連載:第15回 経営・SaaSイベントレポート2023
松下幸之助と稲盛和夫、二人の共通点から学ぶ「経営の極意」
日本の経済界に多大な影響を与えた京セラ創業者の稲盛和夫氏と、松下電器(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏。「利他の心」「全従業員の物心両面の幸福を追求する」(稲盛氏)、「ダム経営」「水道哲学」(松下氏)など…経営の神様とも呼ばれるこの二人の数々の経営観は、今も多くの経営者に影響を与えています。本記事では、二人の言葉やエピソードを交えながら、会社運営において重視すべき考え方や経営者としての在るべき姿を紐解いていきます。
1991年一橋大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社し、新聞記者および出版編集者として勤務。2006年から2008年まで南山大学南山宗教文化研究所研究員。その間、京都大学経営管理大学院にて京セラ経営哲学寄附講座の非常勤助教も務める。2008年にPHP研究所に入社。現在は同社PHP理念経営研究センターの首席研究員を務めている。社会学修士(エセックス大学)。宗教学博士(ランカスター大学)。
「どうやったら余裕を持たせる経営ができますか?」稲盛和夫に衝撃を与えた幸之助の言葉
松下幸之助と稲盛和夫さんの出会いは1965年頃、幸之助がダム経営について話した講演会だといわれています。東京オリンピックの翌年で景気が非常に悪く、倒産する会社が多かった時代でした。「ダム経営」とは、自社の資金(設備)に一定の余裕を持たせる経営の在り方で、必要に応じて水の放出量を調整できるダムのように、状況に応じて適宜調整することで安定的な経営を行うという考え方です。
講演後の質疑応答で、「ダム経営とおっしゃいますが、松下電器という大きな会社だから余裕を持たせることができるのでは?中小企業の経営者は日々本当に大変です。どうやったら余裕を持たせる経営ができますか?」といった質問があったそうです。それに対し、幸之助はこう答えました。
「そらやっぱし、やろうと思わんといかんでしょうな」 と。つまり、どうやったら余裕を持った経営ができますかと聞かれ、やろうと思わないとダメですと答えたのです。これに対し、回答になっていないと会場内では失笑も起きたそうです。
ただ、稲盛さんは違いました。
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