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CRMとSFAの違いとは?機能の違いから営業活動での利用場面まで解説

BizHint 編集部 2019年12月16日(月)掲載
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CRM(顧客情報管理システム)とSFA(営業支援システム)は、それぞれ「顧客情報の見える化」「営業活動の見える化」と言われます。どちらも営業活動に欠かせないITツールですが、それぞれの機能や役割、カバーできる領域には違いがあります。本稿ではCRMとSFAの営業プロセスにおける得意領域や、機能の違い、導入する際に準備すべき点などをまとめました。

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CRMとSFA、それぞれの概要を解説

この章ではCRMとSFAそれぞれの概要を、具体例を交えて説明します。

CRMとは「顧客情報の見える化」

CRMとはCustomer Relationship Managementの略語であり、日本語では多くの場合「顧客情報管理システム」と訳されます。顧客情報をデータ化して蓄積、一元管理して分析することで、顧客の行動や購買意欲等を見える化し、顧客との継続的かつ良好な関係構築を図ります。

例えば、

  • MAツールが集めてきた情報
  • セミナー参加者の名簿
  • 古くからの顧客のデータを入力したExcel

など、これまでばらばらだった情報をCRMで一元管理することで、社内のどの部署からでもアクセスでき、更新された情報もすぐに反映されるようになります。

特に営業活動においては、見込み客のニーズを分析し適切な情報提供を行ったり、購入後の顧客からのクレームや意見、質問などに答えたりと、さまざまなシーンで活用されています。これらの一連のプロセスで顧客満足度の向上、リピーターへの育成に繋げ、優良な顧客へと育成することが目的です。

また、顧客一人一人の属性を「潜在顧客」「見込顧客」「既存顧客」と振り分けることで、これまではどの顧客に対しても同じように行っていたアプローチを選別できます。これにより営業活動の効率化が可能になり、営業パーソンはより成約に近い顧客へ注力することができます。

CRMはMA(マーケティングオートメーション)ツールやSFAと営業活動の段階ごとに区切って利用するものではなく、顧客情報の集約と提供を行う基幹となる場所(データベース)です。営業パーソンがフィールドセールスによって得た新たな顧客情報もCRMに反映することで、それを元にさらに顧客への新しい対応を試み、進化させていきます。

【関連】CRMとは?機能や活用事例まで基本を徹底解説!おすすめシステム5選も/BizHint

SFAとは「営業活動の見える化」

SFAとは、Sales Force Automationの略語であり、日本では多くの場合「営業支援システム」と訳されます。企業内における営業活動に関わる情報をデータ化、蓄積、分析することで営業活動の効率化を図り、生産性や売上の向上を目指します。CRMに対してSFAは、営業パーソンによる活動を見える化するツールと言えます。

SFAの特徴は、CRMの収集した顧客情報に、営業がどのようなアプローチをしたのかを紐づけられることです。

CRMにある顧客情報は顧客に関するものがメインとなりますが、SFAは顧客に対して、

  • どの営業が対応したのか
  • どの程度対面し、1回あたり何分程度商談を行ったのか
  • 会話の糸口となる顧客の好みそうな話題は何か
  • 営業パーソンの声のトーンや会話の間の取り方、話の進め方は具体的にどうだったか

などを紐づけ管理します。

それにより、ある特定の担当者でなくても、その顧客が現在商談のどの段階にいるのか、顧客に対してどういう対応をすればよいかなどを、部門・企業全体で共有できます。

これは従来の営業活動で問題となっていた属人化を可能な限り抑えられ、企業全体の業績アップにつながります。

SFAはCRMと対になるツールではなく、特定の機能、すなわち「営業活動の効率化・最適化」に特化されたツールです。そのため、CRMから顧客情報の提供を受け、SFAにしかない機能を使うことで成約までの道筋を明らかにすることができます。

なお、近年ではCRMとSFA、それぞれがお互いの機能も一部備えているツールもあり、境界はあいまいになりつつあります。

【関連】SFAとは?CRMとの違いや導入メリット、お勧めツールもご紹介/BizHint

CRMとSFA、3つの視点から見た違いを解説

この章ではCRMとSFAの違いについて、さらに具体的に、3つの視点から見ていきます。

導入段階の違い

はじめに、営業活動の主な役割は以下のようになっています。

  1. マーケティング:
    商品やサービスの認知獲得、集客を行います。各種媒体への広告、セミナー開催、電話、ポスティング、SNSの利用、SEOによるサイトへの検索流入など様々な経路があります。
  2. インサイドセールス(内勤営業):
    マーケティングで得た顧客情報を使って顧客へ商品情報を与え、興味を喚起させて顧客を育成。また見込顧客とそうでない顧客の選別や、メルマガ配信やダイレクトメール送付などを行います。
  3. フィールドセールス(外勤営業):
    インサイドセールスによって蓄積された顧客情報、また見込顧客の選別の結果をもとに営業訪問や商品の提案など、成約に向けた具体的な活動を行います。
  4. カスタマーサポート・カスタマーサクセス:
    既存顧客(優良顧客)となった対象へ受動的・能動的にサービスを提供します。カスタマーサポートは顧客からの苦情や意見、質問などの対応を、カスタマーサクセスは企業側から商品を通じてさらなるアプローチをしかけ顧客満足度を上げる活動を行います。

先述の通り、SFAとCRMの違いのひとつは、顧客に対しての導入段階が異なることです。

CRMはMAツールなどが集めた顧客情報を蓄積し、既存顧客となった後もクレーム対応や新規商品提案などに活用します。また、それらの活動で得た情報も新たに取り込んで顧客情報をアップデートしていくため、営業フェーズのほぼ最初から最後まで一貫して(大なり小なり)利用することになります。さらに、CRMは顧客情報を管理するデータベースのため、営業部門だけではなく企業のあらゆる部門で情報を共有、活用されます。

これに対してSFAは、インサイドセールスによって把握できた顧客の課題点と、それに対する解決策を提案して成約につなげる「フィールドセールス」でこそ効力を発揮します。SFAは営業パーソン、営業部門の活動そのものをバックアップすることに特化されたシステムといえます。

機能面の違い

上記のとおり、営業活動における利用時期や内容が異なるため、CRMとSFAには機能面にも共通している部分と異なる部分があります。

このうち顧客情報管理は、紐づける内容が異なります。CRMは、例えばBtoBの場合、相手企業の担当者とこちらからの対応状況のみの2層管理が主ですが、SFAは相手企業担当者に対してさらに詳細に、これまでかかわった案件や商談履歴も紐づけて記録します。これにより、ひとつの案件だけではなく複数の案件での対応が明確になります。

スケジュール管理も共通の機能ですが、営業活動の方は対面営業が多いため、SFAにより充実した機能が盛り込まれていることが多いといえます。

おもに利用する部署・役割の違い

すでに述べたとおり、CRMは基本的には様々な部署、企業全体で共有されるデータベースです。

その中でも営業においてはインサイドセールスで使われることが一般的です。潜在顧客を見込み顧客に育てることが得意分野といえます。例えばマーケティング部門から得た顧客情報をもとに顧客を属性ごとに振り分け、それぞれに合った情報提供(メールマガジン配信、ダイレクトメールの送付等)を行います。

ただし最近のCRMは、見込み客獲得のためのマーケティングの機能から既存顧客へのカスタマーサポート機能までと、営業部門のほとんどをカバーする機能をもっているものが増えています。データベースとしてだけではなく、カスタマイズなどによって付加的な役割を持たせられるのがCRMの特徴であり、SFAとの違いといえるでしょう。

一方SFAは「営業支援システム」という名前のとおり、営業活動、その中でもおもにフィールドセールスを円滑に進めることに特化したツールです。

例えば、顧客訪問などの直接のやりとりの記録、営業活動のための移動方法や移動にかかった時間の洗い出し、現時点でどの段階までその案件が進んでいるのかチーム内で情報共有するなど、「現場」に視点が近い機能が中心です。

SFAはその他に、会話のテンポや声のトーンなど営業トークについてのノウハウや、営業プロセスそのもののノウハウの蓄積と共有、それらを利用した後進の教育などにも使われます。

以上のような機能を活用することで営業活動のサイクルを効率化していくことがおもな役割です。

CRMとSFA、どちらを導入するべき?得意領域から判断

前章までで、CRMとSFAは似ている部分もありつつも、それぞれ異なる役割や得意な領域・営業プロセスがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

どちらのツールをまず導入すべきかは、企業が抱える営業活動での課題により異なりますが、簡単に判断の見極めをお伝えします。

CRMの優先順位が高いパターン

  • 顧客情報を管理するツールが部門、部署ごとに異なっている
  • 同じ情報を何度も別のツールに入力しなければならない
  • 重複して顧客情報をもっているため、どれが最新のデータなのかわからなくなっている

このような場合は、まずはCRMを導入することをおすすめします。

全部署で同じCRMを利用することで、更新された情報を他の部署にもすぐ共有できるようになるため、同じ情報を何度も入力する手間や時間が不要になります。また、人の手で複数入力されることで起きる情報の食い違いなども防げます。

SFAの優先順位が高いパターン

  • 新規立ち上げ企業のため既存顧客がいない(MAツールを使い、顧客情報が集まった段階でCRM導入)
  • 営業パーソンによって営業のプロセス、顧客へのアプローチなどが異なる(属人化が著しい)
  • 商談情報が複数の営業担当者の間で共有できていない
  • 後進の育成方法が担当となった営業パーソンにより異なるため、一貫した質の高い教育が難しい

見込み客の獲得はできているのに成約に結びつかない場合、営業プロセスが個々の営業の力量頼みになっている可能性があります。また営業活動と顧客情報をうまく紐づけられておらず、「なぜ成約できたのか」「なぜ成約につながらなかったのか」といった分析が論理的にできていない場合は、SFAの導入で改善が見込める場合があります。

その他、営業活動の効率化のために、1日あたりの訪問数やかかった時間、移動ルートの可視化などを行うことで、不要な休憩や無駄なルート選択などを防ぎ、フィールドセールスの効率化を図ることも可能です。

CRMとSFA、導入の前にしておくべき4項目

CRMとSFA、ともに営業活動には欠かせない支援ツールであり、非常に便利な機能が搭載されていることは間違いありません。

しかし、それぞれを「導入」すれば終わりではなく、「定着させ、使いこなし、業務を効率化する」ことがゴールです。

「たくさんの企業が使っているから」などの安易な理由で導入しても、使いこなすのはあくまでも「人」であるからには、せっかくの投資が無駄になる可能性もあります。実際に企業の営業部門へのアンケートでは、2割程度の企業がSFA・CRMの導入や活用がうまくいっていないとの回答結果もあります。

これを防ぐためには、まず自社の問題、なぜCRMやSFAを導入したいと考えたのかを明確にする必要があります。

現状を把握する

まずは業務実態の把握が最も重要です。企業内、または部門内で問題となっていること、改善したいことを書き出します。CRMとSFA、どちらの得意領域と自社の弱点が重なっているかも確認しておきましょう。

導入前に業務の見直しをしてみる

例えば、営業活動の日報について、以下のような検討をしてみましょう。

  • Excel入力と紙への記載、両方行っているようなことはないか
  • 入力項目は適切か
  • 書式は本当にその全てが必要か
  • 簡略化できるものはないか

このように、無駄な業務、重複している作業などを洗い出すことが重要です。ツールの導入前に、書式や手順など改善できるものはしておくことが賢明といえるでしょう。

「個人の成績を上げる」のではなく「企業全体の業績を上げる」意識改革をする

特にSFAを導入する場合、自分だけの営業成績がよければいいのではなく、企業全体の業績をアップさせるために導入が必要だと意識づけることが必要です。

また、「面倒な作業が増えるだけ」「営業部門が管理されて自由な発想でできなくなる」と導入に消極的になるのではなく、「チーム全体で負担を分かち合う」「個人の能力に頼らない」「誰かができないときは別の者がフォローに入る」ためにツールの導入をするのだという意識を浸透させましょう。

そのためにも、営業活動を個人単位ではなく、チーム単位で行っていくよう誘導していくことも重要です。

情報入力の重要性を徹底的に説く

CRMもSFAも「情報の入力(更新)」があって初めてその力を発揮します。どんなに優秀なツールであっても、適切な情報入力がされていなければまったく役に立ちません。

CRMはデータを蓄積し分析することで顧客に対してどのようなアプローチをし、どのようなプロセスを踏むか導き出します。SFAはその顧客情報を受け取り、成約につなげるために営業活動を可視化・情報共有を行います。

どちらも「正確で」「適切な」情報が入力されないと、導入した意義はないと言えます。そのため、導入前に情報入力の重要性を徹底的に周知することが必要です。

なお、「入力の手間の軽減」については、近年のCRM・SFAはマルチデバイス化されているものも多く、出先でも簡単にスマートフォンを利用して入力できるなど、各ツールとも工夫や改善がされています。

SFA・CRMを定着させるための選び方

実際に使いこなすことができるSFAやCRMを選ぶにはどのようなポイントをおさえればよいのでしょうか。この章ではCRMやSFAを「定着させる」ためにはどういうものを選ぶべきか、4つのポイントをお伝えします。

「使いやすさ」にこだわる

これまでにも述べたとおり、使いこなせなければどんな優秀なツールも宝の持ち腐れです。企業内にはITに慣れた者もいれば、パソコンに触れるのも一苦労という者もいるでしょう。

「効率化」を目指して導入するツールのため、どんな人にも使いやすい、覚えやすい、わかりやすいユーザーインターフェースで、操作はできるだけ簡単なものを選びましょう。

クラウド型で小さくスタートする

業態によっては、自社のシステム部門で開発したCRMやSFAを利用する企業もあるでしょう。しかし大半の企業では導入がうまくいくかどうかも分からない時点で自社開発はおすすめできません。実際に使い始めてみたら使いづらく定着しなかった、となれば先行投資も無駄になります。

近年のCRMやSFAサービスはクラウドアプリケーションとして提供されているものがほとんどです(オンプレミス型と併用できるものもあります)。まずは無料の試用期間などを利用し、定着するか、使いやすいかなどを実際に社員に使ってもらって確認することをおすすめします。

サポート体制があるものを選ぶ

CRMやSFAによっては、導入から定着までをサポートしてくれるサービスもあります。

  • 具体的な使い方の質問対応
  • CRM/SFAの使い方がわからない場合のサポート対応
  • 営業効率の上がる使い方、効果が出ない場合のコンサルティング対応 など

導入に対して不安がある場合は、このようなサポートを利用することも有効です(サービスにより有料のものと無料のものがあります)。

カスタマイズが可能なものを選ぶ

CRM/SFAは、どの企業・業態にも使いやすいよう開発されているものがほとんどです。しかし、特定の業種などでは汎用型では使いづらい場合もあるようです。そのため、プログラミングの知識がなくても比較的簡単にカスタマイズできるものを選ぶとよいでしょう。

また、サービスによっては有料で固有カスタマイズに対応しているものや、プログラム内容がオープンソースで提供されており、企業ごとに自由にカスタマイズできるものもあります。

まとめ

  • CRMとSFAはどちらも顧客管理を主軸に営業活動を行うITツールだが、それぞれの得意領域には違いがあります。
  • CRMは顧客情報の一元管理を行うもので、主にインサイドセールスや成約後のカスタマーサポートなどが得意領域です。ただしCRMは総合的にすべての部門へ顧客情報を提供するデータベースとしての役割があり、営業部門に特化したものではありません。
  • SFAは顧客に対して営業パーソンによるフィールドセールスの内容やプロセス、担当者情報を紐づけしたものです。主にフィールドセールスから成約までの支援を得意領域とします。
  • CRM、SFA共に、導入して使いこなせなければ意味がないため、導入にあたっては「使いやすさ」を第一に選ぶとよいでしょう。使いこなすことができれば、営業活動の効率化が見込めるます。

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