連載:第29回 リーダーが紡ぐ組織力
稲盛和夫氏からの“警告”で目が覚めた。経営者が守るべき、たった一つの原則
売上高31倍、経常利益50倍。小さな下請け縫製工場を、介護用ケアシューズのトップメーカーへ発展させたのが、徳武産業株式会社 十河孝男会長です。高い経常利益率を誇り、体力のある会社づくりと、社員への還元を実現させている同社。しかし、ケアシューズを商品化した当時は利益率3%に満たない状態で「高齢者からお金を取れない」と、利益を上げることに罪悪感すら抱いていました。そんなとき、稲盛和夫氏からの警告によって、意識ががらりと変わります。同社の歩んできた道のりとともに、詳しく伺います。
稲盛和夫氏の「警告」で目が覚めた
――十河会長は、京セラの創業者である稲盛和夫氏が主宰していた経営塾「盛和塾」で学び、世界大会で優秀賞を受賞されたこともおありなのだとか。
十河孝男さん(以下、十河): はい、2012年の盛和塾世界大会で経営体験発表という貴重な機会をいただき、かつ優秀賞を受賞することができました。今、介護用ケアシューズ市場でトップシェアを維持し、多くの高齢者のお役に立てているのは、稲盛塾長の「厳しいお言葉」によって私の意識が変わったからです。
私が盛和塾に出会ったのは、2004年のこと。塾長の「人は何のために生きるのか」をテーマにした講演に参加しました。その場でお話しされていた 「人生の中で善きことを思い、善きことを行えば、人生は好転する」 という言葉に、経営者としての器の大きさはもちろん、人間としての素晴らしさや魅力を感じ、大きな衝撃を受けたことを今でも覚えています。
それから、すぐに盛和塾に入塾しました。そして2008年、中四国地区の塾長例会で発表する機会が巡ってきました。当社は「高齢者に歩ける喜びを届けたい」と、介護用ケアシューズを日本で初めて製作し販売。売上も順調に伸びていました。経常利益率は2~3%と少なかったものの「人に役立つことをしているのだから…」と考えていたんです。むしろ、年金暮らしの高齢者からお金をいただくことに、罪悪感すら抱いていました。
発表を聞いていた塾長は、まず「徳武産業は、世のため人のためとなる仕事をしていて素晴らしい」と、褒めていただきました。しかし、そのあとに非常に厳しい言葉が待っていたのです。それは 未来を見据えた“警告”のようなお言葉でもありました。
――それは、何だったのでしょうか?
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