はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年10月31日(水)更新

雇用のミスマッチ

雇用のミスマッチとは、求人側と求職者側のニーズが一致しないことを意味します。労働市場におけるミスマッチの現状はどのようになっているのでしょうか。人材不足が深刻になっている近年、重要な問題である雇用のミスマッチについての現状を知り、それを踏まえた原因と対策・解消法について解説します。

雇用のミスマッチ に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

目次[表示]

雇用のミスマッチとは?

雇用のミスマッチとは、求職者側と求人側の意向等が一致せず、失業者が発生し、人材不足も解消されない状態のことですが、この問題はふたつの視点から考えていく必要があります。それは、国家政策に関わる労働市場全体の問題となる「マクロ的視点」と個別企業と個別人材の間で生じる「ミクロ的視点」の両面です。

雇用のミスマッチについて、このふたつの視点から現在の問題点を知ることにより、その対策について考えてみましょう。

マクロ視点で生じている「雇用のミスマッチ」の現状

景気の回復や団塊世代の退職、労働市場の変化などに伴い、ここ数年、あらゆる企業が人手不足に陥っています。

現在、日本の労働市場では、需要と供給のバランスがとれているにもかかわらず、求職者側と求人側の意向等が一致しないことから失業者が発生するなどの「雇用のミスマッチ」という状況が拡大してきています。

特に、複数の労働市場間で求人と求職者が適切に分配されていない状態が、マクロ視点での雇用のミスマッチと呼ばれるものです。これには、いくつかの理由が考えられます。

マクロ視点での「雇用のミスマッチ」が生じる理由

マクロ的視点からみた雇用のミスマッチは、どのような理由で生じるのでしょうか。ミスマッチによって生じる労働力の不足は、経済成長の制約要因となります。ミスマッチが生じる理由から、それぞれの問題点について考えてみましょう。

企業と労働者間での能力需給不一致

能力需給の不一致とは、企業が必要とする能力と求職者の持つ能力とが一致していないということです。必要とされる人材が、企業に適切に分配されていないというミスマッチが複数の労働市場間で起こっています。

厚生労働省職業安定局のPDF資料「雇用を取り巻く環境と諸課題について」の中で、ミスマッチ関連データとして「職業間ミスマッチ」という資料があります。この中で目立つのは、職種による有効求人倍率のばらつきです。複数の職種で人手不足問題が深刻化していることがデータから確認できます。

特に有効求人倍率が高いのは、建設・土木、看護、介護、サービス業、水産加工、輸送・機械運転、保安等の分野となっていて、これらの分野において労働者が不足し、労働需要が供給を超過している状況となっています。

【参考資料】PDF資料:厚生労働省職業安定局「雇用を取り巻く環境と諸課題について」P19ミスマッチ関連データ「職業間ミスマッチ①」厚生労働省「職業安定業務統計」

また、求人側からみたミスマッチの理由として、企業が必要とする人材能力と労働者が持つ能力とにギャップがあり、応募者の中に企業が必要とする経験やスキルなどの能力水準を満たす人材がいないということがあります。これは求職者全体の中に資格やスキルを満たす人材が少ないということも考えられ、近年の中小企業におけるミスマッチの最大の理由となっています。

求職者が希望する職種に求人があっても、「応募者が企業に必要とされる人材ではない」ということになります。

【参考資料】PDF資料:厚生労働省職業安定局「雇用を取り巻く環境と諸課題について」P16 ミスマッチ関連データ「求人側からみたミスマッチの理由 中小企業データ」(商工中金資料「雇用のミスマッチ等についての中小企業の認識調査(2012年1月調査)

情報の不透明性

求人側、求職側ともに情報が不完全なために必要とする求人・求職者がどこに存在するか、どのような人材なのかを把握できないことも理由のひとつです。

求職者側の問題としては、大企業など一般的によく知られている企業の情報や特定の業種についての知識はあっても、学生の目が向きにくい業種や、転職者についても、あまり知られていない中小企業についての情報を得ることが難しい状況にあります。

企業側は、自社の情報や特徴を発信するためにどのような求人活動、採用活動を行うべきか、また、どのような資質の学生や転職希望の人材を求めているのか、必要な資格は何なのかなど採用活動を通して知ってもらう必要があります。

労働者・企業双方の選り好み

求職者、企業ともにすべての希望が一致することは極めて難しいものです。求職者が希望する職種であっても地域が限定されていたり、賃金や雇用形態が合わないなどの理由や、企業側としては応募者の年齢が希望と合わなかったり、スキルを持ち合わせていないなど、職業、年齢、賃金、雇用形態、地域などさまざまな問題によるミスマッチが生じてしまいます。

マクロ視点で生じる「雇用のミスマッチ」への対応策

このようなマクロ視点で生じる雇用のミスマッチを解消するにはどのような対策が必要でしょうか。対応策について考えてみましょう。

学校機関とハローワーク間の連携

採用の段階でのミスマッチを防ぐためには、学生が利用できる就職支援や、転職者も利用できるハローワークなどが有効です。厚生労働省では、全国のハローワーク・新卒応援ハローワークに新卒者・既卒者に対する就職支援を行うジョブサポーター(就職活動に関する知識や経験が豊富な専門家)を配置しています。

新卒応援ハローワークでは、一人ひとりに専任のジョブサポーターがついて就職活動についての相談や実際の就職活動のしかたへのアドバイスなどをサポートしています。

このジョブサポーターを全国の高校・大学・専修学校等で導入することにより、学校の就職相談員とジョブサポーターとの相対関係を構築することができます。学校側の要請に応じて学内へジョブサポーターを配置し、相談窓口や支援の強化を図ることができるでしょう。

ジョブサポーターによる支援は、就職活動についてのアドバイスだけでなく、就職支援セミナー等の開催、希望の求人情報の提供や面接の指導、エントリーシートや履歴書の作成相談などもあり、ジョブサポーターの支援により平成24年度には19万人以上の就職が決まったという実績もあります。

【参考】政府広報オンライン「特集・雇用対策」

中小企業へ就職意向のある人材の確保及び定着支援

中小企業へ就職意向のある人材の確保と定着には、地域の中小企業団体等によるアプローチが必要でしょう。大学・専修学校やジョブカフェ(若年者就業支援センター)などと連携し、地域の中小企業経営者が学校機関に出向き、中小企業の魅力を伝える講座を行ったり、合同就職説明会を行うなど積極的に働きかけることが有効です。

中小企業と学生とのマッチング支援

学校機関への働きかけとして卒業年次前、早期の段階から学生に就職への取り組み態勢を意識してもらうための情報提供が必要です。 ハローワークやジョブカフェ、中小企業団体等から説明会の開催や情報提供を行うほか、中小企業への応募を促進するための学生用ジョブ・カードを活用するなどの取組みも有効となります。

新卒者に対し、中小企業の現場で働くために必要な技能やノウハウを習得する機会を提供することで、自己能力の確認や就職したい企業の絞り込みなど、その後の就職につながるマッチング支援となるでしょう。

情報公開による効率化と既卒3年新卒扱いの標準化

効率的かつ納得性の高いマッチングの仕組みを作るために、各機関が就職活動に必要な情報を積極的に公開することに取り組みます。

企業は求める人材やこれまでの採用実績・自社の人事育成の方針等を、就職サイトでは人材像に加えて選考基準・採用実績等を、大学などの学校機関は各学部や分野別での就職実績などを公開し、若者の就職活動に必要な就職関連情報を発信します。

また、青少年雇用機会確保指針が2010年に改正され、学校等を卒業後3年間は新卒として応募できることとされましたが、まだ標準化というまでは至っていません。これについては、支給要件を満たせば厚生労働省から「三年以内既卒者等採用定着奨励金」が対象者の定着期間に応じて事業主に支給されます。

【参考】厚生労働省「政策について」事業主の方のための雇用関係助成金

ミクロ視点で生じている「雇用のミスマッチ」の現状

では、個別企業と個別人材の間で生じるミクロ視点でのミスマッチについては、どのような現状があるのでしょうか。この項では、ミクロ視点でのミスマッチについて詳しく解説します。

具体的なミスマッチの事例

企業にとっても求職者にとっても重要な採用活動ですが、採用が決まって入社後、その人材が成果を上げ、活躍できるようになってはじめて採用活動が成功したということになります。そこに至るまでの間に発生するミスマッチには、どのようなケースがあるのでしょうか。実際の事例を探ってみました。

雇用条件のミスマッチ

  • 「完全週休2日制、残業なし」と応募時の条件に書かれていたのに、入社してみると実際には休日というものがなく、残業代も給料に反映されていない。

  • 仕事に対するやりがいはあっても、給与が低く、評価されていないように感じる。

労働環境のミスマッチ

  • 上司から注意される言葉がきつく、仕事を教えてほしくてもしっかりと教えてもらえない。

  • 配属の職場の人間関係になじめない。

  • 考えていた仕事内容と違っていて、自分がやりたい仕事ではなかった。

【出典】エン人事のミカタ 定着・活躍人材を増やすための「入社後ギャップ撲滅作戦」 資料「退職理由のホンネは?」エン転職ユーザーに対するアンケート結果

曖昧な情報によりミスマッチが起こる

採用活動は、募集から始まり、選抜、決定という段階を踏みます。応募者を増やす戦略での新卒採用は、具体的な採用基準を示すことなく応募者が多くなり、採用の工数を増やすだけでなく、ミスマッチを引き起こすことにもなります。

募集職種、雇用条件、労働環境などエントリーの際に決め手となる情報を曖昧にすることなく、企業から個人、個人から企業への期待やフィーリングではなく、自社がどんな人材を求めているか、実際の仕事環境で応募者がどのように働けるのかを具体的に表現し、情報発信することが募集による第一段階のミスマッチを防ぐことになります。

ミクロ視点での「雇用のミスマッチ」を防ぐ方法

学生をはじめ個人の就職活動とは、就職したいと思う業種および企業の情報を収集することであり、自身がそれに適応しようとするプロセスです。その求める情報とは、企業情報や採用に関することだけでなく、個人の適性や働き方、将来の希望などとすり合わせて予測のつかない未知の情報をも含んでいます。

それに対して企業がどのように情報を提供するか、個人が求める情報に緊密に結びつく要素をいかに抽出できるかがミスマッチを防ぐポイントと言ってもいいでしょう。

自社が求める人物像を定義する

どのような人材を求めているか、その人物像を定義することは最も大切です。企業理念や事業内容などを基本にすることも重要ですが、自社の一般的なアピールではなく、あくまで「この企業で働く」ことを前提に考えましょう。

状況に応じて思考や行動を変化することができる「柔軟性」や、営業職やグローバル展開の企業などに必要な「外向性」など、業務に活かせる個人のヒューマンスキルを具体的にわかりやすく定義することで、自社の方向性や魅力に関心を持つ人材からの応募が期待できます。転職者の募集については、これらを転職サイトに掲載することが有効です。

求める人物像にあった採用手法を検討する

採用手法については、人物像にあったものが有効です。自社で行うセミナーや説明会などのほかに大学等と連携を持つことで実施できる学内企業セミナーの開催、自社に興味を持ち、働きたいと思っている人材に対しては、インターンシップを行うなど、実際に実務を経験してもらうことにより、想像から現実の仕事への関心を引き出す採用手法も検討する必要があるでしょう。

採用過程でフォローアップを適切に行う

近年の採用活動の中で位置づけが大きくなっているのは、内定者に対するフォローです。内定者にとっては入社への意思を固めるための重要な時間ですが、その間のフォローアップにより入社後、内定者の意思と自社側の希望とのマッチングへと活かされることにもなります。

懇親会やグループワークのほかに最近では、SNSを活用した情報発信や実体験に基づくフォローなどを実施する傾向があります。内定者の親を対象にした対策など、多種多様なフォローアップの形態があります。

内定者の集合研修や合宿などでマンツーマン教育等を行い、入社後の即戦力にもなり得るフォローアップにより、内定者が仕事への理解度を深め、実践で認められる喜びを体験し、入社後の期待へとつなげている企業もあります。

自社が求める人材として、内定者個人についてどのようなフォローが必要であるか、一人ひとりの適正に合ったフォローアップについて検討する必要があります。

採用手法の見直しを定期的に行う(PDCA)

実施した採用手法により自社の魅力を伝えられたか、企画・運営がうまくいったか、その成果はすぐに見えるものではありません。どのような成果があったか、内定者と自社とのマッチングや離脱防止につながったか、問題のある手法はなかったかなどPDCA、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)により定期的な見直しをすることでさらに改善され、次の成果につながります。

他社の採用手法を参考にすることは問題ありませんが、応募者の立場に立って独自の採用手法を生み出すこともミスマッチ防止につながり、自社を希望する応募者にとっての魅力にもなるでしょう。

人事データの活用によるミスマッチの防止

採用活動における人事データは、膨大な情報量です。どのような人材をどのような採用手法を用いてフォローアップし、選考中のデータを活用しながらPDCAを回し、採用に至るまでの管理を行っていくには、多くの企業が取り入れている採用管理システムを活用することが望ましいでしょう。採用管理システムの活用により、これまでの採用活動で見逃していたミスマッチ解消につなげることもできます。

採用管理システム導入前に企業が抱えているミスマッチにつながる問題を導入後にどのように解消できるのか、詳しく説明します。

求人票ページの作成による情報発信を人事担当者自身でできる

求人票は、募集に関する情報を漏らすことなく、また自社の魅力を伝えられる内容に充実させたいものです。外部へ依頼して求人票ページを作成した場合、考えていたイメージや少しのニュアンスが違ってしまう場合があります。

一部採用管理システムには求人票ページが存在し、自社で簡単に求人票の作成や改善ができます。応募者はまず、自分の希望と求人票の情報のマッチングから応募する企業を絞っていきますので、求人票ページの充実は自社に興味を持ってもらうための第一ステップとなります。

人事スタッフの負担を減らし、全体把握も容易になる

新卒採用で多くの人材を確保しようとする場合、限られた人事スタッフで短時間かつ同時進行で多くのデータを管理しなくてはなりません。採用管理システムを導入により応募情報を一元管理できるため、管理画面にアクセスすれば必要な情報がすぐに確認できます。応募者がどのような人材で、担当者が誰なのかという情報が一目瞭然。先を見通した採用計画達成が可能になります。

応募者へのメール送信や電話連絡にモレがなくなる

応募者への個別対応は何度も必要ですが、システム導入がなければ人事担当者の業務量が多く、モレが発生することがあります。少しのミスでも候補者の信頼を失ってしまい、途中離脱してしまう可能性がありましたが、採用管理システムでは各段階で必要に応じて発信するメールは自動で送信できるのでモレが発生しません。確実でスピーディな対応により応募者の信頼を得ることができるので、ミスマッチが起こる可能性を減らすことができます。

求める人材をデータで把握することでミスマッチを減らせる

自社の求める人材をモデリングして数値化すれば、性格や資質、動機などを判定する適合検査、基礎能力検査などと照らし合わせ、有望な人材をデータで把握することができるのでミスマッチを減らすことができます。

求職者の求める情報を細かに提供することで不安を減らせる

応募から面接、採用後も就業開始まで求職者は多くの不安を抱えています。そのためには自社について出来るだけ多くの情報を発信する必要があります。経営者や人事担当者が与える情報のほかに現役スタッフの生の声を紹介すれば、求職者が入社してからの働くイメージを具体化することができ、不安の軽減にもなります。効果的な情報発信で自社とマッチした人材からの応募や内定者との意思疎通が期待できます。

そのほかにも、新卒者・キャリア・インターンシップなどのさまざまな採用のスタイルに合わせて管理できるシステムや、人材の定着と活用に対応する多彩なシステムモデルもあり、さまざまな形でミスマッチを解消していくことが可能です。

人事向けニュースサイト「BizHint HR」編集部では、中立的な立場で独自調査を行い、国内で提供されている採用管理システムの比較一覧を作成しましたので、ミスマッチ解消にお役立てください。

まとめ

  • 雇用のミスマッチには、マクロとミクロ両方の視点からの対策が必要である。

  • マクロ視点では、有効求人倍率の高い分野での労働力不足を解消するために政府機関によるマッチング支援が必要である。

  • 新卒採用への対応は、学校機関とジョブサポーターとの相対関係構築が有効である。

  • ミクロ視点でのミスマッチを防ぐためには、求める人物像の定義や自社の細かな情報公開により、求職者が求める情報に結びつけることが重要である。

  • 採用手法の検討や、採用過程でのフォローアップ、さらにPDCAによる見直しも必要である。

  • 人事データを活用でき、効率化を図れる採用管理システムの導入も有効である。

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計60,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 厳選されたビジネス事例が毎日届く
  • BizHint 限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて