連載:第26回 リーダーが紡ぐ組織力
豆腐で400億・日本一。「数字でやる気はつくれない」と語る社長の勝ち筋
営業出身の社長が会社を立て直し、今期は売上高400億円に到達――こう書けば、その過程に徹底的なコスト削減や売上ノルマの設定など、数字で縛るアプローチがあったと想像するのではないでしょうか。しかし、群馬県前橋市に本社を置く豆腐メーカー・相模屋食料の鳥越淳司社長の哲学はその逆、むしろ「数字でやる気はつくれない」と語ります。鳥越社長が苦い経験を経てたどりついた、数字より大切なものとは。
相模屋食料株式会社
代表取締役社長 鳥越 淳司 さん
1973年京都府生まれ。早稲田大学商学部卒業。1996年雪印乳業に就職。その後、1951年に設立された豆腐メーカー、相模屋食料株式会社の2代目社長の三女と結婚。2002年に同社に入社し、2007年に33歳で代表取締役に就任。『ザクとうふ』で世間の注目を集めるほか、業界トップ企業として、救済型M&Aによる地方豆腐メーカーのグループ化を進めている
9割の人にとって、数字とはやる気を削がれるもの
――貴社は、「ザクとうふ」「うにのようなビヨンドとうふ」といったユニークな商品を筆頭とした、売上高400億・国内トップシェアの豆腐メーカーです。鳥越社長は「現場に売上目標をもたせない」マネジメントを行っているそうですね。
鳥越 淳司 さん(以下、鳥越): はい。私は現場に数字を追わせることをしません。数字は“管理する側”にとってはなにかと便利なのですが、“管理される側”の社員にとっては、モチベーションにつながらないものだと考えているんです。
たとえば「ノルマ」。この言葉を聞くと、まず「キツい」「やらされ仕事だ」といったネガティブなイメージが頭に浮かびませんか?もちろん中には、高い数値目標があることで火がつく人もいます。でもそれはごくごく少数派。大多数の人にとって数値目標は、高いハードルを設けられ、やらされ感に苛まれるだけのもの。 「数字を求められることでやる気を削がれてしまう人が9割」 というのが私の持論です。
また当社は、破綻寸前に陥った同業企業のM&Aを行い、これまで12社の再建に注力してきました。その経験からわかったのは 「経営状態が悪い会社ほど従業員に数字を押しつけている」 ということ。加えて、そういった会社の経営陣は、毎日会議室で「ロス率が…歩留まりが…稼働率が…」と議論しているだけで、工場や営業先といった現場に足を運んでいないんです。
そうすると何が起こると思いますか?
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