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連載:第2回 成長企業 社長が考えていること

組織の成長角度に負けないよう、さらなる高みを目指す - メルカリ石黒卓弥の人事論(後編)

BizHint 編集部 2017年1月29日(日)掲載
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後編では、ドコモから数十名のメルカリにジョインした石黒卓弥氏の経験について伺います。参画当初の戸惑いや大企業との違い、人事としてより高いレベルを目指すことを可能にするメルカリの環境など、スタートアップで人事プロフェッショナルを目指す人には必見の内容です。

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決めることを躊躇せず、A/Bテストしながら進化させるメルカリの人事

BizHint: 実際、メルカリに入社されて……。いろいろあったと思いますが、どんな部分で戸惑ったりしましたか? 今後、大企業からベンチャーに移籍する方が参考にするためにお願いします。

石黒: とにかく、「人に会わないとダメだ」と思ったので、イベントに登壇したり、勉強会に参加して人に会って生の声を聞きました。メルカリのカルチャーを身体に叩き込むために多くのアウトプットを心がけました。採用HPやWantedlyの募集ページを作ることに始まり、Meetupなどのイベント企画や、取材対応などです。

 なかでも最初に戸惑ったのは、取締役の小泉から直接、「僕は、これ好きじゃない」と言われることでした。最初は面喰らうんですよね。今まではそんな経験がなかったので。でも、何回かダメ出しを喰らうと大きく外すことはなくなる。

BizHint: 人の好き嫌いではなく、「案」に対して言っているわけですね。

石黒: メルカリでは「All for One – 全ては成功のために」というバリューがある。「成功のために必要なことは指摘し合おう」という文化があります。社内を見回すとオープンコミュニケーションのなかでみんな結構、やり合っている。でも、オープンな場でできるのって相手を信頼しているからこそ。同じ失敗を2回しないために大事なことだって気がつけましたね。

BizHint: ドコモ時代の人事としての立ち位置と、今とで違う部分はありますか?

石黒: ドコモでは関係する組織や人が大きい分、人事異動に代表されるように何かを決める際の社内の調整が大変でした。一方で、メルカリでは意思決定がとても速い。決めることを躊躇しないですね。

 よく小泉は「人事施策も、WEBサービスのようにA/Bテストしながら作ればいい」と話します。大企業では新しい施策を数万人の社員に周知するのにものすごいコストがかかる。でもメルカリのようなスタートアップではクイックにできるし、社員に対して「この施策は、結果次第で変わる前提でお願いします」とも言えます。

 旬なネタを意識した募集ページ作成、文言のチョイスなどのA/Bテストは日常的に行っています。また最近では「採用会食の事前申請」を無くしてみました。今までも「3行」だったのですが更にハードルを下げようと。フォローが薄くなったり何か想定しないことが起こるかもしれませんが、それはやってみないとわかりません。もとに戻るかもしれませんが、まず「やってみる」ことから全ては始まります。

BizHint: 最初から完璧を目指すのでは無く、スピード感を持ってアクションに移しながら改善する文化が人事にも根付いているんですね。

『ワーク・ルールズ!』がメルカリ人事のバイブル

BizHint: 山田進太郎さんや小泉さんなど、経営陣と人事施策を考えるうえで「これを参考にしている」という企業や本などはありますか?

石黒: グーグルの人事担当副社長だったラズロ・ボック氏が書いた『ワーク・ルールズ!』ですね。「あの本に書いてあることはすべてメルカリでもやろう」と話している。既に導入した施策も複数あります。

 一例として「職務要件を細かく定義する」ことは凄く大事にしていますし、さらにその職務要件を社内に向けて説明する場を持っています。週に1度の全社定例で、当該グループのメンバーがプレゼンを行うんです。

 メルカリでは社員に知人を紹介してもらう、リファラル採用を非常に大事にしています。これは人事のメンバーを募集する場合の一例ですが、社内に向けて単に「人事のメンバーを探してます!」と言ったのではなかなか紹介してもらえない。より具体的に「人事のメンバーを探しています! 人事の仕事は未経験でも良いけど「ネットが好きなこと」が大前提。現在の職種は問いませんが、営業、広報、もしくはライティングの経験が有ればベターです!」と説明します。そうすることで社員も具体的な友人知人を思い浮かべやすくなり、Wantedlyの求人ページをシェアしてくれたり、紹介につながっていく。そのようにして採用に繋がっていくんです。

 さらに言うと、現場感がより出るほうが響きます。これはQAグループのプレゼン例ですが、「メルカリのエンジニアは3倍に増えましたが、QAエンジニアは1人も増えてない。QA担当のエンジニアが足りません!みなさん助けてください!」と話してくれたんですね。その後の反応・効果とも非常に良いものでした。

BizHint: 急成長中のスタートアップは、よく「全職種で人材募集してます!」と言いがちですが、欲しい人のイメージを具体的に発信した方が協力してもらいやすいんですね。

社員の方に「自分たちも採用を頑張ろう」と思ってもらうため、何かしていますか?

石黒: 最近ではリファラル採用でメルカリに入社した人が多いので、当たり前にやってくれるメンバーが増えてきています。

 それにメルカリのバリューには「All for One – 全ては成功のために」とあります。マネージャーが「最近人が足りないから採ってきてよ」と人事に丸投げすることはありえません。「人が足りないなら、自分で探しに行きましょう。人事ももちろんコミットしますから」というスタンスです。

BizHint: 今メルカリのHRグループはは何人くらいいらっしゃるんですか?

石黒: HRグループは6人で、そのうち人事畑出身は僕含めて2人。あとはメディアの編集をやっていたメンバーや、社長秘書、コンサルタント、マーケターなどバックグラウンドはさまざまですね。

 メルカリをいろいろな意味で「大きな会社」にしていきたい。HRグループは成長のエンジンとしてその一端を担えればと思っています。

将来に向けて手を打つため、人事の生産性を上げる

BizHint: 今後の世の中で人事部が果たすべき役割について、石黒さんはどうお考えですか?

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