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連載:第4回 ニュースが(ゼロから)わかる法律知識

もし日本で、社長がイーロン・マスクの「40時間出社or退社メール」を送ったら?弁護士が解説

BizHint 編集部 2022年6月10日(金)掲載
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米・テスラの最高経営責任者イーロン・マスク氏が、自社の幹部あてに「リモート勤務に関する自分の意見を記載したメールを送付した」という報道がなされました(2022年6月4日)。その内容は「リモート勤務は今後容認しない。リモート勤務を希望する人は週に最低40時間オフィスで勤務しなければならない。さもなくばテスラを退社してもらう」というもののようです。このメールについてはアメリカでも賛否両論あるようですが、「もし日本で」社長が同様のメールを社員に送った場合にどんな問題や捉え方があるのか?弁護士・中小企業診断士の武田宗久さんに伺いました。

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法律上の観点と、組織づくりの観点

上記のイーロン・マスク氏のメールを「日本で送ったら」を考えるにあたって、今回は以下の観点で解説していきます。

【法律上の観点】

  • 社長がリモート勤務からオフィスでの勤務を求めることは法的に可能か。
  • オフィスでの勤務を拒む従業員を退職させることは法的に可能か。
  • イーロン・マスク氏のメールのような言い方で従業員に伝えることは、パワハラになるか。

【組織づくりの観点】

  • イーロン・マスク氏のメールは、従業員に対しどのようなメッセージを発したものか。

リモート勤務からオフィス勤務に戻ることを求めることについて

「リモート勤務を希望する人は週に最低40時間オフィスで勤務しなければならない」とのイーロン・マスク氏のメールは、従業員に対し、リモート勤務からオフィスでの勤務に戻ることを求めるものです。

そもそも、リモート勤務かオフィス勤務にするかは従業員の就業場所をどこにするかの問題であるといえます。

日本では、主な労働条件については、企業が定める就業規則で規定することになります。自宅で勤務するか、会社のオフィスで勤務するのかといった就業場所は、就業規則に規定することが必ずしも必要な事項ではありませんが、リモート勤務を恒常的な制度としている企業では就業規則に規定している例もあります。

そして、仮に就業規則においてリモート勤務制度を規定している場合に、これを廃止することは、従業員にとって場所的・時間的な負担が生じるため、就業規則の不利益変更(労働契約法第10条)にあたります。

したがって、リモート勤務の廃止によって従業員が受ける不利益の程度、リモート勤務を廃止する必要性、リモート勤務廃止後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の事情に照らし、リモート勤務の廃止が合理的であるといえなければ、基本的にはリモート勤務の制度自体の廃止ができないことになります。

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