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連載:第73回 経営危機からの復活

経営素人だったリーダー。社内批判、債務超過6億からV字回復できた理由

BizHint 編集部 2024年8月27日(火)掲載
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愛知県春日井市に本社を置く株式会社永賢組。1955年の創業以来、地域に根ざした建設会社として成長を続けてきた同社は、現在、年商80億円を誇る企業へと発展しています。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。3代目として経営を引き継いだ永草孝憲社長は、6億円もの債務超過という厳しい現実に直面し、さらには父の突然の病という試練にも見舞われます。そんな中で、永草社長はどのようにして会社を立て直し、成長への道筋をつけたのでしょうか。その軌跡を追います。

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株式会社永賢組
代表取締役社長 永草 孝憲さん

1981年愛知県生まれ。中学・高校とサッカーに熱中し、高校卒業後は総合格闘家として修行を重ねる。創業者である祖父、そして2代目の父の後を継ぐべく2005年に株式会社永賢組に入社し、債務超過状態から黒字経営に戻す。2012年に父が61歳で他界し、代表取締役に就任した。


父の会社に入社したら6億の債務超過が待っていた

――2005年、永賢組に入社された当時の状況を教えてください。

永草 孝憲さん(以下、永草): もともと会社を継ぐつもりがなくて、高校を卒業してから24歳までは総合格闘技の修行に明け暮れる日々でした。転機となったのは、プロを目指そうとしたタイミングで、創業者である祖父が亡くなったことでした。

格闘技の修行ができるのも、会社を創業した祖父、そして社長である父のおかげだと思い、事業を継ぐことを決心しました。

当社は土木・建築工事業ですので、入社して最初の1〜2年は飛び込み営業や現場回りなど一般の新入社員と同じような業務をこなしていました。なのでその時点ではまだ、経営の数字とは程遠いところにいました。

また、経営の経験はおろか、一般企業での勤務経験すらない「経営の素人」だったので、名古屋の「青年経営者研修塾」(青経塾)という経営塾に、2007年から3年ほど通っていました。特攻隊出身の経営者の方が主催しているのですが、強烈な精神論含めて、経営の基礎をみっちり学ばせていただいたんです。

そうした中で、なんとなく会社の数字について 「嫌な予感」 を感じるようになっていったんです。そして入社して4~5年たった頃、「このままでは会社が潰れるかもしれない」と危機感を覚え、まずは現状を把握しようと、その経営塾で出会った経営コンサルタントの方に、当社の決算書を見てもらうことにしたんです。

外部の方を社内に入れることに社員たちから反発はありましたが、自腹でコンサルタント料を払ってお願いすることに。すると、衝撃的な一言が返ってきました。

――それは何でしょう?

永草: 決算書を見たコンサルタントから 「これは絶対赤字だぞ」「この売掛金、実際にこんなにあるはずがない」 と指摘が入ったのです。

入社直後からの数年間、売上高は10〜20億円くらいありましたし、利益も数百万円出ていたので経営状態は悪くないのだろう、くらいに思っていたんです。

でも、実際蓋を開けてみると、人柄の良い父の性格が悪い方向に転んでいて、「次返してくれたらいいよ」という感じで赤字の工事をどんどん受注してしまっていることがわかりました。年間赤字が5000万円ほど出ていて、その負債が雪だるま式に溜まり、結果的に債務超過状態になっていたんです。

特に建設業界は、毎年赤字を出し続けてしまうと、入札に参加できなくなる可能性があるので、赤字が出ても隠していたようなんです。

私はそこから、自分の伝手で税理士さんも替えて、半ば強引に会社の数字をすべて把握するように動いていくことになります。そして、現在会社の顧問になっていただいているそのコンサルタント、さらにその知人のコンサルタントにも入っていただいて、3人で会社の出直しを図りました。

徹底的なコストカットで黒字経営へ

――経営サイドに立ったことで、これまでの経営陣と対立することはありませんでしたか?

永草: 正直対立はありましたね…。決算書の数字をもって経費削減の話をしても、父親をはじめ幹部社員からは、 「現場の仕事一つできない奴が何を言ってるんだ!そんなことを話している暇があるなら現場に行け!」 というような反応でした。

ただ私としても引き下がるわけにはいきません。時に社長である父に「こんな工事とったら潰れてしまうわ!」と、社員の前で啖呵を切りながら黒字経営に向けて戦っていったんです。

――どのようなことに取り組んだのでしょうか?

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