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戦略・経営

2019年6月10日(月)更新

組織は石垣である、自分と周りの形を理解して組めると強い【サイボウズ・青野慶久社長】

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鹿内学さんと人事データ/ピープルアナリティクスの最前線を追う連載。今回から「経営者がどのように組織を作っているのか」や「その際に重要と考えていること」を伺っていきます。鹿内さんがサイボウズの青野慶久社長に話を聞きました。働き方改革で注目を集めているサイボウズ。青野さんは「組織は石垣である」と語ります。その言葉に込められた真意とは?

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組織とは大きな石垣である

鹿内学さん(以下鹿内): 青野さんと対談することが決まって、ぜひうかがってみたいと考えていたことがあるんです。それは「企業のように組織化することには、どのような意味があるのか」という点。加えて、テクノロジー──たとえば、御社が手がけるグループウェアなどを活用することで、従来の組織化とこれからの組織化はどのように変わっていくのか、といったあたりもぜひお聞きしたいと思っていました。

青野慶久さん(以下、青野): まず、前提としてお話ししておきたいことなのですが、 僕は会社を集団として見ていないところがある んです。「会社組織なんてものは存在しない」とすら考えているところがある。何となく“組織”とか“会社”なんて言葉で人間の集団を一括りにしてしまいがちですが、「よく見てください」と思います。ひと言で“会社”といっても、その実態は個性も得意分野もスキルも経験もバラバラな「個人」がいっぱいいるだけ。そうした視点から考えれば、そもそも会社なんてものは存在しておらず、僕たちが勝手につくりだした偶像であるともいえる。

鹿内: なるほど。

青野: 昨年刊行された『ホモ・デウス』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)でも、同じような指摘がありましたよね。国、宗教、会社などはすべて虚構である、と。この考え方は大賛成です。結局、「いま生きている人」が「そこ」にいるだけなので、その人たちに注目していきたいというのが僕のスタンスです。

僕のやりたいことって、シンプルにいうと「すごいグループウェアをつくって、世界がワーッと変わっていくところが見たい」だけ なんですね。それを実現したいという強い欲求であるので「みんなで助けてくれませんか」「力を貸していただけませんか」と。そのために、会社法という法律に則り、会社という枠組みを使わせてもらっている。とはいえ、手伝ってもらうのは別に社員だけでなくてもいい。お客さま、パートナーといった社外の方にも力を貸していただいているわけですからね。そこにボーダーはない。

鹿内: 人間どうしの繋がりの延長で“会社”という仕組みを使っているが、本質的なところでは会社なんて幻想である、と。

青野: 世の中の人は会社について定義をしたり、ひとつの人格を持っているかのような幻想を抱いているけど、個人的にはそういったことにこだわりはありません。単に自分の欲求を満たせればいい、というだけで。

鹿内: なるほど。僕も、その考えを理解できます。以前、研究者として国家プロジェクトに参画したことがあります。「国のための研究」であることは理解しつつも、「“国”と言われても、何だか遠くてイメージできないな」という感情がありました。それよりも、身近にいる人たちのためだったり、自分のための研究だったりしました。企業や国が幻想的だという言い方は、怒る人もいるかもしれませんね(苦笑)。

青野: いや、よくわかります。 「『国のため』とか言われてもピンとこない」みたいなことって、とても純粋な疑問 だと思うんです。ある意味、僕らは思い込まされているんですよね。「これは会社のため」「これは日本のため」とか言われて、ダマされている。「いやいや違うでしょ。これは『会社のため』『お国のため』とか言ってるアナタのためでしょ」と、疑う気持ちを持ってもいいくらい。

鹿内: 確かに、そうですね。ここで、視点をもう少し手元に寄せてみたいのですが、人事データの分析、ピープルアナリティクスは、組織が成長して経営者が社員をつぶさに把握できなくなるなか、平均的に人材を評価して組織の実態を把握する意味でも、社員個々人にカスタマイズして人事施策を打つ意味でも有効であろう、と捉えられています。いま、御社には連結で660人ほどの社員が働いているわけですが、青野さんにはどう見えているのでしょうか? 全体が見えているのか、個々人が見えているのか、どうなのでしょう。

青野: 社員全員をつぶさに見ることなんてできないです。そもそも、個々人について理解なんてできるのでしょうか。いちばん身近な家族である自分の妻ですら、僕はよくわからない(笑)。

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