連載:第51回 リーダーが紡ぐ組織力
『この会社は変わらない』と諦めていた組織を変えたリーダーの信念。地方中小、100億企業に至る18年史
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「18年前は、社員の3割が『機会があれば退職したい』と考え、品質管理も業者任せ。目の前の仕事をこなすだけの組織でした」株式会社トーケン 代表取締役会長 根上健正さんは、社長就任当時を振り返ります。しかし現在、社員たちは会社の課題を自分ごととして捉え、主体的に考え行動する組織へと変貌。売上高は37億円からグループ135億円へと飛躍的に成長し、この3年間の離職率はゼロ、地元を代表する企業へと生まれ変わりました。同社がまるで“別の会社”のように変貌を遂げた要因は、根上会長が貫いた「たった一つの指針」でした。詳しく伺います。
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株式会社トーケン
代表取締役会長 根上 健正(ねがみ けんせい)さん
1946年富山県生まれ。1965年清水建設株式会社に入社。北陸支店営業部長、同開発営業部長などを歴任。2006年4月、副社長として株式会社トーケンに入社。同年11月、代表取締役社長に就任。2020年7月より現職。株式会社トーケンは1970年創業で、建設総合サービス業を展開。2024年、日本でいちばん大切にしたい会社大賞受賞。グループ売上高135億円(2024年度)、グループ従業員数94名(2024年度末)。
「この会社は変わらない」諦めムードの組織を変えた『たった一つの指針』
――貴社は創業54年の建設総合サービス企業ですが、特にこの18年で大きな変化を遂げています。
根上健正さん(以下、根上): はい。2006年、私が社長に就任する前の売上高は37億円。社員の3割が「機会があれば退職したい」と考え、現場は協力業者任せ。社員から「この会社は、どれだけ言っても変わりません」と言われるような状況でした。
しかし、2024年度のグループ売上高は135億円と約3.6倍に。55点あれば高いとされる社員幸福度調査で62.2点(2023年実績)、この3年間の離職率はゼロです。 社員一人ひとりが、会社の課題を「自分ごと」として捉え、自ら考えて行動する組織 に変わっています。
――当時の様子を具体的に教えていただけますか。
根上: 2006年4月、入社当日に驚いたのは、当時の総務部長が妊婦の社員の前でタバコをプカプカと吸っていたこと。当時は、すでに多くの会社で分煙が進められていた時代。目の当たりにした光景が信じられず、社員に「なぜ、こんなことが許されているのですか?」と聞いたら「私たちの会社は、どれだけ言っても変わりませんよ」と言うのです。
建設現場に行ってみると、現場監督を務めている当社の社員が協力業者から「おーい、○○」と呼び捨てにされています。一般的に現場監督といえば、関係する多くの業者を適切に指導し、指示する仕事。たとえ一年目であっても「監督さん」と呼ばれる立場です。ただ当社の現場監督は、「うまいことやっといてくれ」と業者に任せっぱなし。品質管理や安全面の確保についても、意識が低い。協力業者との関係は、「なぁなぁ」のなれ合いがあたりまえの仕事ぶりです。監督としてのプライドを欠き、役割・責任を取り違えるような企業文化となっていました。
改革を進めるために社員の本音を知ろうと、意識調査も実施しました。すると、なんと3割の社員が「機会があれば、いつでも退職したい」と考えていることが分かったのです。中には「トーケンでは、将来活躍の場はない」と憂う声も……。
こういった当社の企業文化や風土に大きな危機感を覚えました。社員たちは、今のやり方があたりまえ、現状を変えることに抵抗すら覚えるという様子で、「どうせ変わらない」と諦めムードが支配していました。この状態を打破するためには、どうすれば良いのか考え抜きました。
そして、そこから18年間の改革を進めるにあたり、 徹底してきた一つの“指針” があります。それによって会社は成長し、現在のような社員たちの主体性が育つ組織に生まれ変わったのだと思います。
――徹底されてきた指針。それは、何なのでしょうか?
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リーダーが紡ぐ組織力
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