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連載:第69回 経営危機からの復活

フカヒレでシェア日本一。2度のV字回復に導いたリーダーが語る「人を動かすために必要な2つのこと」

BizHint 編集部 2024年7月24日(水)掲載
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1953年創業の株式会社中華・高橋はフカヒレのトップシェアを誇る食材卸売会社です。3代目社長 髙橋 滉さんは、父の急逝により29歳で経営を引き継ぎ、改革を推進します。しかし、若き経営者の改革に反発した幹部をはじめ、社員が大量離職、髙橋さんは社員へ自分の思いが伝わらないことに苦悩します。その苦悩をどのように乗り越えたのか、詳しくお話を伺いました。

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株式会社中華・高橋
代表取締役社長 髙橋 滉さん

1973年、東京生まれ。大学卒業後、中華・高橋に入社。アメリカで経験を積んだのち帰国。28歳の時に父が早逝し、2001年に代表取締役社長に就任。2013年にはマーケティング、商品開発、製造までワンストップで提供できるファクトリー&キッチンスタジオ「C’sKitchen」を都内に設立。


フカヒレ事業の歴史と経営改革の始まり

――御社のフカヒレ事業の歴史についてお聞かせください。

髙橋 滉さん(以下、髙橋): 当社のフカヒレ事業は、私の祖父が立ち上げた海産物の卸売店に始まります。1991年に2代目である父が、気仙沼にフカヒレ加工会社を設立したことで、メーカーとしての歴史がスタートしました。

国内のフカヒレ生産量の約8割を占める気仙沼で、現地でも最大規模の加工会社を立ち上げたことで、一気にフカヒレのトップシェアを握ることになったわけです。当時から加工から販売までを一気通貫で行える会社は少なく、フカヒレに関しては優位性の高い時代が続き父の代が一番のピークで年間600トン近くのフカヒレを取り扱っていました。

高級食材のトップシェア企業というものの、当時の顧客が求めていたのは品質よりも「安さ」。営業スタッフもコストダウンしか頭になく、商品を右から左へ動かしていただけでした。私はそんな利益率の低いビジネスモデルに不満を抱いていました。

社長就任後はまず、当時唯一の強みだったフカヒレ事業を徹底的に見直すことにしたのです。

――具体的にどのような取り組みをされたのですか?

髙橋: 「1円でも高く売る」という方針を打ち出しました。

当時の社員は、安く数を売ることで取引先を増やすことが重要だと考えていました。でも私は、付加価値によって「高く売る」ことこそが重要だと考えたのです。

社員には、「他社が100円で売っているものを中華・高橋が99円で売ったとしたら、それは1円分我々の価値が低いということ。どうしたら101円で販売できるか、付加価値を高めることを考えよう」と新たな方針を伝えました。

しかし、新しい方針に父の代からトップシェアの座にあぐらをかいていた社員、特に古参の幹部社員は、「今までのやり方を変える必要はない」と真っ向から反対してきました。

幹部が全員反対する中、味方のいない私は一人で動かざるを得ませんでした。最初に取り組んだのが、新しい取引先の開拓です。

当時は、大箱の中華料理店やホテルの高級中華料理店が主な顧客でした。ただ、そういうお店で使うフカヒレの大きさは決まっていて、我々は常に一定のサイズを揃えておく必要がありました。しかし、フカヒレの原料であるサメは自然の生き物ですから個体差が大きく、取れるフカヒレのサイズも大小さまざま。メーカーとして顧客の要望を叶えるためにはどうしても、いろいろなサイズのフカヒレを在庫として抱えておく必要がありました。そこで、中華料理店以外でフカヒレを扱ってもらえそうな店にアプローチすることにしたのです。

これまで、営業を行わなかったレストランチェーンや小規模な料理店にアプローチしたところ徐々に販路を拡大。特に、和食の高級店には、目玉となる旬の食材が少ない“端境期”のメインメニューとして提案したところ、非常に喜ばれ新しい販路につながったこともありました。

そうした販路開拓によって、それまでホテルや大きな中華料理店にしか卸していなかった取引先は私の代で大きく変わりました。特に和食店など専門店領域の顧客がコロナ禍以降大幅に増え、現在では中華料理店以外の取引先が約35%を占めるまでになっています。

また、それらの店に対しては、用途やメニューに応じて、フカヒレの加工を我々が代行することでより付加価値を高めることができました。

当時は、そんな新たなる成功を見て果敢にチャレンジしてくれる社員が出てくることを期待していたのですが…。

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