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連載:第31回 リーダーが紡ぐ組織力

あなたの部下は、出社を楽しみにしていますか?社員の主体性あふれる組織づくりの極意

BizHint 編集部 2024年8月26日(月)掲載
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「社員に主体性が無い」「指示しないと動かない」と悩む経営者の方は多いのではないでしょうか。有限会社ラポールの代表取締役 橘憲一郎さんも、かつてはトップダウン型のマネジメントで、何に対しても社長に許可を取らないと動けない組織だったそうです。しかし現在は、「誰も僕のところに来なくなった」と語るほど、従業員が自ら考え主体的に動く“自律型組織”に変化しています。その変革の原点には、尊敬する経営者に教えられた「組織の生産性を高めるリーダーの特徴」がありました。詳しく伺います。

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有限会社ラポール
代表取締役 橘 憲一郎 さん

1976年愛媛県松山市生まれ。大学卒業後、スターバックスコーヒージャパンに入社し、6年間勤務。2003年には、長野駅前店にて店長としてオープン日の売上「世界一」を記録。2005年、有限会社ラポールを創業。現在は、愛媛県内にてケーキ店やカフェなど9店舗を展開。社長業の傍ら、「チーム創り」「組織力強化」などをテーマに全国各地で講演。2016年ホワイト企業大賞、2024年日本でいちばん大切にしたい会社大賞を受賞。従業員数63名(2024年8月現在)。


尊敬する経営者に教えられた「生産性を高めるリーダーの特徴」

――橘さんは「チーム創り」「組織力強化」などの文脈で、各地で講演されていらっしゃいます。従業員同士の結束力が強く、一人ひとりが主体的に動く組織として知られていますね。

橘 憲一郎さん(以下、橘): ありがとうございます。ただ、そのような組織になるまでには、長い道のりがありました。大きな失敗を何度も経験し、そこから気づきや学びを得て、今があります。

以前の当社は、完全にトップダウン型のマネジメントでした。僕は大学卒業後、スターバックスで6年間働いていて、最終的には店長を任され「オープン時の売上世界一」という実績を残すことができました。しかし、退職後にラポールを創業して以降は、従業員との関係性をうまく築くことができず、自分が決めた目標に力ずくでも近づけようとしていました。

創業から5年ほど経った頃には3店舗に拡大し、従業員数も20名ほどの規模になっていました。しかし、この頃は、人がどんどん辞めていましたね。離職率で言うと、40%を超えていたと思います……。

「このままじゃいけない」と強く思いました。僕はスターバックスで、人を中心としたピープルビジネスを学んできたはずなのに、人がどんどん辞めていく。つまり従業員が幸せではないのだと痛感しました。その頃から、本格的に経営や組織づくりについての勉強をスタートしました。

そこで、大きな出会いがありました。幸福経営学の第一人者であり、慶應義塾大学教授 前野隆司氏が提唱する、人が幸せになるための「4つの因子」です。

  1. 「やってみよう」因子 …自己実現と成長
  2. 「ありがとう」因子 …つながりと感謝
  3. 「なんとかなる」因子 …前向きと楽観
  4. 「ありのままに」因子 …独立とマイペース

この中で、最も注目したのは「ありのままに」です。つまり、 人が幸せになるためには、ありのまま、自分らしくいられることが大事であると。 ただ、どうすればそういった環境を作ることができるのか分かりませんでした。

そんなとき、尊敬する経営者であるネッツトヨタ南国・横田相談役のお話を聞く機会が巡ってきました。横田さんは、「全社員が人生の勝利者になる」という経営理念をもとに社員が幸せになる組織づくりを進め、かつオールトヨタの顧客満足度調査で長年トップの座に輝き続けてきました。

そこで教えていただいた 「組織の生産性を高めるリーダーの特徴」 に衝撃を受けます。それこそが、従業員が自分らしく働ける環境をつくる、シンプルな施策だったのです。これをベースとして、現在の「社員の主体性があふれる組織」に成長したと言っても過言ではありません。

――その特徴とは、何だったのでしょうか?

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