連載:第27回 リーダーが紡ぐ組織力
部下の主体性を引き出す2つの質問。老舗企業の“教えない”人材育成に学ぶ組織づくりの神髄
「社員が指示待ちで、主体的に動かない」「社員が育たない」と悩む経営者の方も多いのではないでしょうか。「教える」「指示する」ことで人は育たないと語るのは、愛媛県で飲食店を展開し、「自主性を大切にした人材育成」などをテーマに各地で講演もされている株式会社マルブン 取締役会長の眞鍋明さん。現在は自立型組織として知られる同社ですが、以前はまったく逆の組織だったのだとか。組織を変えたのは、尊敬する経営者から学んだ2つの「質問」でした。社員の主体性を引き出すシンプルな施策とは?詳しく伺います。
株式会社マルブン
取締役会長 眞鍋 明 さん
1962年愛媛県生まれ。後継者の兄が亡くなったことにより、大学卒業後に料理の道へ。イタリアなどで修行を積み、広島県内のレストランで総料理長を務める。29歳で家業に戻り、業態をイタリア料理へ転換しリニューアルオープン。情報番組に取り上げられ売上が上がり始めるが、33歳で重度のうつ病に。回復後、経営について多方面で学び、現在は会長業の傍ら「理念経営」「自主性を大切にした人材育成」などをテーマに全国各地で講演。2016年日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員会特別賞受賞。全国クラウド実践大賞2023審査員特別賞受賞。社員数19名、従業員数86名(2024年6月現在)
尊敬する経営者から教えてもらった「幸福ではない社員の特徴」
――眞鍋さんは「自主性を大切にした人材育成」などの文脈で、各地で講演されていらっしゃいます。一人ひとりが主体的に動く組織として知られていますね。
眞鍋明さん(以下、眞鍋): ありがとうございます。ただ、今のような組織になるまでには、10年以上はかかっています。これは、組織づくりに向き合ってきた結果です。
以前の当社は、「指示した通りに動いてほしい」「余計なことは考えなくていい」といった、完全なるトップダウンでした。その下で働く社員は、言われないと動けない、常に指示を待っているようになるのも当たり前ですよね。
最初はそれでも会社は成長していましたし、うまくいっていたんです。しかし私が体を壊してしまい、仕事ができなくなってしまった時期がありまして…。それでもお店は売上を伸ばしていたのですが、復帰できるタイミングで、改めて経営の勉強をしておかないと、と思ったんです。経営塾や研修に参加するほか、さまざまな企業を見て回らせていただいたんですね。
その中でとても大きな出会いがありました。それが、「幸福経営」の先駆者であるネッツトヨタ南国の横田英毅相談役です。同社は、「全社員が人生の勝利者になる」という経営理念を掲げ、すべての社員が幸せになれる会社づくりを行うことで、数あるトヨタ系ディーラーの中でも高い実績を残しています。
2001年にはじめて横田さんにお会いして、そこから毎年お伺いしているのですが、あるとき 「幸福ではない社員さんの特徴」 についてお話いただきました。
- 自分の成長の実感がない
- 自分で考えて仕事をすることができない
- あまり自由に意見が言えない
- 自分の努力が評価されない
- 職場の人間関係、上司関係が良くない
- コミュニケーション不足、チームワークがない
- お客様、同僚、ビジネスパートナーから感謝されていない
- 所属している組織を愛せない
この中の「2. 自分で考えて仕事をすることができない」が印象に残りました。つまり、社員たちが幸せになるためには「自分で考えて仕事をしてもらう」、言い換えれば 「主体性を持って働いてもらう」ことが必要なんだと。 これは、目から鱗でした。
そして、社員との関わり方において、横田さんが徹底していることがありました。そして、それこそが「社員の主体性を引き出しているポイント」なんだと気づいたんです。
――それは一体なんだったのでしょうか?
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