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連載:第41回 リーダーが紡ぐ組織力

「社員が定着しない」を乗り越え10年で売上19倍。人が辞めない組織のリーダーが見出したマネジメントの本質

BizHint 編集部 2024年11月29日(金)掲載
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業界の平均離職率が10.5%であるなか、1.8%という驚くほど低い離職率を誇る建設会社があります。それが、千葉県八千代市に本社を置く万葉建設株式会社です。同社は社員数25名という小規模ながら、この10年で売上高を19倍も伸ばし、グループ全体で50億円という驚異的な数字を叩き出しています。しかし、創業から現在に至るまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。人材定着に悩み、幾度となく赤字に陥るという苦悩を経ながらも「人が育つ」組織づくりにたどり着きました。そこで佐々木さんが得た「人づくり」経営の本質とは。詳しく伺います。

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万葉建設株式会社
代表取締役社長 佐々木 俊一 さん

2000年、35歳で家業から独立し万葉建設を創業。妻と二人三脚でのスタートながら、一級建築士の資格と15年の経験を活かし、住宅建設から事業を開始。現在は特に福祉施設建設を主力とし、建設、不動産、人材サービスの3事業をグループ展開。グループ全体で売上50億円規模に成長し、業界平均10.5%に対して離職率1.8%という低水準を実現。経営理念に「関わる人すべての幸せ」を掲げ、地域に根差した事業展開を行う。


「私ならできるのに」という驕りが招いた経営危機と離職の連鎖

――現在は人材が定着する組織になっていますが、以前は違った様子だったとか。

佐々木俊一さん(以下、佐々木): そうですね。今では離職率1.8%という低い水準を維持していますが、そこに至るまでには本当に長い道のりがありました。特に創業から10年間ほどは、人材がまったく定着しなかったんです。

独立前は父の会社で働いていたのですが、考え方の違いが大きく、35歳の時に父の会社を離れて万葉建設を立ち上げました。妻と二人で丸裸での創業、業者さんもお客さんもすべて父の会社に置いてきましたし、従業員の引き抜きもしませんでした。そして、私は外に営業に出て、家内は会社の中で電話番をする、まさにゼロからのスタートでした。

とはいえ、私には知り合いも友達も多かったし、建築の経験も長く、一級建築士の資格も持っていました。だから最初は「仕事はいっぱいもらえるだろう」くらいに思っていたんです。 でも、それが大きな勘違いであることに、すぐ気づかされました。

知り合いの皆さんにも、既に付き合いのある工務店や建設会社があるわけですから、そう簡単に仕事を回してもらうわけにはいかなかったのです。

創業から3ヶ月後、ようやくいただけた最初の仕事が、老人ホームの玄関ドアの塗装工事でした。総工費5万円の仕事です。小さな金額ではありましたが、仕事をもらえたことが本当に嬉しかった。今でも忘れられない思い出です。

――その後はどのように発展していったのでしょうか。

佐々木 :創業2年目には3名の社員を採用し、私と妻を入れて5名体制になりました。しかし、なかなか業績は伸びていかず、赤字と黒字を行ったり来たりするような状況が続いていました。

私自身は、創業時点で既に15年の経験があり、「私が建てます!」と自信を持って言えたのですが、それはあくまで私個人の話。会社は創業間もないのですから、そんな「ひよこの会社」には誰も家を任せたがりません。いくら個人としての経験があっても、「万葉建設」という社名には実績がないのです。創業1年目、2年目、3年目という時期は、そうした信用面での苦労が大きくのしかかりました。

その後もなんとか踏ん張りながら実績を積み上げ、10年目には社員が10人を超えるようになりました。

そして当時の私はというと、「100億円企業を作る」という大きな夢があり、この夢が私の原動力でした。でも振り返ってみると、その夢に囚われすぎていたように思います。私は「自分ならできる」という自負が強く、その自負が驕りとなり、若手社員への接し方を誤ることになったのです。

――どのように接してしまったのでしょうか?

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