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連載:第3回 小田急電鉄の組織風土改革

「石橋を叩いて叩いて渡らない」企業体質を変えたワクワクから小田急電鉄が描く“未来”の形

BizHint 編集部 2018年9月3日(月)掲載
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バスの自動運転技術から沿線駅でのエリアマネジメントの実施など、「鉄道会社」の枠を超えて、新たな挑戦を試みる小田急電鉄株式会社。それらの取り組みは、2018年4月に発表した「未来フィールド」の検討をきっかけに生まれてきました。そのなかでは、複々線完成後に目指す未来の在り方を模索し、モビリティや観光、まちづくり、くらしなど様々なジャンルで、小田急電鉄の新たな「挑戦」を目標に掲げています。 かつては「石橋を叩いても叩いても渡らない」企業風土があったなか、「挑戦」を目指した理由。また、「未来フィールド」設定後、小田急電鉄の企業風土にどんな変化が起きたのかについて、外部から「未来フィールド」の策定を支援したヒューマンバリュー川口大輔さんを聞き手にお迎えしてお話を伺いました。

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(写真左から経営戦略部 西村潤也さん、経営戦略部長 久富雅史さん、経営戦略部 政光賢士さん)

不確実性がより一層高まるこの時代、20年後も大切にしたいものは何か

川口大輔さん(以下、川口): そもそも「未来フィールド」とはどんなものなのでしょうか?

経営戦略部長 久富雅史さん(以下、久富):「未来フィールド」とは、小田急電鉄の社員一人ひとりが主体性や創造性とアイデアをもって、社会やお客さまに新しい価値をお届けするための指針です。

川口: 未来フィールドには「わくわく×イノベーション」という言葉を軸に、「モビリティ×安心・快適」や「観光×経験」、「まちづくり×愛着」「くらし×楽しさ」などの指針が掲げられていますね。

久富: それぞれのフィールドを「〇〇×〇〇」という掛け算で表現していますが、 前者がやるべき事業で、後者はお客さまにとっての価値 を示しています。掛け算で、より一層発想や価値が広がっていくようにとイメージしました。

これらのキーワードに付随して、エンターテインメント、スポーツ、観光、インバウンドから、デジタルトランスフォメーションのようなICTの分野でプラットフォーム作成まで、非常にバラエティに富んだ取り組みを行っています。

川口: 具体的にはどんな取り組みになるのでしょうか。特に力を入れているものがあれば、教えてください。

西村潤也さん(以下、西村): 私はモビリティのフィールドで自動運転を担当しています。学校法人慶應義塾と連携協力協定を締結し、今年6月には湘南藤沢キャンパスで神奈川中央交通とで自動運転バスの実証実験を行いました。モビリティの分野は小田急電鉄が培ってきた開業90年以上の経験や、今年3月に完成した複々線には構想から50年、着工から30年の積年の想いがあり、将来にむけた一丁目一番地のプロジェクトだと思っています。

政光賢士さん(以下、政光): 「まちづくり×愛着」でいくと、鉄道会社は従来沿線に商業施設を作って魅力あるテナントを誘致し、ハードの最適化を図るという視点で施設運営を行ってきましたが、現在ではソフトにも関わっていこうとしています。新百合ヶ丘では、毎月、マルシェのイベントをやったり、その他の駅でもイルミネーションやハロウィンイベントなどを行い地元の方や行政、ディベロッパーなどと連携して、地域を活性化させる取り組みを行っています。

西村: それぞれの取り組みは、 1つのフィールドに特化するつもりはないです。モビリティを通じて、まちづくりの愛着やくらしの楽しさ、観光や経験など、様々な分野へ価値を提供するのが理想ですね。それぞれのフィールドは単体ではなく、すべて連鎖して、より次の広がりを見せていくような形が理想 だと思います。

ダイヤ通りの安全運行を求める「失敗しても許されない風土」

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