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HRテック

2018年4月16日(月)更新

経産省がHRテクノロジーに期待するものとは?「HR-Solution Contest 〜 働き方改革×テクノロジー」「IoT Lab Connection」の狙いを聞く【経済産業省参事官・伊藤禎則さん】

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経済産業省が、人事領域におけるテクノロジー活用による、人材の採用・評価・活用の効率化や新たな働き方を実現する画期的ソリューションを募集・表彰する「HR-Solution Contest 〜 働き方改革×テクノロジー」と、HRベンダーと導入検討企業等のマッチングを行う「IoT Lab Connection(ビジネスマッチング)」という、2つのイベントを開催します。 (7月25日開催。民間団体「IoT推進ラボ」、「HRテクノロジーコンソーシアム」との共催) 民間によるHRテクノロジーのイベントやコンテストも増えつつあるなか、「HRテクノロジー」をテーマにしたイベントを開催する狙いとはなにか? また応募する企業に期待するポイントは何なのか? 同イベントを主催する経済産業省の経済産業政策局 産業人材政策室 参事官・伊藤禎則さんに伺いました。

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「働き方改革」には「HRテクノロジー」活用が有効

人口減少する日本で求められるのは、生産性の向上である

2016年に「働き方改革実現会議」が発足して以来、日本全体で「働き方」に対する注目がかつてないほど高まっています。

なぜいま私たちがHRテクノロジーに注目するのか。それは第4次産業革命が起こりつつある今後の世の中では、 「モノ」や「カネ」ではなく、「ヒト」こそが競争力の源泉になっていく と考えているからです。

いままでの「働き方改革」は、「労働時間の削減」が中心だった側面がありました。

もちろん大事なことですが、人口減少が進みつつある日本では、長労働時間に頼らず、生産性向上による経済成長を目指す「働き方改革・第二章」が必要ではないでしょうか?

そして、そこでは、企業において「人材」を扱う「人事」こそが核になると考えています。

これまで日本人は、「長時間労働」を前提として経済成長を果たしてきましたが、これからは過労死やサービス残業などの問題を解決するべく、日本の歴史上初めて、厳格な労働時間の上限規制がかかる見込みです。

私が働いている経済産業省でも、かつては深夜残業が当たり前だったり、若い官僚の大きな仕事は会議や国会のための膨大な資料をひたすら何百部もコピーすることであったりと、非効率な仕事がまかり通っていました。しかし昨今では、生産性をより重視してタブレットによるペーパーレスの会議も増え、大事な審議会以外のミーティング自体も減らしています。

国全体で労働時間の削減に取り組むなか、問題となるのはアウトプットの減少です。すでに労働人口の減少が始まっている日本社会では、IoT・AI・ビッグデータなどのテクノロジーの活用を通じ、「いかにひとり一人の生産性を上げていくか?」が、求められているのです。

経営における「人事」の優先度を引き上げることが必要

「働き方改革」の背景には「雇用形態の多様化」があります。以前は、新卒一括採用を行い終身雇用というスタイルが一般的でした。しかし、いまやこの形式は崩れ、人材が流動化しつつあります。企業は自社とマッチした人材の採用を効率的に行い、パフォーマンスを発揮してもらうための施策を行わなければなりません。

これまで、多くの経営のトップが「人事は大事だ」と口では言いつつも、コストと時間をかけていない事態が往々にしてありました。大切なのは、「人材の活用・引き止めが企業の最優先課題である」と経営トップが認識し、優先度を上げることです。

人は企業にとっての大切な資産であり、競争力の源泉です。その人材の活用をどう考えるのか、どんな手段が有効かをクリアにしていく必要があると思います。

人事の方々にとっても、非常に難しい時代に入ってきていると思います。これまで人事の仕事の多くはいわゆる事務管理が中心で、経営に直接的に貢献する側面は相対的には少なかった。しかし今後は、「人事」と「経営」が近づきながら、経営の意思に人事機能をより明確に乗せる必要があります。テクノロジーを活用しながら人事施策を実行し、経営課題を効率的に解決すべき局面に達しつつあると言えるでしょう。

テクノロジーで、働き方はどう変わっていくのか?

目に見えない成果を、いかに評価に組み込むべきか?

では、いかにテクノロジーを人事・働き方改革に取り込むのか。これまでの人事は担当者の経験と勘に頼る領域が大きかったのですが、業務内容を見ていくと、実は「大量の情報を効率的に処理し、リアルタイムにアウトプットする」というAIやビッグデータの得意領域と親和性が高い。

たとえば 採用活動や日常業務、人事評価といったプロセスで蓄積されるデータを、AIの活用によって処理し、ほぼリアルタイムで経営者や人事担当者の判断に対するインプットとして提供する ことなどが考えられます。

人事とテクノロジーをつなげることは、人々の働き方に大きな変化をもたらすでしょう。

人事領域における課題で、最も急務なのは「労働時間の管理」です。

現状、多くの社員は労働時間で管理されています。しかし、働き方がますます多様化しているので、業務内容や働き手の健康状態によって労働時間のとらえ方は様々であるはずです。 画一的に「8時間勤務ならOKで、10時間勤務はNG」と、機械的に管理をする方法は徐々に実態にそぐわなくなっていくでしょう。

したがって、ただの時間軸での評価だけではなく、その人自身のコンディションや成果の測定が求められてきています。業務の内容を明確化し、成果に基づく評価をすること。そして、どんな方法で、労務管理をおこなっていくべきか。テクノロジーを使った新しい形の労務管理方法が求められているのではないかと思います。

それぞれの人に合った人材育成をテクノロジーで提案

「働き方改革」で、もうひとつのポイントとなるのが「人材育成」です。

以前は、学卒者を新卒社員として一括採用後、先輩の背中をみながら少しずつ熟練させ、企業側の負担する採用・育成コストを回収していくのが一般的なスタイルでした。

ところが現在は、企業側にも人材育成に時間を割く余裕がなく、採用・育成コストの回収スピードを速めることが求められています。

よりスピーディーに働き手自身が本当に必要なスキルを身に付けて成長し、生産性を上げていけるような人材育成が求められているのです。そのために企業側は何ができるのか?  従来の画一的な人材育成方法ではなく、それぞれの人材に合った育成方法を組み合わせて提供していくべき でしょう。

マネジメントも、これまで以上に柔軟性が求められています。社員それぞれが違うバックグラウンドを持ち、働き方も変わるなか、「標準的なキャリアパス」はなくなりつつあります。

正社員や契約社員、フリーランスなど、それぞれの雇用形態に合わせた最適な仕事内容の振り分けを模索する段階に来ています。採用、評価などのマネジメントの分野でも、テクノロジーの力を活用しつつ、スムーズに問題を解決できるのが理想です。

AI・ロボットが普及する世界で、人々が求めるのは「やりがいある仕事」である

人材が流動化するなか、会社へのエンゲージメントをどう高めるか

生産性の向上とセットで求められるのが「仕事のやりがい」や「仕事へのエンゲージメント」の向上です。日本の働き手は国際的な調査で見ても仕事に対するエンゲージメントが特に低いことが指摘されています。

人口が減少する中で、長時間労働の是正と生産性の向上を同時に実現するためには、 働き手が「やりがい」を感じ、自らの能力を発揮しようと思えるような仕事を増やし、マッチングを実現していくこと が欠かせません。

「やりがい」や「エンゲージメント」など目には見えづらいものを、いかに可視化し、改善を図っていくのか。この分野でもテクノロジーの活用に期待しています。

世の中では、「AIやロボットにより人の仕事が置き換えられ、仕事が減る」という懸念も聞こえてきます。しかし、そもそも「ロボット」という単語は、チェコ語で「強制された労働」という言葉から派生した造語です。ロボットは人間がやりたくない作業の代替手段として発明されたわけです。

業務をロボットやAIに置き換えたとき、本来、人間は何をすべきなのか?  より大切になるのが「働く喜び」や「仕事で人と関わることの喜び」 です。

逆説的ではあるのですが、「人間の仕事が減ると言われる時代」「人材が流動化する時代」だからこそ、企業は「この会社で働く価値」を真剣に考え、働き手に対して発信することが求められているのではないでしょうか?

先ほど「経営者にとっての人事の優先度を上げること」「経営と人事が近づくこと」が重要と話しました。では、経営者と人事はまず何を話すべきか。それは、「この会社で働く楽しさ、成長する喜び」ではないかと考えています。

これからの世の中で、働き手に「価値」を提供できない企業には、誰もついてこないでしょう。 テクノロジーを活用しながら、企業と働き手が共に価値を感じられる組織を創りあげていくこと が重要になるはずです。

コンテストから見える、日本の未来とは

新たな画期的アイデアの発掘と、ビジネスマッチングを

このような背景のなかで、今回の「HR-Solution Contest 〜 働き方改革×テクノロジー」及び「IoT Lab Connection(ビジネスマッチング)」を企画しました。本イベントは、大きく2つの柱で出来ています。

ひとつは「HR-Solution Contest」として、大小様々なHRテクノロジーベンダーから、想定される、働き方改革や人事上の課題に対する「ソリューション」を提示していただくというもの。経営が直面する人事労務の課題を、テクノロジーでいかに解決できるのかに焦点を当てたいと思います。

「労働時間」や「生産性」「人材育成」「エンゲージメント」などの側面から、人材という競争力の源泉をどう考えるか、どんなプロダクトが有効になるかを提案していただきたいです。

コンテストに応募されるサービスやプロダクトは、既存のものでも結構ですが、まだ市場にリリースを迎えていないようなアイディア段階のものも含め、これまでになかった画期的なソリューションを期待しています。

「実現可能性」と「独創性」の2軸ならば、 実現可能性が少々低くても独創性や画期性に富んだ方が、よりありがたい 。言葉は悪いかもしれませんが、「HRテクノロジーで日本の働き方はここまで行けるかもしれない」と期待させる、より「突飛な」アイデアを募集したいと思っています。

また、審査員には、人事領域に強い問題意識を持つキーパーソンに来ていただく予定です。働き方改革・人事関係でこれだけ豪華な顔ぶれがそろうことも、なかなかないと思いますので、ぜひ期待していただければと思います。

もうひとつは、「IoT Lab Connection」による「ビジネスマッチング」です。これまで産業分野別でマッチングを実施していましたが、今回は目的(課題)別のマッチングとして(1)働き方改革、(2)シェアリングエコノミーの2つのテーマで実施します。

具体的には、すでに市場にリリースしているプロダクト、サービスを企業単位で持ち寄っていただき、企業の種類や規模に関わらず、ベンダーと利用企業の間で、また、ベンダー同士で、マッチングする機会になればと思います。IoT推進ラボは各界のキープレーヤーが集う場ですので、結果、様々な形でネットワークが拡大するチャンスとしても利用していただければと思います。

経済産業省はHRテクノロジーイベントに何を期待するのか

イベントの大きな狙いは、3つあります。

まず、 働き方改革とテクロノジーに関する日本の「経営陣の意識改革」 です。日本では経営トップを中心に、HRテクノロジーへの認知度が低い傾向にあります。現場レベルでは興味があっても、経営層がうまく活用ができていないというケースが非常に多い。今回のイベントを通じ、HRテクノロジーの重要性を経営層の方々にもより認知していただくことが、最大の狙いになります。

2番目は、「HRテクノロジーのマーケットの活性化」です。ベンダーから画期的な人事プロダクトやサービスが出てきても、日本では経営層や人事におけるHRテクノロジーへの認知度が低いため、マーケットがうまく育っていません。しかし人事機能がない会社は存在しないでしょう。より多くの企業にHRテクノロジーが認知され、活用されれば、よりマーケットも活性化していくはずです。

そして最後に、現時点では「HRテクノロジー開発・普及のための資金が現在十分ではない」ことへの対応という点です。アメリカと比較してもマーケットの規模が小さく、ベンダーサイドでいいアイデアがあっても、資金とのマッチングができていないケースが多々起こっています。コンテストを通じて、一般認知を高め、画期的アイデアを埋もれさせないのも狙いのひとつです。

「一緒に国を創る」その想いを形に

世耕弘成経済産業大臣も、HRテクノロジーに非常に関心を持っています。先日も、大臣室で、メガネ型をはじめとしたウェアラブルデバイスによる健康管理や、糖尿病患者さんの行動をスマホで管理できるアプリなどについて、ベンチャーの方々からプレゼンいただき、強い関心を示していました。

真の働き方改革を前に進め、「一緒によりよい社会を作っていきたい」という想いは、国も企業も同じ です。その想いをより多くの方々と共有できるよう、経済産業省は、いつでも意見交換の場を設けています。どのように国に働きかけたらよいのか戸惑われるケースもあるかもしれませんが、実際に、私が在籍している産業人材政策室では、連日ベンチャー企業をはじめ産業界の方にお会いし、意見交換をしています。国も企業も連携し、よりお互いのネットワークが広げていくことが、よりよい働く場を創出することにつながると考えおります。画期的アイデアをお持ちの方はぜひ、ふるってコンテストにご応募ください。

「IoT Lab Connection」「HR-Solution Contest」概要

「IoT Lab Connection」「HR-Solution Contest」

「IoT Lab Connection」(ビジネスマッチング)

題解決を求める企業と、ソリューションを提供するベンダーとのマッチングや、ベンダー同士の提携・連携に向けたマッチング等を行う予定です。さらに、各マッチングでは、2つのテーマに関連する事業モデルや技術・サービス等を保有する会員企業等に加え、「自治体」や「弁護士事務所」も参加。自治体が抱える課題ニーズや、ボトルネックとなる法律の無料相談も実施します。

「HR-Solution Contest―働き方改革×テクノロジー―」

第四次産業革命や産業構造の急速な変化のもと、「モノ」や「カネ」ではなく「ヒト」こそが競争力の源泉である時代が到来しているとともに、「働き方」そのものも変化しつつあります。「働き方改革」の実装は、まさに急務です。 こうした中、人事評価や採用、人材育成等へのAIの活用やIoTによる労務管理、ビッグデータを活用した人材運用など企業における人事機能の向上や、ウェアラブル等のデバイスを活用して働き方の進化を実現する、いわゆる「HRテクノロジー」が新たなサービスとして急速に拡大しています。IoT推進ラボでは、HRテクノロジーコンソーシアム(LeBAC)と連携し、IoT等の最新テクノロジーによる「働き方改革」を推進するため、「HR-Solution Contest」を開催。「HR-SolutionContest」では、企業が抱える多くの人事・労務上の『課題』を解決するための優れたアイデア・ソリューションを募集します。ファイナリストには、多くの企業経営者、人事担当者、ベンチャーキャピタル等が集まる7月25日(火曜日)のイベントにおいて、最終プレゼンテーションを行っていただきます。

開催概要

日時:平成29年7月25日(火曜日)10時00分~18時00分(予定)

場所:ベルサール東京日本橋(中央区日本橋2-7-1東京日本橋タワー4F)

主催:経済産業省、IoT推進ラボ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 共催:HRテクノロジーコンソーシアム(LeBAC)、シェアリングエコノミー協会 協力:ProFuture株式会社 イベント:

(1)第5回「IoT Lab Connection」(テーマ:働き方改革、シェアリングエコノミー) (2)「HR-Solution Contest―働き方改革×テクノロジー―」参加費:無料

応募資格:(1)IoT推進ラボ会員企業であること(2)各要領の記載事項を遵守いただけること。

※IoT推進ラボ会員登録方法 下記URLからIoT推進コンソーシアムへ入会申込を行い、「先進的モデル事業推進ワーキンググループ(IoT推進ラボ)」にチェックをしてください(ご登録は無料です)。

入会はこちらから

応募方法: (1)第5回「IoTLab Connection」 「Solution Matching」ホームページより、募集要領を確認の上、応募シート(Webフォーム)よりご応募ください。(平成29年6月7日(水曜日)正午提出期限)

IoTLab Connection Solution Matching

(2)「HR-Solution Contest―働き方改革×テクノロジー―」 「HR-Solution Contest」ホームページより、公募要領を確認の上、応募シート(Webフォーム)よりご応募ください。(平成29年6月9日(金曜日)正午提出期限)

IoTLab HR-Solution Contest

応募方法や今後のスケジュールの詳細につきましては、上記ホームページからご確認ください。

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