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連載:第36回 IT・SaaSとの付き合い方

年末調整の電子化。現場担当者が語る導入経緯。「2年目で劇的に楽」と感じる納得の理由

BizHint 編集部 2024年10月3日(木)掲載
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資料に各種申請書類、年末調整と膨大な情報を紙で扱ってきた、とある農業法人。年末調整では差し戻しの度に事業所を回っていたといいます。組織としてペーパーレスを少しずつ進める中、SmartHRを使っての年末調整の電子化を図りました。導入の背景や、その過程で起こったこと、導入後の変化について聞きました。

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(お話を伺った方)
・農業法人
・社員数約200名
・管理部/労務担当者

※本記事は2024年8月の取材に基づいて制作しております。各種情報は取材時点のものであること、本記事の趣旨に関係ない一部情報は匿名であること、あらかじめご了承ください。


キーマンの異動が、組織全体を少しずつデジタル化

――貴社では2021年に年末調整を電子化し、SmartHRを導入されました。もともとの課題感はどのようなものだったのでしょうか?

長年にわたって年末調整は紙でやっていましたが、紙のやり取りには相応の手間がかかるというのが、元からあった課題でした。当社では事業所が複数個所あり、書類の受け渡しや修正のやり取りなどで、その都度、移動・輸送時間もかかってしまっていましたので。

ただ、 電子化に取り組む直接のきっかけは、その課題感そのものというより、管理部に異動してきた課長の存在 でした。

その課長は、管理部に異動してくる前は、営業部門で現場業務の電子化を推進するなど、いろいろな部署でデジタル化を推進してきた「キーマン」のような存在でした。

もちろん会社全体としても、上層部にはタブレットを配布したり、大量の紙で管理していた資料を電子化したりなどの動きは出てきています。

――年末調整の電子化にあたって、ツールの選定はどのように進められたのでしょうか?

基本的には、情報収集から契約まで課長が進めていました。「年末調整 ペーパーレス」のようにWEBで検索をしては資料を取り寄せたり、それにまつわる営業の電話もかかってきたりしていましたが、基本的には一通り話を聞いていましたね。

ツール選びの要件としては、当社が給与システムとして利用しているPCAクラウド給与との接続が必要条件でした。その他、費用・機能面など総合的に見て、最終的にSmartHRの採用が決まりました。

スマートフォンに明るい若手が、周囲に使い方を教える

――SmartHRの導入や設定はどのように?

SmartHRのカスタマイズやデータのインポートなど、基本的な設定は課長が進めました。課長自身、パソコンを触るのが好きな方で、一人でサクサク進めていました。

そうして大枠ができた後、 もともと労務を担当していた私がSmartHRの担当を拝命。年末調整をSmartHRで行うための準備を進めていくことになりました。

私はそこからSmartHRの使い方を覚えていくことになるのですが、わからないことがあれば、基本的にはチャットサポートを利用していました。最近は使い方に慣れたこともあってあまり使っていませんが、導入当初はほんとうにありがたかったです。懇切丁寧に教えていただいた印象があります。

――社内へのアナウンスや利用についてはいかがでしょうか?

そもそも当社では、全員がメールアドレスを持っているわけでも、パソコンやスマートフォンを配布しているわけでもありません。

ですので、まずは私用のスマートフォンにSmartHRのアプリをインストールしてもらうことがスタートでした。使い方については、年末調整のマニュアルを配布したのですが、それでもたくさんの質問が来ました。

ただ、インストール方法や初期設定など、比較的簡単な質問であれば、各部署・各事業所などで、スマートフォンの操作に慣れている若い社員が周囲に教えて解決する場面も多かったですね。

導入2年目以降、年末調整が劇的に楽に

――実際の年末調整の業務はいかがでしたか?

導入当初はやはりたくさんの質問や相談が来ましたし、管理部のメンバーでその1つ1つに対応していきました。もともとの紙のやり取りでも相応の相談は来ますので、電子化したこと自体での大きな混乱というのはなかったように思います。

一方で、 とても楽になったのが「差し戻しや不備への対応」。 当社は複数の事業所があるので、紙だった頃の差し戻しは、管理部のある本社まで用紙を取りに来てもらったり、私たちが各事業所へ届けに回ったりしていました。

例えばその時に、社員が休みだったり不在だったりすると、お渡しできるのがまた数日遅れ…こちらに返ってくるまでにかなりの時間がかかることがありました。

しかしSmartHRは差し戻しもパソコン上ででき、社員も自分のスマートフォン・アプリで確認できます。細かい話ですが、秋から冬にかけては風邪・体調不良の方も多く、そういった場合でもこちらの作業が止まらないのは、ありがたかったですね。

また 「紙を整理しなくて良くなった」というのも大きなメリットだと感じました。 それ以前は、一人一人でいろいろな種類の申告書を封筒にまとめ、中に何が入っているかを確認したり、誰に何を差し戻したかを確認したりするのに手間や、管理の負担がかかっていました。

SmartHRを使うことで、確認のために封筒を開け閉めしなくて良くなりましたし、今、誰の、何を待っているのか?などの進捗も、パソコンの画面から一目でわかるようになりました。

そして 社員からの質問や相談について。1年目は相応にありましたし、私も手探りの面はあったのですが、2年目からは本当に楽になりました。「社員と私(管理部門)、その両方が慣れた」というのがとても大きいです。

これは1年目にはまったく意識しなかったことなのですが、2年目にふと「そういえば、すごく楽!」と気付くことができました。

――現在、SmartHRとの関わりやサポートは?

こちらからは、わからないことがあった時にチャットサポートに相談するくらいです。一方で、担当の方からは定期的にご連絡いただき、活用状況の話などをさせていただいています。

――今後についていかがでしょうか?

SmartHRの機能の中で、現在は年末調整と給与明細しか使いこなせていないので、他の機能も使っていきたいですね。

中でも社会保険の申請については、SmartHRでチャレンジしてみたいと思っています。今はe-Govを使っていますが、毎回、最初から情報を入力しなければならないことや、そもそもの画面の使い勝手の悪さなど、手間がかかる部分が多いので…。

またこれはSmartHRとは別の課題なのですが、当社の取引・売買管理システムは、いつから動いているのかもはや誰もわからない、COBOLで作られた独自のものです。

長年にわたって、そのシステムが入ったパソコンに、人が1枚1枚の伝票の内容を手作業で、毎日入力しています。業界の慣習的に、そのような伝票・紙のやり取りはまだまだなくなりませんが、そうした旧習・手間がかかる部分を、少しずつでも効率化していきたいですね。

(文:安藤 ショウカ)

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