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連載:第72回 経営危機からの復活

「最低の経営陣」社員の言葉で覚悟を決めたリーダー。負債38億をV字回復できた1つの要諦

BizHint 編集部 2024年8月22日(木)掲載
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「首を吊る夢を見るほど追い詰められていました」。大阪の北摂エリアで8店舗を展開する自動車販売業のネッツトヨタニューリー北大阪・小西敏仁社長は、入社当時を振り返ってそう語ります。2011年の入社当時、会社は債務超過状態。個人保証付き有利子負債38億円を抱え、社員からは「最低の経営陣」と罵られる状況だったそう。想像を絶する道のりにも関わらず、わずか7年で負債を完済し、売り上げも10年で2.5倍に伸ばしてV字回復を成し遂げています。会社を再建できた秘訣は、意外にもシンプルでした。その驚くべき組織改革の真相と、小西社長が見出した経営の極意について、詳しく伺います。

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ネッツトヨタニューリー北大阪株式会社
代表取締役社長 小西 敏仁(さとし)さん

1980年生まれ。関西学院大学卒業後、2004年トヨタ自動車株式会社に入社。7年間の勤務を経て2011年1月、祖父が創業したネッツトヨタニューリー北大阪に取締役営業本部長として入社。2020年4月から社長を務めている


負債38億、債務超過からの再建…。苦難の日々

――入社された2011年、会社の状況はいかがでしたか?

小西 敏仁さん(以下、小西): 一言でいえば「債務超過状態」でした。 個人保証付き有利子負債38億円を抱える状態 までひっ迫していたんです。先代である父から、ある程度当時の厳しい経営状況は聞いてはいたものの、入社前と入社後ではその数字の痛み、重さがまったく違いました。

経営を任されることになったきっかけは、当時先代が経営を任せていたナンバー2の社員が入院したことでした。それで、息子である私が経営面を任されることになったんです。

そこから、毎晩映画のワンシーンのように首を吊る夢、高いところから飛び降りる夢…さまざまな自殺の夢を見るようになり、精神的に追い詰められていったんです。毎日が地獄のようで、ストレスで咳が止まらなくなり、血便も出るようになってしまいました。

――負債の要因はなんだったのでしょう。

小西: いくつか要因はありますが、外部要因としてはネッツ店とビスタ店の統合です。2004年頃、トヨタ自動車の販売網再編によって、若者向けの新しいイメージを打ち出すネッツ店、より成熟した顧客層をターゲットにしたビスタ店が統合されることになり、この統合によって同じ地域に複数のトヨタ系ディーラーが存在することになりました。

これが実質的な「ライバル会社」の出現につながり、経営危機の大きな引き金になったんです。

また、2000年代初旬までは600万台だった新車マーケットが、次第に300万台にまで縮小していったことも大きな要因でした。お客さまの車の保有期間が長くなり、新車の販売頻度が下がってしまったんです。

転機となった「会社を良くしようアンケート」の衝撃

――改善に向けて取り組んだことはありますか?

小西: 私はトヨタ自動車株式会社で7年間勤務した経験から、そこで学んだ「必勝の戦略」で改善できるのではないかと思い、試してみることにしたんです。それは、お客さまの購入頻度を上げる戦略です。当時、新車の市場が縮小したとはいえ、2011年頃はまだ、実際に車に乗っているお客さまの数は減っていなかったんです。

そこで、3年ごとの乗り換えを促進する残価設定ローンの活用を考えました。

ですが残念ながら、1ヶ月、2ヶ月と経っても成果が出ず、むしろ債務超過の状態がさらに悪化していき、次第に現場との軋轢も大きくなっていったのです。

そんななか、 労働組合が社員に実施したアンケートが転機となりました。

――詳しく教えてください。

小西: 私が入社して半年後に実施されたアンケートの回答に、衝撃的な内容がありました。一部を紹介すると、 「最低の経営陣。早く会社を売却しろ」「いつ潰れるかわからないから、給与を前借りさせろ」「店長に『会社を辞めろ』と言われた。お前が辞めろ」など。 まさに会社の現状を赤裸々に映し出す鏡のようでした。

当時社員たちに、会社が経営危機であることを伝えてはいましたが、ここまでの内容だとは思いもしなくて。正直、最初は絶望的な気分になりました。自分が必死に頑張っているのに、こんなにも厳しい意見ばかり…。「もうダメだ」と投げ出したくなりましたね。

でも、考え抜いた末に1つの気づきにたどりついたんです。そしてそれが、 現在の組織をつくる礎となりました。

――それは何でしょう?

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