連載:第2回 経営・SaaSイベントレポート2021
VUCA時代に重要度を増す「エンゲージメント経営」。経営者はどう在るべきか?
現代のカオス化した経済環境を指す「VUCA(ブーカ)」。新型コロナウイルスの影響により、このVUCAはさらに加速すると言われています。そんな中、企業が生き残る術として注目されているのが、 “従業員エンゲージメント”に着目した「エンゲージメント経営」。書籍『VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件』『エンゲージメント経営』の著者であるコーン・フェリー・ジャパン株式会社の柴田彰さんに、コロナ禍でも高い従業員エンゲージメントを維持し続けている企業の特徴や、VUCA時代に必要な経営者の在り方についてお話いただきました。モデレーターは、500社以上の従業員エンゲージメントを高めるための組織風土づくりを支援してきたwebサービス「Unipos(ユニポス)」代表、斉藤知明さんです。
慶應義塾大学文学部卒。PwCコンサルティング(現IBM)、フライシュマンヒラードを経て現職。コーン・フェリー・ジャパンで、組織・人事の幅広いテーマを取り扱うコンサルティング部門の責任者。著書に『エンゲージメント経営』『人材トランスフォーメーション』、共著に『職務基準の人事制度』『ジョブ型人事制度の教科書』、寄稿に『企業会計』『労働新聞』ほか。
本記事の参考書籍『VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件』
東京大学機械情報工学専攻。学業の傍ら株式会社mikan にて、CTO としてアプリ開発・組織運営に従事。Fringe81株式会社に入社、 Unipos 事業責任者を務める。2019年4月には、 Fringe81 株式会社の執行役員に就任。過去起業時のチームづくりの経験と、上場企業経営者の視点を合わせながら、多様な個性を持つ総勢80名以上のメンバーを率いる。
VUCA時代、会社の業績を向上させる3つの要素
斉藤知明さん(以下、斉藤): 昨年から続く新型コロナウイルスの影響により、不確実性・不透明性の高いVUCA時代が加速していくと言われています。こんな不安定なときにこそ「エンゲージメント経営」が欠かせないとのことですが、まずは根幹にある「従業員エンゲージメント」の意味についてお聞かせいただけますか?
柴田彰さん(以下、柴田): 従業員エンゲージメントとは 「自分が所属する組織と自分の仕事に熱意を持って、自発的に貢献しようとする従業員の意欲」 のことです。
よく対比されがちな言葉に「従業員満足度」や「従業員ロイヤリティ」がありますが、全く異なる概念です。従業員エンゲージメントは組織と個人と双方向の関係を、従業員満足度や従業員ロイヤリティは一方向の関係を表しています。従業員満足度や従業員ロイヤリティはいかにネガティブなものを排除するかといった衛生面に留まる話で、マイナスをゼロにできてもプラスにはならないんです。プラスにするには、従業員エンゲージメントを高める必要があります。
従業員エンゲージメントが高い状態とは、“従業員が活き活きと働けている状態”のため、 会社の業績との相関が高い と言われています。これは、世界規模で何十年と行われてきた調査結果でも証明されているんです。
従業員エンゲージメント水準の上位25%の企業と下位25%の企業を比較すると、直近1年間の売上上昇率には約2%の差が、直近5年間のEPS (一株あたり当期純利益)平均成長率では6%もの差があります。直近5年間の売上平均成長率に至っては約2倍の差が開いていますね。
そのため、近年は従業員エンゲージメントを高めていくための取り組み「エンゲージメント経営」が注目されているのです。
とはいえ、 従業員エンゲージメントだけで必ずしも会社の業績が良くなるわけではありません。
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