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2018年11月17日(土)更新

採用辞退

採用辞退(選考辞退)とは、採用選考や内定を求職者の都合で辞退する事を言います。人材の売り手市場を背景に、この採用辞退が増加しています。今回は、この採用辞退についてご紹介します。

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1.人材獲得競争の激化

まず、採用辞退増加の背景にある人材獲得競争の激化についてご紹介します。

新卒採用

まずは新卒採用の市場から見てみましょう。リクルートワークス研究所の調査によると、2017年3月卒業予定の大学生・大学院生(集計サンプル数:大学生4,428名・大学院生952名)の大卒求人倍率は、1.74倍となりました。「新就職氷河期」真っ只中にあり、近年で一番低い数値にあった2012年と比較すると、0.51ポイント上昇している事が分かります。

【出典】リクルートワークス研究所「第33回ワークス大卒求人倍率調査」

また、文部科学省と厚生労働省の調査によると2016年卒の大学生(学部)の4月1日時点の就職率は、97.3%という結果となりました。これは1996年の調査開始以降の最高値となっており、新卒採用市場は空前の「売り手市場」とされています。そのため、企業間での優秀な学生の獲得競争の激化や、採用辞退の増加などの課題が発生しています。

【出典】東洋経済ONLINE「過去最高の就活”売り手市場”は来年も続く?」

中途採用

次に中途採用の市場です。株式会社リクルートキャリアの発表によると、転職サービス「リクルートエージェント」における2016年12月時点の転職求人倍率は1.87倍となりました。2016年は一度も1倍を下回ることなく、平均も1.77倍と高水準な数値となっています。 ちなみに、厚生労働省発表の2016年の平均有効求人倍率は1.36倍であり、1991年以来約25年ぶりの高水準となりました。

【出典】株式会社リクルートキャリア「12月の転職求人倍率」

【出典】厚生労働省「一般職業紹介状況(平成28年12月分及び平成28年分)について」

2.一人当たりの獲得内定数と採用辞退の増加

この売り手市場を受け、一人当たりの内定獲得数と、それに伴った内定辞退が増加しています。

内定獲得数の増加

まずは、内定獲得数の増加から見てみましょう。

︎新卒採用

まず、新卒採用の内定獲得数について、株式会社リクルートキャリアが運営する「就職みらい研究所」の調査(対象1,850名)を見てみましょう。これによると、2017年卒の大学生の内定取得者における平均内定取得社数は、3月卒業時点で2.44社となっています。2013年卒の同調査(対象1,486名)では平均1.84社であり、この4年間で0.6ポイント上昇している事が分かります。 ちなみに、大学生・大学院生が平均で何社にエントリーしているのかを知る調査(株式会社マイナビ・有効回答数1,467名)では、2017年卒の場合、採用情報の解禁月である3月時点で30.6社である事がわかりました。

【出典】就職みらい研究所「2017年3月度(卒業時点) 就職内定状況(2017年卒)」

【出典】就職みらい研究所「大学生の就職内定状況調査( 2013年卒)」

【出典】株式会社マイナビ「2017年卒マイナビ学生就職モニター調査 3月の活動状況」

中途採用

次に、中途採用です。株式会社リクルートキャリアの2014年の調査(回答者527名)によると、「今回の転職活動で何社から内定が出たか」という問いに対し、1社と回答したのが53.5%、2社は27.3%、3社以上は19.7%となりました。また、この調査において、転職の際の平均応募社数は18.27社である事も分かっています。

【出典】リクルートキャリア「第27回転職世論調査」

2016年の同調査(回答者593名)では、全体の平均応募社数は21.97社となっています。この調査で内定社数の質問項目はありませんが、応募社数の引き上げと有効求人倍率の高騰で、複数の内定を獲得している転職希望者はさらに増加している可能性が高いと予測できます。

【出典】リクルートキャリア「第30回転職世論調査」

採用辞退の増加

それでは、実際に採用辞退の増加についてのデータを見てみましょう。

新卒採用

まずは企業側の実感について、2016年卒の新卒採用に関する株式会社ディスコの調査(回答社数1,355社)を見てみましょう。選考開始(8月1日)から1ヶ月以上が経過した2015年9月下旬時点の調査では、選考中の辞退者の増減について、前年よりも「増えた」という企業が全体の46.1%となりました。また、内定辞退については「増えた」と回答した企業が50.6%に上りました。

【出典】株式会社ディスコ「2016 年度・新卒採用に関する企業調査-内定動向調査」

次に、学生側の調査です。就職みらい研究所の調査によると、2017年卒の大学生(対象1,850名)の内定辞退率(内定取得経験者のうち内定辞退した人の割合)は、3月卒業時点で64.1%となりました。同調査の2013年卒(対象1,486名)の内定辞退率を見てみると、3月卒業時点で45.6%となっており、内定辞退を経験した学生の割合がこの4年で大幅に増加している事が分かります。

【出典】就職みらい研究所「2017年3月度(卒業時点) 就職内定状況(2017年卒)」

【出典】就職みらい研究所「2013年3月度(卒業時点) 就職内定状況(2013年卒)」

中途採用

次に、中途採用についての調査を見てみましょう。エン人事のミカタの調査(有効回答数1,655名)によると、選考辞退の経験がある求職者は67%にのぼりました。そのうち、辞退した企業数を問う質問に対しては「1社」と回答した人が最も多く39%となり、2社以上の複数企業を辞退した人は全体の6割近くを占める結果となりました。5年前の2012年の同調査と比較してみると、1社のみ辞退の割合が10%減少。その分、複数社辞退する人の割合が増加しています。

【出典】エン人事のミカタ「辞退の心理2017」

3.採用辞退が生じるタイミングについて

それでは、採用辞退はどのタイミングで起きるのでしょうか。

採用辞退が生じるタイミング

採用辞退が生じるタイミングには、大きく分けると「面接前」「面接後」「内定後」の三つがあります。

エン人事のミカタが、2017年に実施した、転職活動において採用辞退の経験がある人を対象(有効回答数1,655名)とした調査を見てみましょう。「どのタイミングで辞退したのか」との質問に対して、最も多かったのは、「面接前の辞退」で63%。次に「面接後の辞退」で34%。僅差ですが「内定後の辞退」が32%と、最も少ない数値となりました。  

それでは、各タイミングの辞退理由を見てみましょう。なお、辞退理由の詳細は次章で詳しくご紹介します。

①面接前

まず、応募後から面接(選考)前までの辞退です。主に以下のような理由で辞退されています。応募してみたものの、実際に選考が進んだり自身で詳しく調べているうちに、違いを感じたり、ネガティブな情報を目にするなどして辞退している人が多い事が分かります。

  • 1位…応募後に再考し、希望と異なると判断した 38%
  • 1位…希望に反するスカウトメールだった 38%
  • 3位…ネット上でよくない評判や噂を見た 29%
  • 4位…他社での選考が通過した・内定が決まった 21%
  • 5位…面接日程の都合がつかなかった 13%

また、新卒採用の場合は「会社説明会に参加したが、思っていた仕事内容と違った」「会社説明会の雰囲気・社員の対応が悪かった」など、会社説明会に参加して得た情報や体感を元にした理由も多いようです。

②︎面接後

次に、面接後から内定を出すまでの間の辞退です。主に、面接時に詳しく知った仕事内容・条件面などについて、自身の認識や希望と相違があったという理由が多いようです。また、面接では実際に企業に出向き雰囲気を知る事ができる反面、その社風が合わないと感じたり、面接官の態度が悪いなどで辞退に繋がるケースもあります。

  • 1位…面接で詳しく知った仕事内容が希望と合わなかった 43%
  • 1位…面接で詳しく知った勤務地・給与などの条件が希望と合わなかった 43%
  • 3位…面接で説明内容と求人情報に齟齬があった 29%
  • 4位…他社での選考が通過した・内定が決まった 28%
  • 5位…社内の雰囲気がよくないと感じた 26%

③内定後

最後に、内定後から入社までの間の辞退です。最終的に条件面が折り合わなかったという理由が多いものの、やはり社風も重視されている事が分かります。また、「面接後」と同様に情報の齟齬や面接官の態度も採用辞退に繋がっている事が分かります。

  • 1位…勤務地・給与など条件の折り合いがつかなかった 40%
  • 2位…社風が自分に合わないと判断した 32%
  • 3位…他社での選考が通過した・内定が決まった 30%
  • 4位…求人情報や面接時の条件と齟齬があった 25%
  • 5位…最終面接の面接官の行動や態度が悪かった 10%

【出典】エン人事のミカタ「辞退の心理2017」

4.採用辞退が生じる理由

それでは、採用辞退の具体的な理由について詳しく見てみましょう。

他社で選考を通過した・内定を取得した

先ほどご紹介したように、新卒は一人当たり平均で30.6社・中途採用は平均で21.97社へ応募を行っているという調査データがあります。同時に応募している他社の選考に先に通過してしまったり内定を獲得したりすると、その時点で就職・転職活動を終えてしまう求職者も多いようです。

労働条件が合わなかった

給与や勤務時間・休暇・福利厚生・勤務地などの労働条件について詳しく知ると、自身の希望と合わない事が分かった、という場合に採用辞退が起こります。

希望の仕事内容ではなかった

業務内容や職種など仕事内容について詳しく知るうちに、自身の得意分野とのギャップが発覚したり、希望していたものではないと分かった、などの場合に採用辞退が起こります。

社風が合わなかった

これは、会社説明会や面接後の辞退の際に多い理由の一つです。面接で訪れた際の社内の雰囲気や社員の働く様子、また面接官の対応などを見て、「ここで働きたいか」「この人たちと一緒に働きたいか」などの視点から判断されているようです。

求人情報と面接時の情報の齟齬

こちらも、会社説明会や面接後に多い辞退理由の一つです。就職サイト等に掲載している情報と、実際に聞いた内容に齟齬があり、労働条件や仕事内容が合わなかったり、不信感を抱かせてしまったりする場合、採用辞退に繋がります。

企業とのコミュニケーションに違和感

電話連絡やメールの応対が悪かった、また、中途採用の場合はスカウトメールの頻度や内容なども判断基準になっているようです。

十分な企業研究ができていなかった

近年新卒採用において、経団連発表の採用スケジュールの変更が相次いでいます。2017年卒の採用スケジュールは、3月採用情報公開・6月選考開始と、前年から採用公開時期はそのままに選考開始が2ヶ月前倒しとなりました。
このように、採用情報公開から選考開始までの期間が短い事で、企業選び・企業研究に割ける時間が少なくなり、学生が十分に企業について理解しない状態でのエントリーに繋がっています。これも、採用辞退が増加する一つの要因になっていると言えるでしょう。

その他

応募後に企業について調べる上で、ネット上に掲載されている情報や転職クチコミサイト等を見て、良くない印象を受けたなどが理由の採用辞退もあります。また、転職の場合には、在職中の企業から引き止められた・面接日程の都合が合わなかったなどの理由も挙げられています。

5.採用辞退を防ぐためには

それでは、採用辞退を防ぐためにはどのような方法があるのでしょうか。

情報開示をわかりやすく

面接後に「労働条件が合わない」「仕事内容が合わない」と辞退する場合には、事前に就職サイトなどに掲載している情報と面接時に伝えられた情報にギャップがあるケースが多いと言われています。まず開示している情報をより具体的で正確なものにする事と、面接官がその情報を正しく理解しておく事が必要です。情報の一貫性を保つようにしましょう。

会社説明会や面接の際の態度に注意

会社説明会や面接は、応募者と応募先の会社側が初めて顔を合わせる場所。そして、そこで出会う社員や面接官は、応募者にとっては「企業の顔」であると言えます。社員の態度・言動などには注意し、相手に「ここで働いてみたい」「この人と一緒に働きたい」と思わせる雰囲気づくりを心がけましょう。また、対面だけではなく、メールや電話のコミュニケーションにも同様の注意が必要です。

内定者フォロー

今、新卒採用を中心に、内定者に対して入社まで定期的にフォローする「内定者フォロー」に力を入れる企業が増えています。具体的には、内定者懇親会・先輩社員との交流会・勉強会や研修・職場見学・社内報などの情報発信など、様々な方法があります。企業は学生から選ばれる時代だという事を認識し、内定した学生についても放置せず定期的にコミュンケーションを取りましょう。 また内定連絡後に、「内定書」「内定承諾書」のやり取りをスムーズに行う事も、内定者フォローの一環であるという事を忘れないようにしましょう。

【参考】BizHint「内定者フォロー、正しくできていますか?内定辞退を減らす方法とは」

選考をスピーディーに

先ほどもご紹介したように、採用辞退の理由には「他社での選考が通過した・内定が決まった」が多くを占めている事から、採用活動においてそのスピードが重要となっている事が分かります。例えば、応募受付の連絡・面接日程の調整などは連絡を受け次第スピーディーに。また、上長の確認などで連絡に時間がかかりそうな場合には、その旨と「◯日までにご連絡します」などの具体的なタイミングを伝えると良いでしょう。

しかし、もともと煩雑で時間のかかる採用業務において、どのようにスピードアップしていけば良いのでしょうか。具体的な方法については、次章で詳しくご紹介します。

6.採用活動を改善していく際のポイント

採用活動のスピードアップを含め、その改善方法を具体的にご紹介します。

コア業務に集中する

そもそも、採用業務は母集団形成・応募者の管理、コミュニケーション、説明会開催、選考状況確認、選考、データ管理、内定通知など多岐にわたり、その業務は非常に煩雑になっています。作業ばかりに手を取られ、本来注力すべきコア業務(採用戦略の立案や、選考など)に時間を割けないという声も多く聞かれます。先ほど挙げたような課題も、多くは担当者のコア業務に割ける時間不足や、担当者間のコミュニケーション不足が大きな原因となっています。 まずは採用担当者がコア業務に集中する事が、採用活動のスピードアップを含め、採用辞退を招く課題の解決に繋がります。

採用管理システムの導入

近年、採用業務を一元管理できる「採用管理システム」を導入する企業が増えています。このシステムを活用する事で、採用活動の進捗の可視化や、応募者一人ひとりの状況に応じたコミュニケーションの実現、オペレーション漏れの回避、採用後の人事評価までを踏まえた採用手法の最適化が可能となります。
採用管理システムでできる事を具体的にご紹介すると、以下の三点が挙げられます。

採用進捗の見える化

多くの採用管理システムは、母集団形成から入社までの選考フローの構築や採用スケジュールを一括管理する事ができます。そのため、システム上で「今何をすべきか」が一目瞭然となり、組織内で採用活動の進捗を見える化する事ができます。

採用コストの削減

様々な応募者データを一元管理できるシステムも多く、今まで紙やExcelなど手作業で管理していた人事データの処理がスムーズに行えます。その応募者の中から、自社の求める人材を自動で抽出する機能を有するシステムもあります。

また、応募者とのコミュニケーションを自動で行ったり、タスク管理などで煩雑だった採用業務も大幅に効率化できます。これにより、まずは人件費の削減が可能となります。また、担当者がコア業務に集中し、戦略的な採用活動が行える事でムダな求人広告費などの削減にも繋がります。

採用スピードのアップ

データの管理や採用工程の見える化などにより、人材の評価や判断、社内調整などもスムーズに行う事ができます。また人事担当者は採用活動に注力でき、採用スピードのアップにも繋がります。メッセージの配信タイマー機能などもあり、応募者とのコミュニケーションも迅速で正確なものになります。

7.まとめ

  • 新卒・中途採用ともに人材の売り手市場となっており、採用競争が激化。これを受けて、採用辞退も増加している。
  • 採用辞退の理由として「先に他社での選考に通過した」というものも多く、採用スピードのアップが急務となっている。
  • 採用辞退を防ぐには「採用管理システム」の導入など、採用担当者がコア業務に集中するための施策が必要。

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