのような点で苦労されたのでしょうか?

梯: 「一つは、日本特有の文化です。組織文化は日本板硝子もピルキントンも同じガラス産業ですので、それほど大きくは変わりません。しかし、 日本独自のシステム、例えば終身雇用や年功序列は日本以外の国では通用しません から、完全にそこからシフトする必要がありました。具体的には、 各国の現業員などローカルな人材へは、従来のローカルなルールのままにする一方、いわゆるマネージャー層向けの人事の仕組みはグローバルに完全統合 をしていきました。仕組みの統合にあたっては、『すぐに手を付けるべきもの』と『時間をかけてやるべきもの』にきちんと分けました。

例えば、人事考課の仕組みはすぐに統合しました。これは、一人の考課者が複数の国の部下を評価するのに、基準が国ごとに違っていると考課者への負担が大きすぎるからです。一方統合にあたって一番慎重に進めて行ったのが、マネジメントグレードの統合と報酬を完全に職務給にすること。買収後7年が経過した2013年に役員クラスから統合を開始、全マネージャー職に適用するのに実に3年のスパンがかかりました」

――マネジメント層の育成においても課題はあったのでしょうか?

梯:「サクセッションプランでは、放っておくとどうしても現任者が自分とまったく同じような人を選ぼうとしてしまいます。 これでは10年後に通用するリーダーの育成にはなりません。こういったことを人事としてどう仕掛けていくか。今後必要となってくるコンピテンシーを選ぶには、まずトップエグゼクティブに外部パートナーが、今後のビジネスドライバーについてインタビューを行うことから始めました。

例えば、事業の方向性が『徹底的な顧客重視文化の醸成』であれば、それを実現するために『どんなコンピテンシーが必要か』を明らかにしていく。このプロセスであれば、今の人材が持っていないコンピテンシーでも選ばれるので、単なる今の高業績人材のコンピテンシーの抽出ではなくなります。こういった方法で将来活躍してもらうハイポテンシャル人材に求められるコンピテンシーを見直しました」

日本人には戦略立案力、チームリーダーシップが足りない

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