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ストレスチェック後に提出が必要な「報告書」の書き方・提出期限など、まとめて解説

BizHint 編集部 2017年11月29日(水)掲載
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ストレスチェックの実施後には、その実施状況に関する報告書を作成し、所轄労働基準監督署へ提出する義務が事業者に課せられています。ここでは、ストレスチェック結果報告書(心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書)について、用紙の入手方法、記入の仕方、提出の頻度、提出しなかった場合の罰則などを解説します。

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ストレスチェック制度とは

平成27年12月から、労働者に対する定期的なストレスチェックの実施が、一定以上規模の事業者に義務付けられました。

ストレスチェックは、選択式の質問票を使用し、労働者に回答させることによって行います。ストレスチェックの結果は本人に直接通知され、労働者は自分が職場で受けているストレスの強度を自覚することができます。また高ストレス者と評価された者は、申し出により医師の面接指導を受けることもできます。

会社は、面接指導医の意見を聴いて就業上必要な措置を講じ、また集団ごとの分析結果を実施者に提供してもらうことにより職場のストレス要素を発見することができます。

このように、ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するとともに、職場環境の改善をも目指すというものです。

ストレスチェックについての詳しい解説は、こちらのサイトをご覧ください。

【関連】ストレスチェック義務化の対象者・スケジュールを徹底解説/BizHint HR
【関連】ストレスチェック制度とは?概要やチェックの流れ、罰則、助成金まで徹底解説/BizHint HR

対象となる事業場

ストレスチェックの実施義務が課せられているのは、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」です。

ここでいう「常時50人以上」とは、正社員、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者など、その事業場で常態として使用されている者(=そこで継続して働いている人)が50人以上という意味です。

そしてこの「常時50人以上」は、会社単位ではなく事業場単位です。ですから本社と工場等が場所的に離れている場合は、それぞれ労働者人数をカウントし、個別に実施義務があるか否かを判断します。

東京本社に30人、大阪工場に60人が働いている会社の場合、ストレスチェック義務があるのは大阪工場だけです。東京本社においては、ストレスチェックの実施は努力義務にとどまります。

実施の頻度

ストレスチェックの実施頻度は、「1年以内ごとに1回」とされています。年1回でもよいですし、複数回でも構いません。

ストレスチェック実施の流れ

ストレスチェックのおおまかな流れをご紹介します。

  1. 事業者が、ストレスチェックの日程や方法、実施者、面接指導医、集団分析実施の有無などについて決定
  2. 実施者(産業医、保健師など)が、ストレスチェックを実施
  3. 実施者が、ストレスチェック結果を、労働者に通知
  4. 労働者の申出により、面接指導医による面接指導を行う
  5. 事業者が面接指導医から意見を聴取し、就業上必要な措置を講じる
  6. 実施者が集団ごとの分析を行う(努力義務)
  7. 事業者が、ストレスチェックの実施について所定の報告書を作成し、事業場を所轄する労働基準監督署に提出

ストレスチェック報告書とは

ストレスチェック報告書は、正式名称を「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」といいます。ストレスチェックの実施後、事業者は指定用紙に必要事項を記入し、所轄労働基準監督署へ届出をしなければなりません。

報告書の内容

ストレスチェック報告書に記載する内容は、次の通りです。

  • 対象年
  • 検査実施年月
  • 在籍労働者数
  • 検査を実施した者
  • 検査を受けた労働者数
  • 面接指導を実施した医師
  • 面接指導を受けた労働者数
  • 集団ごとの分析の実施の有無
  • 産業医の記名押印
  • 事業者の記名押印

報告書の提出段階

面接指導を受けた労働者人数を記入する欄がありますので、ストレスチェック及び面接指導が終了してから提出することになります。

複数回に分けてストレスチェックを実施する場合は、最後のストレスチェック及び面接指導が終わったときに、1年分をまとめた人数を報告します。

この場合、「検査実施年月」は直近の検査実施月を記入することとされています。

提出が義務付けられた事業者とは

ストレスチェック報告書の提出義務がある事業者は、ストレスチェック実施義務がある事業者と同一です。つまり「常時50人以上の労働者を使用する事業者」です。

正社員、パートタイマーやアルバイト(雇用契約期間や労働時間を問いません)、派遣されて当該事業場で働いている労働者など、常態としてその事業所で働いている者全員の人数が50人以上かどうかにより、提出義務を判断します。

「年末年始だけのアルバイト」等は臨時の労働者であり、常態として働いているわけではないため、上記の人数にはカウントされません。

尚、報告書提出義務の判断材料となる“常時使用する50人以上の”労働者が、そのままストレスチェック義務のある労働者とは限りません。このことについては、後ほど詳しく説明します。

報告書の提出先

ストレスチェック報告書は、その事業場を所轄する労働基準監督署に提出します。

常時50人以上を使用する事業場は、定期健康診断結果についても報告書の提出義務がありますから、いつも定期健康診断結果報告書を出している労働基準監督署に、ストレスチェック報告書も提出すればよいのです。

尚、事業場が複数ある場合、本社が全事業場分をとりまとめて報告することはできません。ストレスチェックは事業場単位で行うものですので、各事業場がそれぞれ報告書を所轄労働基準監督署へ提出することになります。

報告書の提出期限

報告書の提出期限は、具体的に定められてはいません。各事業場の事業年度の終了後に行う等、事業場ごとに設定してよいこととされています。

ただし「1年以内ごとに1回」の頻度で提出する必要があります。

報告書提出における罰則

法令どおりにストレスチェックを実施しても、報告書の提出義務を怠った場合は、労働安全衛生法100条違反として、「50万円以下の罰金」という罰則の対象となります。

また、ストレスチェックを全く行わなかった場合でも、報告書の提出義務がなくなるわけではありません。ストレスチェックをしなかったからといって報告書を出さずにいると、同じように安全衛生法100条違反の罰則対象となります。

ストレスチェック報告書の書き方

次に、ストレスチェック報告書の記入方法について、具体的にみていきましょう。

ストレスチェック報告書の準備

まず、ストレスチェック報告書の用紙を準備します。

厚生労働省による指定様式

ストレスチェック報告書は、OCR用紙のものが指定様式となっています。この様式は、厚生労働省のサイトからダウンロードすることができます。

【参考】様式第6号の2(第52条の21関係)心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書

用紙の指定

次に、ダウンロードした様式を印刷します。印刷時の注意事項として、厚生労働省は次の事項を挙げています。

  • 印刷する用紙は、白色度80%以上のものであること
  • Adobe Readerでpdf化したものを印刷すること
  • 拡大や縮小をして印刷しないこと
  • 印刷した用紙を、更にコピーして使用しないこと

具体的な記入項目

次に、記入する項目について、ひとつひとつみてきましょう。

【参考】様式第6号の2(第52条の21関係)心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書

労働保険番号

用紙の右上に、労働保険番号を記入する18桁の枠があります。

左から数えて11桁の枠には、労働保険番号を書きます。この11桁は、どのような事業場でも記入する部分です。

その右にある3桁は、「枝番号」を書く枠です。この枠には、労働保険事務組合に事務委託をしている事業場のみが記入します。労働保険事務組合に事務委託をしていない事業場には「枝番号」がありませんので、空欄にしておいてください。

更に枝番号の右には、4桁の「被一括事業場番号」を記入する枠がありますので、継続事業の一括(※)の認可を受けている事業場は、4桁の番号を記入します。こちらも、該当していない場合は空欄とします。

※「継続事業の一括」とは、事業場が複数ある会社が、労働保険料について、まとめて(一括して)申告納付することができる制度のことです。

尚、労働保険番号がわからないというときは、雇用保険適用事業所台帳(適用事業所設置届事業主控)を見れば左下の方に労働保険番号が書かれています。また毎年提出している労働保険料申告書の控でも番号の確認が可能です。

対象年・実施年月

「対象年」と「検査実施年月」を記入します。

  • 対象年
    「平成」は「7」という数字が割り当てられていますので、「平成29年」にストレスチェックを実施した場合は「729」と書いてください。
    尚、この欄は「年度」ではなく暦年です。4月~3月を一年度としている会社の場合でも、実施日が平成30年1月15日だったとしたら、対象年は「平成30年」となります。
  • 検査実施年月
    対象年と同様、平成は「7」ですから、平成29年12月にストレスチェックを実施した場合は、72912と記入します。
    尚、平成29年の4月、8月、11月といったように、複数回に分けてストレスチェックを実施した場合は、最終月を記載します。この場合は「72911」と書きます。

事業所データ

「事業の種類」「事業場の名称」「事業場の所在地」を記入します。

  • 事業の種類
    日本標準産業分類(中分類)の中の、該当する事業を記入することとされています。
    【参考】日本標準産業分類(総務省)
  • 事業場の名称
    事業場の名称を記入します。営業所や工場などの場合は、「株式会社〇〇 ▲▲工場」のように、事業場の名称も書きます。
  • 事業場の所在地
    事業場の所在地と電話番号を記入します。

在籍労働者数

検査実施年月(複数回行っているときは最終月)の末日現在における労働者数を記入します。

この「在籍労働者数」は、ストレスチェック義務のある労働者の人数です。ストレスチェック報告書は、法定事項の履行状況を届け出るものですから、法定の実施対象労働者の人数を記入するのです。

ここで、ストレスチェックの対象労働者について、今一度、整理してみましょう。

ストレスチェック実施義務の対象となる労働者は、次の1と2の両方を満たす者です。

  1. 雇用契約期間の定めがない労働者、または雇用契約期間が1年以上の労働者(契約更新により1年以上雇用されている者を含む)
  2. 週の労働時間が、その事業所で同種の業務に従事する通常の労働者(=同業務のフルタイム労働者)の3/4以上である者

わかりやすく言いかえると、ストレスチェック義務のある労働者は、「正社員(1年以上契約の契約社員を含む)」と「1年以上(または無期)の雇用契約で、かつ正社員の3/4以上の時間働いているパートタイマー」ということになります。

このストレスチェックの対象労働者の範囲は、一般健康診断義務のある労働者と同一範囲(社会保険加入義務のある労働者とも同一)です。

尚、派遣社員については、派遣元事業者の労働者としてカウントされます。派遣労働者を受け入れている事業場においては、ストレスチェックの実施義務はありません。

また出向労働者のストレスチェックは、「労働契約関係のある事業者において行う」とされています。移籍出向者は既に出向先と労働契約を締結していますから、出向先でストレスチェックを行うことになります。在籍出向者については「指揮命令関係や賃金支払関係など労働関係の実態を総合的に勘案して」、出向先・出向元のどちらでストレスチェックを行うかを判断します。

ただし集団ごとの集計・分析は職場単位で実施することが重要であるため、その事業場で働く派遣労働者や出向労働者を含めて集計・分析を行い、その結果に基づく措置を実施することが望ましいとされています。

検査の実施者

「1:事業場選任の産業医」「2:事業場所属の医師(1の産業医以外)、保健師、看護師又は精神保健福祉士」「3:外部委託先の医師、保健師、看護師又は先進保険福祉士」のうち、該当する番号を選んで記入します。

事業場が複数ある会社の場合で、本社の産業医に別事業場のストレスチェックを実施させた場合、別事業所においては「事業場所属の医師」として扱います。このときは、同一人の産業医であっても、本社では「1」、別事業所では「2」と記入することになります。

検査を受けた労働者数

ストレスチェック実施義務のある労働者のうち、実際にストレスチェックを受けた人数を記入します。1年に2回以上ストレスチェックを受けた労働者がいても、1人とカウントします。

ストレスチェック実施義務のない労働者にストレスチェックを受けさせた場合は、その労働者はカウントしません。例えば、1週間の労働時間が10時間であるパートタイマーにストレスチェックをさせても、そのパートタイマーは検査を受けた労働者の人数から除外します。

面接指導実施者

ストレスチェック後の面接指導を実施した医師について、「1: 事業場選任の産業医」「2:事業場所属の医師」「3:外部委託先の医師」のうち該当する番号を書きます。

面接指導を実施した労働者がいなかった場合は、空欄とします。

面接指導を受けた労働者数

ストレスチェック後の面接指導を受けた労働者の実人数を記入します。

集団ごとの分析実施

集団ごとの分析を実施したか否か、該当する番号を記入します。

記入にまつわる注意点

  • 人数を記入する欄は、右詰めで書きます。
  • OCR機で読取りを行うため、四角の枠からはみださないように書きます。
  • 枠の中は、黒のボールペンで記入します。
  • 郵送する場合など折り曲げる必要があるときは、用紙に指定のある個所で折り曲げ、文字の読取りに支障のないようにします。

産業医の記名・押印

その事業場の産業医が記名押印します。ストレスチェックを外部事業者に委託し、産業医がストレスチェックに全く関与していない場合でも、産業医の記名押印は必要です。

尚、記名押印に代え、署名でも有効とされています。

事業者の記名・押印

事業者の捺印欄は、会社名、職名及び氏名を記入し、代表者印を押印します。

職名は、「代表取締役」の他、事業場の代表者に権限がある場合は「工場長」等とされることもあります。こちらも、記名押印に代え、署名でもよいとされています。

まとめ

  • ストレスチェック実施義務のある事業者は、ストレスチェック実施後に、所定様式による報告書を、所轄労働基準監督署に提出する義務があります。
  • 提出義務違反の罰則は、「50万円以下の罰金」です。
  • ストレスチェック報告書の提出頻度は、1年以内に1回です。
  • ストレスチェック報告書の提出時期は、事業場ごとに設定してよいとされています。

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