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連載:第12回 中竹竜二さんが聞く【新しい組織・リーダー論】

「サービスはワールドワイド、開発はホラクラシー」 ヌーラボ・橋本正徳社長が語る「“ゆるふわ”自律型組織の作り方」

BizHint 編集部 2019年1月24日(木)掲載
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「チームで取り組むプロジェクト活動」をサポートするデジタルツールを開発するソフト会社・ヌーラボ。社員100人が働くベンチャーですが、同社のサービス利用者は世界に広がり現在数百万人を超えています。本社は福岡で国内・海外に複数の開発拠点を構えながらも、メンバーが力を発揮している「自律型組織」としても注目されています。社長の橋本正徳氏は「強烈なリーダーシップがなくても組織は運営できる」と言います。さて、どうやって自律型組織を運営しているのでしょうか。「コーチ論」の視点で中竹さんが斬りこみます。

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橋本正徳(はしもとまさのり) さん

1976年生まれ、福岡県福岡市出身。1994年高等学校を卒業後上京し、飲食業に携わった。劇団主催やクラブミュージックのライブ演奏なども経験。2001年にプログラマーに転身。2004年、福岡にて仲間とともにヌーラボを設立し、代表取締役に就任。Webサービスを提供している。


中竹竜二さん(以下中竹): ヌーラボがWebで提供しているサービスって、すべて 「みんなと一緒にモノを作るときに役立つツール」 なんですね。代表的なサービスである「Cacoo」は図表やチャートなどのグラフィックをネット上で作成し共通できるツールだし、「Backlog」はプロジェクト管理ソフト。「Typetalk」はビジネスチャットですよね。興味があるのは「コミュニケーションを円滑にするサービス」を創っている会社のコミュニケーションや働き方です。実際、2018年にはGreat Place to Work(R) Institute Japanが調査分析した2018年日本版「働きがいのある会社」ランキング(小規模部門)でも8位に選出されるなど、外部からの評価も高まっています。今回、橋本社長に自律型組織のマネジメントのお話を伺えればと思っています。

いやなこと、面倒なことを排除したら「自律型組織」になった

橋本正徳さん(以下橋本): よく、ヌーラボは「自律型組織」とか、「ホラクラシー(holacracy)型組織」をとっているのか、と質問されます。正直よく分からないんですが……。基本的には上から下に命令を下す形態をとっておらず、現在のところすべてチーム主体で開発しています。マーケティングとかお客さんへのサポートも 臨機応変にスピーディーに対応しないといけない案件が多いので、チームのメンバーに自主的に対応してもらっています。

上から下への命令がない「フラットな組織」になったのは、働く場所が分散しているからでもあります。本社のある福岡のほか、国内は東京と京都。海外はニューヨーク、シンガポール、アムステルダム、ドバイ、あとサンフランシスコ、台湾にもあります。同じチームであってもリアルに顔を合わせる機会が少ないので、誰かが誰かの承認を得るプロセスは極力排除したい。「面倒なこと」「いやなこと」を排除していったら、いまの組織になっていったんです。

中竹: ヌーラボのサービスは海外の利用者が多いのも特徴ですが、海外拠点を置くことは設立当初から考えていたんですか。

橋本: これまでは「その場所にお客さんがいるなら、出ていこうか」という感じで決めてきました。マーケット規模よりもヌーラボとしての「縁」というか「ストーリー」がある場所を選んでいます。海外展開や事業計画にせよ、経営陣がいったんは綿密なものを練り上げているんですが、 僕が全体に伝える段階で「ゆるふわ」な伝わり方になっている と思います。あまりにもガチガチに伝えると社員も僕も窮屈だからです。

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