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連載:第28回 リーダーが紡ぐ組織力

部下の主体性を引き出す「2つの役割」。自律型組織に導くリーダーに求められること

BizHint 編集部 2024年6月18日(火)掲載
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「経営者の想いが現場まで浸透しない」「社員が自律的に動かない」と悩む経営者は多いのではないでしょうか。建設業界に特化した人材サービスを展開する、株式会社アーキ・ジャパン 代表取締役社長 吉田周平さんも、就任当時は完全なるトップダウン型の組織風土と主体性のない社員に大きな課題を感じていました。そこから、現場を取り仕切る「マネージャー」に狙いを定め、育成を開始。1年半で心理的安全性の高い組織に変化し、自律型人材に育った彼らの施策が奏功して過去最高売上も達成しています。改革に際し、吉田社長が徹底したこととは。詳しく伺います。

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株式会社アーキ・ジャパン
代表取締役社長 吉田 周平さん

大学卒業後、OracleやMicrosoftでプロダクトマネージャーとして製品のマーケティング戦略立案・実行に従事。2008年、家業である旭シンクロテックへ入社。2011年に代表取締役に就任し、200名規模の組織改革と経営再建を実現。2018年、宿泊予約サービス展開のゆこゆこホールディングスへ入社。2019年より代表取締役社長に就任し、コロナ禍を乗り越える。2021年、アーキ・ジャパンの代表取締役社長に就任。2023年10月期の売上高は120億円で、同年の新規派遣スタッフ採用数は1,000名。どちらも過去最高となった。


組織改革の要は「マネージャー」の自律

――貴社では近年、自律的に動くマネージャー層の働きによって業績にも良い影響が出ているそうですね。

吉田周平さん(以下、吉田): 創業から私が就任した2021年度まで業績は順調に推移していました。ですが創業した前社長は「 この先の成長は自分たちのスタイルのままでは限界。ほかの人に引き継ぎたい 」という意思をお持ちで、ファンドに売却していたのです。

私は、事業承継でファンドが買収した会社に経営者として入る経験があったので、縁あって社長を引き継ぐことになりました。当時はコロナ禍で派遣社員の採用を控えた結果、総配属数が減少傾向にありましたが、創業から15年間右肩上がりの成長を続けていました。しかし、体系的な人事制度や教育制度も存在せず、社員の成長にあまり目が向けられてはいませんでした。

そこでまず注力したことが、 自律的に動くマネージャー層の育成でした。

結果的に2023年度の売上高は120億円、新規派遣社員の採用数は年間1,000名を超え、過去最高となっています。

これは、マネージャーたちが、当社のパーパスを「自分ごと」として捉え、自ら具体的なアクションに落とし込み、トライアンドエラーを繰り返した結果です。 自分たちで考え、実行し、良かったら継続して、ダメなら違うことを考える。これを回すことが、私の考える「自律」です。 実はまだ組織改革を始めて1年半ですが、マネージャーたちは確実に自律型の人材に育っていますね。

――組織改革をスタートされて間もないとのことですが、吉田さんが社長に就いた当時はどのような雰囲気だったのでしょうか?

吉田: 3年前は今とは真逆の組織で、完全なるトップダウン型でした。そして、非常に「体育会系」な雰囲気で……。例えば、私がフロアに入ってこようものなら、社員たちが起立して「おはようございます!」と大きな声で挨拶しました。それ自体は決して悪いことではないのですが、どこかやらされ感を感じたことを覚えています。

また責任者会議では、数字を報告したマネージャーに対して部長が厳しく詰めていく。意見を言うことはもちろんのこと、 分からないことを尋ねることすらしづらい雰囲気でした。

こういったタイプの指導の場合、 部下はその上司にとっての「正解」を探します。 でも、それでは部下の思考力は育たないし、本当に不毛な時間だと思いました。そして、人がどんどん辞め、残った20代の若手社員の中から消去法のように選ばれた人が次のマネージャーとなり、また会議で詰められる……。その悪循環が繰り返されていて、マネージャーの主体性が失われるだけでなく、若手社員が目指したいと感じるあこがれの存在ではありませんでした。

私は、そこに大きな危機感を感じていました。

――どういうことでしょうか?

吉田: 私は以前、祖父が立ち上げた旭シンクロテックという建築関係の会社で社長を務め、リーマンショックによって傾いた経営を再建した経験があります。200名規模の中堅企業で、当時は債務超過で危機的状況でしたが1年で黒字体質に転換することができたんです。その間、誰一人解雇していませんし、逆に外部からスーパーマンを雇用することもありませんでした。 なんとか会社を立て直したいという既存社員たちの想いと考えやアイデアを引き出し、それをひたすら実現することで、最終的に経営再建まで漕ぎ着けました。

つまり、 同じ人材・組織で大赤字にすることもできるし、黒字化することもできる。 私はこの経験で、人材が持っているポテンシャルを発揮させることは、組織を強くすることや、経営に大きな影響があると身に染みて感じたんです。

そしてアーキ・ジャパンにおいては、社員数は派遣社員を含めると2000名を超え、当時の支店も今の10拠点よりも多かったのです。この規模の会社だと、支店が多く物理的距離が離れていることもあって、私が直接指導したり会話したりすることができないんです。

だから、どのくらい現場が自分たちで判断して行動に移せるのかが重要で、その仕組みを作ることで会社を変えられると思いました。

そのためには、皆が同じ方向を向いて動く必要がありますが、 その「要」となるのがマネージャーです。 当社で言うと「支店長」。だから、この組織では彼らの育成が急務だと考えました。

――なるほど。具体的に、どうすれば貴社のような自律型のマネージャーが育つのでしょうか?

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