2018年11月16日(金)更新
採用ミス
人事部門の主要な役割である、採用。採用審査の段階では優秀だと思えた人材も、いざ入社をさせてみたら期待外れだったなんてことも少なくなく、もちろんその責任は採用された人材自身ではなく、その適性を見抜けなかった人事部にあることは言うまでもありません。こうした採用ミスを最小限に防ぐためのヒントをご紹介します。
目次[表示]
「採用ミス」とは?
採用ミスとは、新卒や中途での採用において、企業が期待していた人物像とは異なる人材を雇用してしまうことを指しますが、組織マネジメントを専門にコンサルティングを行うBrandon Hall Groupの調査によれば、実に企業の95%が、期待外れの人材を採用してしまったと回答しているそうです。
採用ミスの10タイプ
ほぼ全ての企業の悩みの種である採用ミスですが、一言で「採用ミス」といっても、その内容にはいくつかパターンがあるようです。採用した社員に、次のような兆候がみられるときには採用ミスの可能性が高く、注意が必要です。
【出典】“Why Companies Make Bad Hires”, Fast Company
【出典】“Avoiding the Negative Impact of a ‘Bad Hire’”, Brandon Hall Group
【参考】新卒採用とは?メリット・デメリット・最新スケジュールを徹底解説
【参考】中途採用とは?意味や母集団形成、面接のポイント総まとめ
1.カルチャーフィットしていない
企業特有の文化や風土、理念に適さない言動が見られる場合、対内的にはその組織の規律を乱しかねないことはもちろん、対外的にはブランドイメージの低下を招く可能性があります。
【参考】カルチャーフィットの意味とは?注目される背景や見定め方、事例を紹介 / BizHint HR
2.スキル習熟が遅い
採用時に期待していたスキルを持っていなかったということは論外ですが、習熟度が期待以上に遅い場合も、教育担当者やチームメイトの負荷を増大させたり、追加の研修が必要になったりと、想定外のコストを発生させる要因になり得ます。
3.ビジネスパーソンとしての基礎が育っていない
たとえスキルがあったとしても、ビジネスパーソンとして最低限のマナーや基本的な行いができなければ、チーム行動を前提とする組織では足を引っ張る存在になりかねません。
4.何度も同じミスをしている
同じミスを繰り返すということは、採用した人材が怠惰であるか努力をしない気質を持っている可能性があり、企業にとってはさらなるトレーニングや研修が必要であることを意味します。
5.特別な待遇を求めてくる
給与形態や勤務日数などについて、就業規則から外れた例外的な要望を求めてくるような新入社員は、その企業の文化や風習を乱しかねず、企業にとっての危険要因となりかねません。
【関連】就業規則とは?作成~届出までの手順・ポイントをご紹介/ BizHint HR
6. 常に不平不満を漏らしている
採用の段階では両者の合意が得られたにもかかわらず、入社後に多くの不満を発信してしまうような社員は、企業の評判を落とすだけでなく、周囲の社員のモチベーションを下げ、ネガティブな影響を与えかねません。
【関連】モチベーションの意味とは?低下の要因や上げる方法、測定手法や企業施策までご紹介/ BizHint HR
7. 既存の従業員が不平不満を漏らしている
チームプレイを必要とする企業という組織体においては、採用した人材だけが幸せでは機能せず、従来から勤務する社員にとってもプラスの効果をもたらす採用でなければ意味がありません。
8.新しい環境に適合することに前向きでない
「以前の会社ではこういうやり方はしていませんでした」といった言葉に表れるような、入社した企業の業務手順や風習に入り込めない人材は、自身がもつ伝統的なやり方に縛られ、企業の成長を阻害する可能性があります。
9.気分が沈んだ状態が続いている
新たに採用された社員にとって、環境が変わることは多くのストレスがかかることに間違いはありませんが、入社後しばらくたっても気分が沈んだ状態から抜け出せられないと、業務に対する取り組み姿勢に影響し、生産性が大きく低下してしまいます。
10.率先して取り組まない
入社後の数週間、新規で採用された従業員は業務を習得することに集中することが普通ですが、いつまでもたっても「それは私の仕事ではありません」と、仕事のイニシアチブを取ろうとせず、責任を逃れようとする従業員は、その社員自身はもちろん企業の成長に悪影響を及ぼします。
【出典】“7 Signs You Hired the Wrong Employee” from Salary.com
採用ミスに陥る理由
このように採用ミスは、その責任は人事部にあったとしても、想定外のコストや時間、またその他従業員に及ぼすネガティブな影響など、企業全体に与えるダメージは想像以上に大きいものです。なぜ、こうした採用ミスに陥ってしまうのか、人事部が陥りがちな5つのポイントは次の通りです。
書類重視の採用に陥る
特に新卒採用や大手企業の採用活動のように、多人数に対して募集をかけるような採用の場合、全応募者に対して面談による審査を行うことが難しく、履歴書や職務経歴書に並ぶ学歴や職歴に頼りすぎる場合があります。書類にリスト化できる実績のみを重視し、人間性を軽視した偏った採用の原因となります。
面接時の準備が不十分
たとえ面接重視の採用であっても、そこで行われる質問や不適当なものでは意味がありません。限られた時間内で候補者に対して質問する項目や、明らかにしたポイントが、面接担当のチーム内で共有されていなければ、均一化された採用活動は難しいものとなります。
【参考】面接の目的やポイント、種類・手法、質問例などを合わせてご紹介/ BizHint HR
経験が豊富すぎる候補者を不採用にする
特に大企業においては、あまりに高いスキルを持っている候補者は、企業に対する影響が大きすぎる、あるいはポジションを乗っ取られるといった恐怖から、不採用にするケースが珍しくありません。企業がより早く成長し、また研修や教育にかかるコストが削減できることからも、こうした保守的な採用は避けなければなりません。
投票で採用者を決める
複数人による投票で採用者を決定することも、よく行われる採用手法ですが、こうした採用は人事部門の責任を放棄するもので、危険を伴うものです。特にその投票者の中に、リーダークラスの上位者がいる場合は、その上位者個人の意見によって採用が左右されてしまうからです。採用の判断は、採用方針を熟知した人事部門のマネージャーの責任の下で行われなければなりません。
面接を重視しすぎる採用
面接は新入社員を採用するにあたって重要に手法に違いありませんが、それが唯一の方法になることは避けなければなりません。というのも面接は、いわゆる「面接慣れ」と言われる、経験を重ねるたびにうまく応対することができるようになるからです。候補者が持つ経験、スキル、インタビュー・パフォーマンス、成長に対する熱意、これらのバランスが保たれた状態で審査を進める必要があります。
【出典】“Top 5 recruiting and hiring mistakes that HR often makes”, The Predictive Index
採用ミスがもたらす4つのムダ
採用ミスは単なる採用時の失敗と捉えられがちですが、その後の企業に大きなマイナス影響をもたらします。社員自身が企業の評判を投稿するという新たなキャリア情報サービスを展開する「グラスドア」の副社長マリア・デレオン氏は、採用ミスは4つのムダを引き起こすと言います。
生産性のムダ
期待とは異なる人材を採用してしまったとき、マネージャーはその人材を何度も教育をし直す必要がある上、既存の社員の教育もおろそかにできず、業務が立ち行かなくなる可能性上がります。ある調査によれば、約40%の管理職が不出来な人材は組織の生産性に影響を及ぼすと答え、10%の管理職が、その他の社員よりも販売実績が低い傾向にあると感じています。また、マネージャーとしての業務時間の内、約20%をそれらの人材の教育に充てていたこともわかっています。
経済的コストのムダ
採用ミスがもたらすコスト面での打撃は小さくなく、追加での研修や再トレーニング、場合によっては配置換えなど多方面で影響を及ぼします。アメリカ労働局では、採用ミスによって必要になったコストを、そうした人材が初年度に稼ぎ出す額の30%が無駄になっていると試算しています。
従業員モラルのムダ
こうした従業員に対して、時間と経費をかけてしまうと、その他の従業員やチームメイトの不満足が高まることにつながります。同様の調査では、95%の管理職がこうした採用ミスがチーム内のモラルやモチベーションに悪影響を起こしていると回答しています。
評判のムダ
SNSが浸透した現代においては、モラルに欠ける社員による評判が簡単に社会に流出していくことは明らかです。誤った認識が企業の評価を落とす危険性があることはもちろん、その人材が社内にいようと社外にいようと、啓蒙を行い、常に監督をする必要が生じることはムダ以外の何ものでもありません。
【出典】“What Really Happens When You Hire the Wrong Candidate” from Entrepreneur
採用ミスの発生を防ぐポイント
採用ミスは言ってみれば、採用する側と採用される側のミスマッチが原因で起きるものですが、つぎに挙げるような採用方法や採用後のフォローを充実させることによって、こうしたミスマッチを防止することができます。
採用方法の最適化
採用ミスを防ぐためには、採用計画段階で必要な人材の要件を固め、またそうした人材を選定できる基準を明確にしておく必要があります。300人のCEOをはじめ、計1,300時間以上のインタビューに基づいて採用方法をまとめた著書“Who: The A Method for Hiring”によれば、優れた社員(Aプレイヤー)を獲得するためには次の手順を踏むと効果的だと言います。
1.業務に必要な項目を、スコアカードにして作成する
スコアカードは求める人物の青写真となり、採用において重要なツールとなります。このスコアカードに基づいて、職務に求められる人物像を明確にしていきます。スコアカードには次のような項目でスコアを設計します。
業務ミッション
業務に必要な要素を明確にし、その人材に求められる使命を記載します。例えば、「顧客とのダイレクトな関係性を構築し、収益の改善を図る」といったように、短く、わかりやすく作成します。
成果
ミッションは達成されなければ意味がありません。求める成果を「年度末時点で、収益を25億円から100億円に改善する」といったように具体的に記載します。また達成可能ながらも挑戦的な成果とします。新しい人材に過度な期待をし、高すぎる成果を設定すると、採用ミスの要因となります。
能力
その人材に対して、業務遂行上で期待する能力をスコア化します。特に重要な能力と考えられるのは、効率性、公平性、完璧性、知性、持続性、注意力、組織能力、分析力、開放的精神、困難な業務への対応力などが挙げられます。
2.個人のネットワークから候補者の情報を集める
多くの企業では外部の人材紹介会社やリクルーターを使用することが当たり前になっていますが、こうした情報を参照する前に、まずは自身あるいは既存社員のもつネットワークに頼ることを優先します。日本では「リファラル採用」「縁故入社」などと敬遠されることも否めませんが、コスト的にも、また強い責任感が期待できるという点にもプラスの効果があることを忘れてはいけません。
3.4つの審査を活用する
その人材が企業にもたらす価値を把握するためには、特に面接段階において、通常の審査に加えて4つの審査を通すことで、その制度を高めることができます。
電話面談
電話でのインタビューによって、何を、どのような方法で進めるかのフレームワークを話してもらい、次の審査への候補者を選定します。
トップ・グレーディング(Topgrading)
トップ・グレーディングは、心理学をもとに開発された採用面接の手法で、候補者が過去の経験から培ってきた人間性や専門性を明らかにするものです。質問内容としては、例えば、「あなたの価値観やパーソナリティの元になっている、最も重要な出来事を教えてください」「高校時代に経験したもっとも残念だった出来事を教えてください」「あなたの前職での目標は何でしたか。またそれに対してどのように行動しましたか」「あなた自身のどこが好きですか」「もしあなた自身に関する一つのことを変えられるとしたら、何を変えますか」という5つに代表されます。
【出典】“What Is a Topgrading Interview?”
フォーカス・インタビュー
チームでの行動が必要な職種の場合、チームメンバーあるいはその他メンバーによる面接を実施します。この面接では、仕事に対する責任感やチーム行動に対する能力に焦点を内容で実施します。
身元保証人インタビュー
候補者の身元保証人などに対して、勤務態度や職務実績などについて非公式のインタビューを行うことで、候補者の情報が確かなものになります。
4.意思決定
それぞれの候補者に対して平等に、同一の方法で審査が実施されれば、意思決定はシステマチックなものになります。質問項目ごとにA~Cの評点を付けたスコアカードを用い、最も評価の良い候補者を選定します。スコアカードに基づく意味は、個人的な理由によるバイアスを防ぐことにあります。
5.企業を売り込む
人事部門は、候補者に対して企業自身を売り込むことを忘れてはいけません。候補者が企業に好印象を持つことも、結果として別の機会を選択することも考えられますが、お互いのミスマッチを減らすためには不可欠なステップだと言えます。
【出典】“To Recruit ‘A’ Players, Try This 5-Step Method”, Entrepreneur
【出典】“Who: The A Method for Hiring” Geoff Smart and Randy Street著
オンボーディング(入社後定着)の実施
企業にとってミスマッチを感じさせるような人材を採用してしまった場合は、早急に研修やトレーニングによって、人材の再教育を行い、そのアンバランスを修正する必要があります。その際にはもちろん、研修にかかるコスト、時間、チームへの影響といったマイナス要因と、その人材が生み出す収益などのプラス要因とのバランスを見極め、再教育の必要性を判断することが重要です。トレーニングの手法には次のような手段が考えられます。
【関連】『社内研修』のテーマ選定と企画選定の進め方/ BizHint HR
授業式トレーニング
研修手段としては最もオーソドックスな手法で、講師が採用した人材に対して、対面形式で講義を行うトレーニングです。テキスト配布、ホワイトボード、Power Point、DVDなど様々なツールによるトレーニングが可能なうえ、社内の人材が講義を行えば、低コストで実施可能な方法で、また受講者が多数いる場合は、全員に対して同じ情報を伝達できるメリットもあります。
ですが、講師一人のコミュニケーションスキル次第で成果が左右されてしまう、受講者が複数の遠隔地にいると実施が難しいといったデメリットも知っておく必要があります。
双方向トレーニング
一方的な講義が中心となる授業式トレーニングとは違い、双方向でのコミュニケーションを重視した方法です。グループ・ディスカッション、ケーススタディ、Q&Aセッション、ロールプレイング、デモンストレーションなど、討議や実演を交えた手法が中心で、受講者のプログラムに強く関与することから、参加意識が高くなり、飲み込みのスピードが早い手法と言えます。
ただ、実演が必須であることから、一つのプログラムに長い時間をかける必要があり、多くのスキルや情報を伝える手法としては不向きと言えます。また、そうした実演を引率するトレーナーには、特に優れた知識と経験が必要であることは言うまでもありません。
体験型トレーニング
実地研修や、OJTなども含まれる形式のトレーニングで、実際の職務やそれに近い環境を経験させることによりスキルの習得を目指す手法です。通常業務とは異なる業務を体験するクロス・トレーニング、新製品を発売する際にも行われるデモンストレーション、上位者が専属トレーナーとして指導するコーチング、一時的に業務体験を行うインターンなどが、その例として挙げられます。
体験型トレーニングは、新しい作業手順や、新製品に関する知識習得などで多く用いられることからも、具体的なスキルの習得に適した手法です。一方で、大人数に対するトレーニングには向かないこと、トレーナーとして社内の人員を活用することから一時的に企業全体の生産性が落ちることを念頭に置く必要があります。
【関連】OJTの意味とは?計画の立て方、研修の内容・手法をご紹介/ BizHint HR
eラーニング
多くの企業で採用されている研修手法の一つが、PC環境を利用したeラーニングです。オンライン・コンテンツを利用したトレーニング、ウェブ・ミーティングやテレビ会議、オンラインで受講可能な通信制大学、またeメールによるやりとりもこの内に含まれます。地方からの受講も可能で、コスト効率にも優れ、多くの企業が研修コンテンツを配信しているというメリットがあります。
ビジネスマナーや意識面での教育といった、基礎的スキルの習得に最適な手法ですが、対象となる社員には基本的なパソコンスキルと環境が必要であること、トレーニングの実施が受講者の自主性に任されること、その場での質問や対面での会話ができないこと、などがデメリットとして挙げられます。
【関連】eラーニングとは?人材育成・企業研修サービスも一挙ご紹介/ BizHint HR
【出典】“The Most Effective Training Techniques”, Training Today
人事データを活用した採用の最適化
ビッグデータの蓄積と活用が進む現代では、人事情報をデータベース化し、人事戦略に応用しようという動きが活発です。中でも、アメリカで生まれ、昨今、国内での導入も目立つ人事戦略の一つとして「タレントマネジメント」が注目を浴びています。また、こうしたデータベース化の動きを人事部の採用活動に導入し、より効率的な業務推進をはかろうとするものが「採用管理システム」です。
タレントマネジメントとは
タレントマネジメントとは、従来、必要最低限の労務管理に終始していた従業員に関する情報を、各人材に備わるタレント(才能、資質)やスキル、経験といった項目にまで広げ、人事部門で一元管理化することにより、組織横断的な人員配置や人材開発を行う取り組みを言います。
【関連】タレントマネジメントシステムとは何か?/ BizHint HR
タレントマネジメントのメリット
全従業員の特質を細かい範囲に渡って把握することで、役職に見合った人材をスピーディに選定し、配置することができることが何よりのメリットです。空いたポジションに対する人員の補充や、新規プロジェクトチーム立ち上げに際しての人材のアサインに効果を発揮するだけでなく、企業あるいは各職務に必要な要件と照らし合わせ、人材配置のアンバランスを抽出することも可能になります。さらに、こうしたデータがスコア化されていれば、従業員の成長度合いを確認することができ、育成プランの設計にも役立てることができます。
タレントマネジメントの落とし穴
一見万能にも思えるタレントマネジメントではありますが、やはりそこには失敗の要因になるポイントがあり、次の点には特に注意が必要です。
意識決定のシステム化
学生の人間性の全てがテストの得点に表れることがないように、従業員の才能や資質の全てが、スコア化されたデータに完全に表れることはありません。数値化できない定性的な部分の資質も明らかにし、人事戦略の最終的な意思決定をこれらシステムに委ねないよう注意します。
データマネジメント化
多くの情報がデータベース化されているからといって最適な人材配置が可能になるわけではありません。そのポジションに求められる要件と、各候補がもつ資質が整理され、比較できる状態になって初めてタレントマネジメントはシステムとして機能します。データ収集が目的にならないよう、注意が必要です。
スコア評価の属人化
全社員のスキルがスコア化されているとはいえ、そのスコアを判断するのはやはり人であることに違いはありません。正確なデータベースを蓄積するためには、そのためのスコア基準を明確にし、評価者に対して共通認識として徹底する必要があります。
データの絶対化
企業、従業員、市場、こうした全ての環境が日々変化しています。従業員に関するデータベースが従来の環境に合わせたままであると、そのデータはミスマッチを生み出す原因となります。人事部門では、データベースの更新を欠かさず行わなければなりません。
結局のところ、タレントマネジメントを利用してデータを収集できたとしても、それらを人事部門で最適に利用することができなければ、採用ミスの可能性をさらに高めるだけです。増え続ける各種のデータを整理し、分析し、効果的に利用することを支援するのが、次に紹介する「採用管理システム」です。
採用管理システムとは
採用管理システムは、応募者管理システム(ATS: Applicant Tracking System)」やリクルーティング・システムとも呼ばれ、採用の業務プロセスで発生する様々な情報を一元管理するための人事部門向けシステムの総称です。
求人公開から、広告の媒体一括掲載、応募管理、日程調整、面談支援、選考など、ほぼすべての採用ステップに関わるデータを一元化することの価値は、情報が整理されるだけではありません。例えば、候補者の職歴に加えて審査での応対レベルを分析することで、面接官として適した社員をアサインしたり、人事部門から面接官に対して特定の候補者を見極めるための適切な質問を提示したりと、集約したデータをクロス利用することによって、募集や審査における評価精度を向上させ、採用ミスを抑止するための様々な手立てを提供してくれます。
【関連】「採用管理システム」導入メリットと、比較・検討のポイント / BizHint HR
採用管理システムで、採用業務が効率化
採用管理システムが可能にする具体的な活動として、例えばビズリーチが提供する採用管理システムHRMOS(ハーモス)は、
- 求人管理
- 応募者登録
- 応募経路の管理
- 書類選考者、面接官による評価の一括表示
- 採用者宛のメール管理
- 求人ごとの費用対効果の分析、自動レポート化
これらに限らず、採用活動といわれるほぼ全ての業務を一つのシステム内で完結でき、視覚的に管理し、分析できるシステムとして知られています。
採用管理システムが、採用ミスを払拭
採用ミスは雇用側と被雇用側とのミスマッチが原因であり、それを改善するためには、スコアカードの作成や戦略性のある面接審査、また入社後のオンボーディングといった方法があることには触れました。上でみたように、採用管理システムには、こうしたスコア化ツール、面接支援ツール、研修管理ツールなどの機能がシステム化されていることから、ミスマッチ払拭に大いに貢献するシステムだと期待されます。
すでにアメリカでは60%の企業が何かしらの採用管理システムを導入しているという調査もあり、日本でもこうした動きが広がっていくことは間違いなく、優秀な人材を獲得しようという企業間の競争を勝ち抜くためには、旧来の採用方式からの脱却を検討するときかもしれません。確かにこうしたシステムの導入にはある程度の投資が必要にはなりますが、新人採用には年間400万円近いコストがかかるという試算もあり、この投資が採用ミスによって無駄になることを考えれば、安い買い物なのかもしれません。
【出典】Invest in applicant tracking system and save $3500 per new hire!
まとめ
- 採用ミスは、企業にとって一過性の損失ではなく、時間、コスト、評判など多大なマイナス影響を与える可能性を含んでいる。
- 採用者と被採用者との間にあるミスマッチが原因で起こる採用ミスは、その兆候に気付くことで防止することができる。
- 採用ミスを防止する手段の中でも、特に採用管理システムは、候補者の情報を一元化、自動分析、関係者間での共有を可能とし、ミスマッチを払拭する手立てとして有効
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